ITSを疑う

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国交省の平成29年度道路予算概要 続き

2017年02月15日 | ITS
中国の勤務先での外国人労働許可証は発給されたが、渡航用の業務ビザの書類が足りなくて申請待ちになってしまい今月はまるまる無職状態。せっせとブログ更新をします。

国交省の平成29年度道路予算概要、前に述べたとおり「ビックデータ」というキーワードがそこここに出てくる。
(こうしたBUZZワードは具体性に欠いていても目くらましにはよく効くのでついつい使ってしまう。私も現役時代に経験している。)

この予算概要で注目するべきは、ETC2.0の存在意義に関して交通運行情報のビッグデータ収集がメインになっている点だ。
最初の頃はETC2.0の主目的は路側機先の交通情報を提供することによる安全運転支援だった。その後、情報量を活かした広域な渋滞情報と経路誘導に変わった。
しかし、これら二つはほとんどドライバーの安全、利便向上に結びつかなかった。これを評価する意見をネット上で見つけることは難しい。
安全運転支援の実効は極めて小さく、また広域渋滞情報も民間の通信情報がすでに存在する。

ということで、今年の資料における「ETC2.0概要」はビッグデータ収集がメインとなっている。(添付図)

ドライバーへのメリットは上記の通りあまりない。それを「道路利用者はもちろん」とあっさりごまかしている
実際、ここに書かれているように主体は道路政策なのだ。

それを否定するつもりはない。個人の移動情報を政府が把握することについてのプライバシー懸念はハードウェアの仕様書上、個人情報はアップリンクされない仕組みになっている。

問題は、すでに民間で移動体情報を使った交通運行情報が沢山存在するということ。簡単な例で言えばGoogleマップの渋滞情報。それ以外にナビメーカー、地図メーカー等が保有している。
どう考えても交通運行データ収集は移動体通信を使うのが合理的だし、すでに行われている。一方でETC2.0は車載器を載せ替え、路側機を設置しなければならない。
民間データを購入するのと、ETC2.0で自前データを収集するのとの費用対効果は精査されているのだろうか?
繰り返しになるが、利用者のメリットは「普及政策としての割引」以外になく、これは普及のための出費でありコスト側に計上するべきアイテムなのだ。