ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

国交省「平成29年度道路予算概要」を突っ込んでみる

2017年02月13日 | ITS
まずは、国交省の平成29年度道路予算概要 ここ
PDFで結構重いし、縦書きの表紙と目次からいきなり横書きのPPTフォームになり、PC画面で観るのは非常に辛い。50ページ超なのにプリントアウトを前提にしたファイルで典型的な役所のIT。覚悟してDLしてください。

まあそれはそれとして

読んでみるとやたらとビッグデータというコトバが出てくる。BUZZワードだから仕方ないのかもしれないが、問題はこれがETC2.0の正当化に使われている事だ。

嘘ではない。しかしここには微妙な問題がある。

まず、ETC2.0はポスト通過時にそれまでの走行情報(軌跡、加速減速等)をアップリンクする。
このことは、プライバシーの関係でややこしくなるのを懸念してか、あまりはっきりとは言っていない。
実際個人情報はアップリンクされないことになっているのだが、管理社会への布石だとかいう議論になるのが面倒なのだろう。

次に、こうした走行情報は実はもう民間が十分に保有している。それはわかっているようで、ETC2.0「等」によるビッグデータという言い方をしている。
活用方法として挙げられている、急ブレーキの多い危険交差点抽出とか渋滞解消の信号制御(基本警察管轄だけど)等に関しては、民間のプローブデータで十分なのではないか。
ETC2.0で自前のデータを持つことにコストやセキュリティ等の合理的な理由があるのかもしれないが、それならその定量的な証拠を見てみたい。私には根拠が不十分に見える。
ETC2.0は今後もその普及にお金がかかるしポスト増設も必要だろう。交通情報収集はどう考えてもすでにある携帯通信を活用するのが合理的だ。

そして、その活用。ビッグデータといえば、官民ともに集めるのは簡単だけどそれをどうするのかができていない、というのが相場だ。ETC2.0で得られた運行情報をどのように活用するのか、その成果物と費用の関係も詳しく知りたい。

以上総論だが、ページごとの疑問について明日以降もう少し。