ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

高速道路、道の駅への一時退出「賢い料金」の欺瞞

2017年02月09日 | ITS
国交省は高速道路利用時、道の駅などによるために一時退出する場合に継続利用とみなす実験を開始する。
報道発表「高速道路からの一時退出を可能とする「賢い料金」の実施について

この発表に対してメディアやSNSはほぼ好意的な反応になっているが、これがETC2.0限定だということにはほとんど触れられていない。そもそもその意味がわかっていないのだと思う。

ETC2.0(旧名ITSスポット対応車載器)の問題についてはこのブログで散々書いてきている。
複雑な歴史があるので簡単に説明することすら難しい。もし興味がおありなら、このページの検索窓にETC2.0と打ち込んでみてほしい。膨大なアップがあるが、ざっと呼んでもらえばわかると思う。

要点だけをいうと
・国交省はETCの次世代利用として、交通情報を車載器に提供する路側ポストを250億円かけて全国高速道路1600ヶ所に設置した。
・その情報を得るためにはETCを買い換えなければならない。当初はITSスポット対応車載器と言っていたが全く普及せず、ETC2.0の名前でリロンチングを実施。
・それでも全く市場認知は進まず、恒常的にモニターキャンペーンと称するキャシュバックを続けてきた。
・ETC2.0限定で圏央道割引と大口ユーザー割引制度の追加割引継続という禁じ手のような施策を打って、昨年後半はある程度の販売があったが、それでもETC全体に対する割合は1%以下。
・現在、テレビCMを打っている

これほどまでやって普及しない理由は、ドライバーにとってのメリットがないから。
当初喧伝していたメリットはすべて実現できなかったか、もしくは陳腐化している。
(なぜそこまでETC2.0普及にこだわるのかは改めて)

となると、無理やりメリットをつけるしかない。先に書いた圏央道や大口割引もそうだが、今回はそれに加えて道の駅への一時退出をやる、ということなのだ。

インターを出て1時間以内に再入場すれば継続料金扱いにする、なんてETC2.0でなくても出来る。
ETC2.0は車両の位置情報を履歴付きでアップリンクする。だから一時退出して何をしたかを把握できる。道の駅によって帰ってきたことがわかる。だからETC2.0に限定するのだ、という理屈だろう。
しかし、本当にそこまでチェックするのか?位置情報からその車が道の駅だけに寄って戻ってきたことを判定するのか?絶対にそんなことしないと思う。間違っていたら指摘してほしい。
道の駅の出入り口にDSRC路側機をつければ把握は可能だが、それなら2.0である必要はない。
それ以前に、一旦降りて1時間以内に同じ方向に再入場するなら全部継続扱いにすればいい。配達のような本来課金するべき商業利用が含まれるかもしれないが費用をかけて規制する程のことではないと思う。

PA,SAがない区間で一時退出を認めるのは利用者にとっては良いことだ。
便利なことならすべての利用者、少なくとも通常ETC装着車にも開放するべきではないのか?

プレスリリースのPDFファイルにもETC2.0に限定する理由は書かれていない。
私にはETC2.0普及のためにやっているとしか思えないが、違うのか?
ETC2.0でなければ技術的にできないのであれば教えて欲しい。