お松のフランス映画祭④
「エヴァの匂い」
新進の作家ティヴィアンは、ヴェネツィアでエヴァという魅惑的な女と出会う。男たちを破滅に導く魔性の女エヴァに、ティヴィアンはのめりこんでいくが…
昨年亡くなったフランスの大女優ジャンヌ・モロー主演作。男たちを虜にして破滅させるファムファタールを演じてるジャンヌですが、悪女というより毒女という感じです。妖しい香水ではなく、ヤバい毒ガスを噴出してるみたいな。見るからにドギツくて、私が男なら一歩も近づきません。どんなに理不尽な目に遭っても、どんなに非道いことを言われても、犬のようにエヴァにつきまとい盲従するタヴィアン、どんだけドMなんだよ。Mっけのある男なら、たまらん女なのでしょうか。哀れというか滑稽というか、あそこまで骨抜きにされたら、男としては本望なのでしょうか。
目を奪うような美女ではなく、若くもなく色気ムンムンなわけでもないエヴァに、男たちが何であそこまで溺れるのか理解はできなかったけど、カッコいい女ではあったエヴァです。媚びたり泣いたり愚痴ったりな女のいやらしさが全然なく、どちらかといえばサバサバした男っぽいキャラで、常に威風堂々と颯爽としてる風情や、男を軽蔑しきった冷笑、軽やかに自由奔放なライフスタイルなど、女性が憧れる女性、カッコいいヒロインでした。男もセックスも嫌いな冷感症っぽいところも、女のベタベタしさが苦手な私の好きなタイプのヒロイン。私もあんな風に、他人なんかどーでもいいと冷たく無関心に生きてみたいです。エヴァ、刹那的に生きてるように見えて、老後のことはちゃんと考えて貯蓄とかも怠ってなさそう。バカ女とは真逆な悪賢さも、エヴァの魅力でした。
とにかく毒々しくカッコいいジャンヌ・モロー。最近はみんなに好かれたい系女優ばかりなので、今ジャンヌのような誰にも忖度しない女優を見ると、強烈かつ新鮮なインパクト。ジャンヌがとっかえひっかえ着こなすピエール・カルダンの衣装も、エレガントでシックでした。毒気、冷たさ、貫禄、知性、洗練。悪女を演じるために生まれたかのようなジャンヌ・モローの前では、得意げに悪女女優を気どってる菜々緒など、赤子同然です。煙草を吸う姿、風情がカッコいい女優が好きなのですが、ジャンヌはとりわけ煙草が絵になる女優です。
ティヴィアン役のスタンリー・ベイカーが、あまり私好みの男じゃなかったのが残念。ティヴィアンの婚約者を演じてた美女は、後年「王妃マルゴ」で悪名高い母后カトリーヌ・ド・メディシスを怪演し、カンヌ女優賞を受賞したヴィルナ・リージ。モノクロで撮られたヴェネツィアの街やゴンドラが往きかう水路なども、どこかアンニュイな趣が。ジャズが好きな人なら、劇中で使用されてる音楽も楽しめるのではないでしょうか。アメリカ人ながら主にヨーロッパで活動した名匠ジョゼフ・ロージー監督作品。
イザベル・ユペールとギャスパー・ウリエルの共演でリメイクされた「エヴァ」も、早く観たいものです。
「エヴァの匂い」
新進の作家ティヴィアンは、ヴェネツィアでエヴァという魅惑的な女と出会う。男たちを破滅に導く魔性の女エヴァに、ティヴィアンはのめりこんでいくが…
昨年亡くなったフランスの大女優ジャンヌ・モロー主演作。男たちを虜にして破滅させるファムファタールを演じてるジャンヌですが、悪女というより毒女という感じです。妖しい香水ではなく、ヤバい毒ガスを噴出してるみたいな。見るからにドギツくて、私が男なら一歩も近づきません。どんなに理不尽な目に遭っても、どんなに非道いことを言われても、犬のようにエヴァにつきまとい盲従するタヴィアン、どんだけドMなんだよ。Mっけのある男なら、たまらん女なのでしょうか。哀れというか滑稽というか、あそこまで骨抜きにされたら、男としては本望なのでしょうか。
目を奪うような美女ではなく、若くもなく色気ムンムンなわけでもないエヴァに、男たちが何であそこまで溺れるのか理解はできなかったけど、カッコいい女ではあったエヴァです。媚びたり泣いたり愚痴ったりな女のいやらしさが全然なく、どちらかといえばサバサバした男っぽいキャラで、常に威風堂々と颯爽としてる風情や、男を軽蔑しきった冷笑、軽やかに自由奔放なライフスタイルなど、女性が憧れる女性、カッコいいヒロインでした。男もセックスも嫌いな冷感症っぽいところも、女のベタベタしさが苦手な私の好きなタイプのヒロイン。私もあんな風に、他人なんかどーでもいいと冷たく無関心に生きてみたいです。エヴァ、刹那的に生きてるように見えて、老後のことはちゃんと考えて貯蓄とかも怠ってなさそう。バカ女とは真逆な悪賢さも、エヴァの魅力でした。
とにかく毒々しくカッコいいジャンヌ・モロー。最近はみんなに好かれたい系女優ばかりなので、今ジャンヌのような誰にも忖度しない女優を見ると、強烈かつ新鮮なインパクト。ジャンヌがとっかえひっかえ着こなすピエール・カルダンの衣装も、エレガントでシックでした。毒気、冷たさ、貫禄、知性、洗練。悪女を演じるために生まれたかのようなジャンヌ・モローの前では、得意げに悪女女優を気どってる菜々緒など、赤子同然です。煙草を吸う姿、風情がカッコいい女優が好きなのですが、ジャンヌはとりわけ煙草が絵になる女優です。
ティヴィアン役のスタンリー・ベイカーが、あまり私好みの男じゃなかったのが残念。ティヴィアンの婚約者を演じてた美女は、後年「王妃マルゴ」で悪名高い母后カトリーヌ・ド・メディシスを怪演し、カンヌ女優賞を受賞したヴィルナ・リージ。モノクロで撮られたヴェネツィアの街やゴンドラが往きかう水路なども、どこかアンニュイな趣が。ジャズが好きな人なら、劇中で使用されてる音楽も楽しめるのではないでしょうか。アメリカ人ながら主にヨーロッパで活動した名匠ジョゼフ・ロージー監督作品。
イザベル・ユペールとギャスパー・ウリエルの共演でリメイクされた「エヴァ」も、早く観たいものです。