「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」
医師のスティーヴンは、自分のミスで死なせた患者の息子である16歳の少年マーティンを気にかけ親身に接していた。しかし、自分と家族に近づきすぎるマーティンを、しだいにスティーヴンは疎んじるように。そんなスティーヴンに、マーティンは不吉で不気味な予言を告げる。それは現実のものとなり…
奇妙でユニークな佳作「ロブスター」のヨルゴス・ランティモス監督作品。カンヌ映画祭で脚本賞を受賞するなど、前作に続いて高く評価されました。この作品もロブスター同様、なかなか面妖で珍奇でした。意味不明、不可解なシーンや展開なのですが、何でこーなるの?!どうなっちゃうの?と、予測不可能さととんでもないことが起きそうな期待で惹きこまれてしまいました。私のような低能で感性が鈍い者には解からない意味やメッセージが、きっと隠されているのでしょうけど、ゲージュツ映画を気取った鼻につく高尚さはなく、面白いワケワカメさが魅力になってます。
静かで淡々とした中、うっすらと神経に障る不気味さ、不穏さが不協和音のように漂っていて、落ち着かない気持ちにさせる。そんなイヤミスな感じは、ぜんぜん作風は違うけど何となくミヒャエル・ハネケ監督の作品とカブります。冷たく息苦しく鬱々しいハネケ監督と違って、この映画は病院やスティーヴンの邸宅など、白々しいまでに明るく清潔な空間と色彩で、それによって返って不気味さや不安感、違和感が浮き彫りに。
マーティンの予言(呪い?)が、まるで真っ白なシーツに落とされた血がシミになってじわじわと広がっていくように、静かにゆっくりとスティーヴン一家を浸食していく展開は、ほんと???の嵐なのですが、こうなのかな?ああなのかな?と想像をかきたてられ、判断を委ねられる面白さが。こんなのおかしいだろ!なんてツッコミを入れるような映画ではありません。とにかく、マーティンが怖い!キモい!ヤバい!
まさに呪いの少年マーティン。顔を見ただけで呪われそう。呪いもだけど、呪う前のスティーヴンへのストーカーみたいな言動も、かなり不快指数が高くて気持ち悪かった。なぜかコソコソと密会でもしてるみたいに会うスティーヴンとマーティン、まるで援助交際カップルみたいな怪しさも薄気味悪かったです。二人が美形だったら、さぞや腐を反応させたでしょうけど。オーメンの悪魔の子ダミアンみたいな存在なのに、ずっと礼儀正しく人懐っこい良い子キャラなところも、マーティンの不気味さ、怖さ。マーティンの呪いは、父を殺された恨みからというより、慕っていたスティーヴンに冷たく拒絶されての愛憎から?マーティンのいきなりの自傷行為とか、ラストのスティーヴンの悲惨すぎる決断と決行とか、うげげ?!何で?!と、恐怖とか絶望を通り越して、お口ポカ~ン、そして笑ってしまうシュールさでした。ロブスターと同じく、この映画もシュールなコメディと言えるでしょうか。
スティーヴン役は、大好きなコリン・ファレル「ロブスター」に続いてのランティモス監督作主演です。
ロブスターほどではないけど、今回のコリンもかなりでっぷりと恰幅がいいおっさん風貌です。でも、よく見ると肌とかまだ若くて、おなじみの悲しそうな表情とか、美しい瞳とか、どんな役、どんな見た目になっても魅力は不変。コリンはもうハリウッドの大作よりも、ヨーロッパの鬼才、俊英監督の個性的な小品のほうが魅力と実力を発揮できることが明白。これからもユニークな映画に出演して、味わい深い役者に成熟してほしいです。
スティーヴンの妻役は、コリンとは「ビガイルド 欲望のめざめ」でも共演してたニコール・キッドマン。相変わらず美しいけど、コリンよりは明らかに年上。異常とか奇怪といった言葉が似合うニコキさん、この映画でももうそこにいるだけで怖い、フツーじゃないです。大胆すぎるヘアヌードとか、色気とかエロさなどは微塵もなく、そこはかとなくグロテスク。きれいなだけの女優は絶対やらない、できない演技を平然とクールにしてのける怪女優ニコキさんが好きです。
この映画はやはり何と言っても、マーティン役のバリー・コーガンの怪演。「ダンケルク」でも、何この子?!顔がヤバい!と思ったけど、今回はそれがよく活かされた役で、もうハンパないインパクトです。ほんと気持ち悪いです。たまに森三中の大島に似て見えたのは私だけ?観客まで毒されそうになるほど、関わる人をみんな不幸にする猛毒カルマでした。ほんとなら演技も上手なイケメン、美少年俳優が理想なんだけど、独特すぎる世界観にはやはり、それに相応しい独特すぎる俳優が必要なんです。
↑この頃のコリン、神ってるカッコカワイさでしたわ~。おじさんになった今も、もちろん素敵です。アンソニー・ホプキンス共演の「ブレイン・ゲーム」が近日日本公開。デンゼル・ワシントンがオスカーにノミネートされた「ローマンという名の男 信念の行方」は、日本では劇場公開されずDVDスルー。ダンボの実写版や、スティーヴ・マックイーン監督の新作“Widows”、メル・ギブソン共演作品など、新作目白押しな働き者コリンです
↑ギリシャ人のヨルゴス・ランティモス監督、なかなかの男前さんではないか。エマ・ストーンを主演に迎えた最新作の時代劇「女王陛下のお気に入り」は、ヴェネチア映画祭で大絶賛され、来年のオスカー最有力との呼び声も高い傑作だとか。日本公開は来年2月!早く観たい!
