まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

悪夢のBL矯正施設!

2020-02-19 | 北米映画 15~21
 「ある少年の告白」
 アメリカ南部の田舎町で暮らす高校生のジャレッドは、自分が同性愛者であることを両親に告白する。敬虔なキリスト教信者である父によって同性愛者矯正施設へ入れられたジャレッドを待っていたのは、非道な精神的虐待だった…
 ひと昔前よりは社会的権利も認められるようになり、差別や偏見による嫌悪や拒絶も露骨ではなくなってはいるけど、今なおLGBTの人々にとっては生き辛い社会であることに変わりはありません。ストレートとの垣根も溝もなくなったなんて、まやかしに過ぎません。LGBTの苦悩や苦難には暗澹となりますが、それ以上に彼らを見下し虐げる連中の卑劣さには怒りよりも恐怖を覚えます。何でストレートというだけで自分たちはゲイやレズビアンより上だと思えるのでしょう。そんな連中の心根の低さ浅さも救い難いけど、元来はとても愛情深く善良なのに、宗教の影響で同性愛者を拒んでしまう人たちにも絶望してしまいます。

 ジャレッドのパパとママ、すごく善い人たちなのに。信仰心ゆえに愛する息子を悲しませ苦しめる彼らの冷酷さ偏狭さに、宗教って本当に人を救ってるのかなあと懐疑的になってしまいます。いろんな宗教がらみの映画を観てきましたが、どれも苦痛と息苦しさしかない。正してあげねば罰してあげねば、と神の名のもとに同性愛者たちの心身を傷つける宗教き◯がいたちが怖い。
 ジャレッドがブチ込まれる矯正施設が、思ってたほど非道い場所じゃなかったので安堵、と同時に肩透かし。てっきり戸塚ヨットスクールとかアイルランドの修道院みたいな虐待地獄かと思ってました。でも罪悪感や自己否定を強いるカリキュラムは、立派な精神的虐待でおぞましい。おそらくトランプさんを支援してる人たちの大半が、この映画の親たちのように同性愛者を否定して、自分たちの狭い価値観の鋳型にはめようとする敬虔な善き人たちなんだろうな。
 本当の自分を両親に受け入れてもらえず、施設で精神的苦痛を強いられるジャレッドが痛ましいのですが、ひたすら従順に孤独に忍耐、やがて心が壊れるといった感じではなく、わりと自我も反抗心も強いところが、映画をお涙ちょうだいにしてませんでした。はじめはちょっとウジウジしすぎだとは思ったが、あんな保守的な田舎町だと仕方ないよな~と同情。NYやLAみたいな大都会だったら、もっと堂々と自分らしく生きられたでしょうに。男との初体験がレイプに近かったのが可哀想だった。でも、大学でも施設でも次々とイケメンたちが近づいてきて、人間関係はかなりリア充。ブサイクで独りぼっちなゲイに比べると、ナンダカンダですごく幸運な子でした。

 ジャレッド役は、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」でオスカー候補になり、「スリー・ビルボード」などでの好演も忘れがたいルーカス・ヘッジズ。美男とかイケメンとかとは違うけど、素朴で賢く健全なアメリカンボーイの見本みたいな風貌。ちょっと若い頃のマット・デーモンを思い出させますが、マットよりもデリケートで暗い感じ。劇中ずっと憂い表情で、こっちの気も滅入る演技でした。可愛い面もちょっとは見せてほしかったです。BLシーンもほとんどなし。腐としてはもうちょっとドキ!とかキュンとくるシーンがほしかった。

 ジャレッドのパパ役はラッセル・クロウ、ママ役はニコール・キッドマン、オーストラリア出身の大物スターが夫婦役。ラッシー、まるで元お相撲さんみたいなデップリした体型に。かつての野獣な魅力は微塵も残ってません。息するのも苦しそうだった。演技に支障が出てる?太り過ぎ!ニコキさんがただ夫の言いなりになる無力な奥さん役をやるはずがなく、中盤になって母のラブパワーを発揮する力演で面目躍如。施設長役のジョエル・エドガートンは、この映画の監督も兼任。

 ジャレッドが施設で出会うミステリアスな青年役で、人気監督のグザヴィエ・ドランが登場。チョイ役なのかと思ってたけど、わりと出番は多かった。もう見るからにただ者じゃない、ワケアリ感ビンビンな雰囲気。ちょっと濃い目の美男子で、俳優としても魅力的。同じく施設で出会う金髪の青年役のトロイ・シヴァンも、印象的な美形。ドラ美も彼もストレートの男にはないゲイの匂いをプンプン放ってますが、キャマキャマしくは全然なくて、むしろフツーの男よりも毅然と剛毅な男らしさがあります。初体験相手は、最近よく見るイギリス人俳優のジョー・アルウィン。半ば無理やりジャレッドのア○ルに突入してしまったけど、ジャレッドもそれまで思わせぶりというか、相手が踏み込んでくるのを待ってる雰囲気出してたのに、いざとなるとダメよダメダメは女々しい。それにタイプじゃないブサイク男ならまだしも、アルウィンくんみたいなイケメンならラッキーなのではとも。あのとき素直に抱かれ快楽に身を委ねてたら、ひょっとしたら幸せなカップルになれたかも。ジャレッドが展覧会で知り合い親密だけどプラトニックな一夜を過ごす男の子役の俳優も可愛かったです。

コメント (4)
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