ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

リンクアップフリー・ホンダの無料通信サービス

2010年02月20日 | ITS
ホンダは、自社のテレマティクスサービスである「インターナビプレミアムクラブ」に、リンクアップフリーという通信料無料サービスを設定し、近日発売の「CR-Z」より開始する。
車種は今後拡大していくという。

詳細はリンク先のホンダプレスリリースを参照頂きたい。WILCOMの端末を使うというのはなんとも悪いタイミングだったが、これはしかたがない。

それよも興味深いのは、おそらくこれはITSビジネスにとって一つの大きなターニングポイントになるだろう、ということだ。

インターナビプレミアムクラブは我が国最大のテレマティクスサービスであり、ビジネスの体をなしていないトヨタG-BOOKや日産のCAR WINGSに比べれば唯一「上手くいっている」と考えられていたのだが、これで完全に「テレマティクスにおけるユーザー課金モデルは成立しない」ことが確定した、といえよう。

やはり、ユーザーは「車+通信」に対価を払うほどの価値を感じていないのだ。

今回ホンダは無料にする分をいかに回収するのだろうか。
そのヒントはつぎの下りにある。
”また、車検時にHonda販売店で更新手続きをすることで、ご購入いただいた車両を所有している間は通信費無料でサービスの利用が可能となる”

つまり、これをユーザー囲い込み策として活用するのだ。
販売会社での車検ビジネス獲得と、車検でのつながりを維持することでのカスタマーロイヤリティ・リテンション確保。
国内の自動車市場は今後一貫して右肩下がりとなる。カーメーカーにとって、新規顧客獲得よりも顧客囲い込みの方が重要課題なのだ。

さらに、以下に注目してほしい。
”「リンクアップフリー」が実現するサービスとして、メーカーから直接、カーナビへカーライフに役立つ情報を配信するONE to ONEダイレクトメッセージ「Hondaからのお知らせ」(を提供)”

要は、通信料無料にするんだから「役立つ情報」という名前の広告を受け取れ、ということだ。これによるサービス、部品、用品の販売拡大も見込んでいるのだろう。

これらの効果を総合的に分析し、無料にした方が良いと判断したと思われる。

まとめよう。
キラーコンテンツはVICSよりも精度の高い渋滞情報をリアルタイムに提供すること。でも、顧客はお金を払うほどの価値を感じないから無料にする。
その効果は、顧客囲い込みによる車検、部品、用品販売拡大と次回買い替え時にむけてのロイヤリティーアップ。

車と通信。つながりたいのはユーザーではなく、カーメーカーなのだ。


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2 コメント

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リンクアップフリーという名称 (BMK)
2010-02-23 11:51:14
リンクアップフリーという名称は、
プローブ情報の提供(サーバーから見て収集)が無料という意味なんですかね。

オンデマンドVICSの精度向上のために欠かせないプローブ収集ですが、
インターナビプレミアムクラブのユーザーが果たしてどれくらい、
プローブのしくみを理解しているか疑問です。

通常のVICSより広範囲な渋滞情報を得ることができるくらい理解できても、
自分の走行ルートや走行時間などの個人情報が送信されていると理解できる人は少ないでしょうね。

まさか通信料無料だからプローブ情報の提供を拒否できないような仕様ではないと思いますが、
拒否の場合、サービスが受けられないとかの制約とか無いんでしょうかね。
返信する
インターなびくラブ (通りすがり)
2010-02-25 17:26:21
>拒否の場合、サービスが受けられないとかの制約とか無いんでしょうかね。

元々、インターナビクラブは位置情報提供しないと渋滞情報もらえませんよ。
ギブアンドテイクです。
それ以外は大丈夫ですが。
返信する

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