医師のスティーヴンは、自分のミスで死なせた患者の息子である16歳の少年マーティンを気にかけ親身に接していた。しかし、自分と家族に近づきすぎるマーティンを、しだいにスティーヴンは疎んじるように。そんなスティーヴンに、マーティンは不吉で不気味な予言を告げる。それは現実のものとなり…
奇妙でユニークな佳作「ロブスター」のヨルゴス・ランティモス監督作品。カンヌ映画祭で脚本賞を受賞するなど、前作に続いて高く評価されました。この作品もロブスター同様、なかなか面妖で珍奇でした。意味不明、不可解なシーンや展開なのですが、何でこーなるの?!どうなっちゃうの?と、予測不可能さととんでもないことが起きそうな期待で惹きこまれてしまいました。私のような低能で感性が鈍い者には解からない意味やメッセージが、きっと隠されているのでしょうけど、ゲージュツ映画を気取った鼻につく高尚さはなく、面白いワケワカメさが魅力になってます。
静かで淡々とした中、うっすらと神経に障る不気味さ、不穏さが不協和音のように漂っていて、落ち着かない気持ちにさせる。そんなイヤミスな感じは、ぜんぜん作風は違うけど何となくミヒャエル・ハネケ監督の作品とカブります。冷たく息苦しく鬱々しいハネケ監督と違って、この映画は病院やスティーヴンの邸宅など、白々しいまでに明るく清潔な空間と色彩で、それによって返って不気味さや不安感、違和感が浮き彫りに。
マーティンの予言(呪い?)が、まるで真っ白なシーツに落とされた血がシミになってじわじわと広がっていくように、静かにゆっくりとスティーヴン一家を浸食していく展開は、ほんと???の嵐なのですが、こうなのかな?ああなのかな?と想像をかきたてられ、判断を委ねられる面白さが。こんなのおかしいだろ!なんてツッコミを入れるような映画ではありません。とにかく、マーティンが怖い!キモい!ヤバい!
まさに呪いの少年マーティン。顔を見ただけで呪われそう。呪いもだけど、呪う前のスティーヴンへのストーカーみたいな言動も、かなり不快指数が高くて気持ち悪かった。なぜかコソコソと密会でもしてるみたいに会うスティーヴンとマーティン、まるで援助交際カップルみたいな怪しさも薄気味悪かったです。二人が美形だったら、さぞや腐を反応させたでしょうけど。オーメンの悪魔の子ダミアンみたいな存在なのに、ずっと礼儀正しく人懐っこい良い子キャラなところも、マーティンの不気味さ、怖さ。マーティンの呪いは、父を殺された恨みからというより、慕っていたスティーヴンに冷たく拒絶されての愛憎から?マーティンのいきなりの自傷行為とか、ラストのスティーヴンの悲惨すぎる決断と決行とか、うげげ?!何で?!と、恐怖とか絶望を通り越して、お口ポカ~ン、そして笑ってしまうシュールさでした。ロブスターと同じく、この映画もシュールなコメディと言えるでしょうか。
スティーヴン役は、大好きなコリン・ファレル「ロブスター」に続いてのランティモス監督作主演です。
ロブスターほどではないけど、今回のコリンもかなりでっぷりと恰幅がいいおっさん風貌です。でも、よく見ると肌とかまだ若くて、おなじみの悲しそうな表情とか、美しい瞳とか、どんな役、どんな見た目になっても魅力は不変。コリンはもうハリウッドの大作よりも、ヨーロッパの鬼才、俊英監督の個性的な小品のほうが魅力と実力を発揮できることが明白。これからもユニークな映画に出演して、味わい深い役者に成熟してほしいです。
スティーヴンの妻役は、コリンとは「ビガイルド 欲望のめざめ」でも共演してたニコール・キッドマン。相変わらず美しいけど、コリンよりは明らかに年上。異常とか奇怪といった言葉が似合うニコキさん、この映画でももうそこにいるだけで怖い、フツーじゃないです。大胆すぎるヘアヌードとか、色気とかエロさなどは微塵もなく、そこはかとなくグロテスク。きれいなだけの女優は絶対やらない、できない演技を平然とクールにしてのける怪女優ニコキさんが好きです。
この映画はやはり何と言っても、マーティン役のバリー・コーガンの怪演。「ダンケルク」でも、何この子?!顔がヤバい!と思ったけど、今回はそれがよく活かされた役で、もうハンパないインパクトです。ほんと気持ち悪いです。たまに森三中の大島に似て見えたのは私だけ?観客まで毒されそうになるほど、関わる人をみんな不幸にする猛毒カルマでした。ほんとなら演技も上手なイケメン、美少年俳優が理想なんだけど、独特すぎる世界観にはやはり、それに相応しい独特すぎる俳優が必要なんです。
↑この頃のコリン、神ってるカッコカワイさでしたわ~。おじさんになった今も、もちろん素敵です。アンソニー・ホプキンス共演の「ブレイン・ゲーム」が近日日本公開。デンゼル・ワシントンがオスカーにノミネートされた「ローマンという名の男 信念の行方」は、日本では劇場公開されずDVDスルー。ダンボの実写版や、スティーヴ・マックイーン監督の新作“Widows”、メル・ギブソン共演作品など、新作目白押しな働き者コリンです
↑ギリシャ人のヨルゴス・ランティモス監督、なかなかの男前さんではないか。エマ・ストーンを主演に迎えた最新作の時代劇「女王陛下のお気に入り」は、ヴェネチア映画祭で大絶賛され、来年のオスカー最有力との呼び声も高い傑作だとか。日本公開は来年2月!早く観たい!