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農協「改革」の本当の狙い

2015-02-12 23:17:35 | 政策・提案

安倍晋三政権が突き進む農協「改革」が大きな問題になっています。日本共産党はどう考えるのか、党農林・漁民局長の紙智子参院議員に聞きました。 (聞き手・北川俊文)

農協関係者の意見を聞かず

 ―安倍内閣の農協「改革」は、どこが問題なのですか。

 まず強調したいのは、現場の必要性から出発したものではないということです。

 農業協同組合(農協)は農家を主体とした協同組合です。「改革」すべき問題があれば、主人公である組合員や地域の単位農協(単協)を中心に自主的に行うべきです。

 しかし、政府が昨年6月に示した農協「改革」案は、農協関係者などの意見を無視し、規制改革会議などの財界側委員の提案を一方的に採用したものです。今、行われている農協法「改正」案の取りまとめも、現場の疑問や批判にまともに答えないまま強行しようとしています。本来の協同組合の改革とはおよそ無縁です。

TPP反対の司令塔つぶし

 ―安倍内閣は農協「改革」をなぜ急いでいるのですか。

 全国の農協のみなさんは、環太平洋連携協定(TPP)反対運動の先頭に立ってきました。交渉の早期妥結を急ぐ安倍政権は、農協「改革」でその運動を弱体化させようとしています。とりわけ、首相自身が執念を燃やす全国農業協同組合中央会(全中)の見直しは、TPP反対の司令塔つぶしとみないわけにはいきません。

 首相は、「中央会は単位農協の自由な活動を阻んでいる」「脇役に徹すべき」だなどと攻撃し、中央会「廃止」「農協法からの削除」などを迫っています。しかし、95%の農協組合長が「中央会が単協の自由を奪っている」とは「思わない」と答えています(日本農業新聞アンケート1月29日付)。中央会「廃止」論は現場の意見とは正反対です。

 単協に対する全中の監査権限を取り上げ、公認会計士に委ねる方向も、その一環です。全中の監査では、財務状況とともに、業務が協同組合として適切かどうかが検討されますが、公認会計士の監査にそれがありません。

 監査権限がなくなり、農協法上の扱いも変われば、全中の弱体化は避けられません。農協の事業・運動の全国的な連携が困難になり、農業者の要望を国政に反映させる農政運動も難しくなります。

写真

(写真)農業・医療・雇用破壊のTPPへの反対を訴える人々=1月7日、東京・新宿駅西口

日米業界の求めに応じ

 ――安倍政権は具体的に何を狙っているのでしょうか。

 「世界で一番企業が活躍できる国」づくりの一環です。

 首相は、国民の命や暮らしを守るのに必要な諸制度を、企業活動を妨げる「岩盤規制」だと攻撃し壊すことに力を注いできました。その最初に挙げたのが農業・農協分野でした。農家や農村のためというより、企業のビジネスチャンス(商機)拡大のための「改革」ということです。

 単協から信用・共済事業を分離し、農林中央金庫(農林中金)などに移管する方針は、農村の金融市場を狙う銀行・保険業界が執拗(しつよう)に要求し、TPP交渉でアメリカの保険・金融業界も再三求めてきたことです。

 准組合員の農協事業利用の制限も、農協が担ってきた分野への営利企業の進出を狙う財界などが一貫して迫ってきたことです。全国農業協同組合連合会(全農)が株式会社化されると、独占禁止法の適用除外が外され、全国的な農産物の共同販売、資材の共同購入を困難にします。単協がバラバラに対処を迫られ、大企業による流通支配などがいっそう強まるのは必至です。

住民生活の基盤こわす

 ――今回の「改革」で農業と農村にどんな影響が及ぶのでしょう。

 政府は「農協の自由を拡大し、強い農協をつくり、農家の所得を増やす」と強調しますが、実際にもたらされるのは逆です。

 大多数の農協は、信用・共済事業の収益で営農指導をはじめ販売・購買事業の赤字を補い、経営を維持しています。信用・共済事業を分離すれば、多くが経営破たんに追い込まれ、販売事業なども成り立ちません。

 准組合員の事業利用制限は、当面、先送りされました。農山村地域の准組合員は、離農した農家が引き続き事業を利用する場合がほとんどです。離農が激しかった北海道では、准組合員が8割に達します。他の金融機関やガソリンスタンドなどがない地域では、農協が地域住民のライフライン(生活基盤)になっています。非農業者の利用を制限することは、農協の事業基盤を著しく狭めるだけでなく、地域住民の暮らしも脅かします。実質的には農協つぶしであり、農村の危機をいっそう深めます。

家族農業の土台を一掃

 ――政府は、農業委員会や農業生産法人の「改革」も同時に追求していますね。

 今国会に出される法案も一体です。 安倍首相は「戦後レジーム(体制)からの脱却」を叫び、農業分野でもそれを貫こうとしています。農協や農業委員会、農地制度は、家族農業を基本にしてきた戦後農政の中心です。それを一掃し、企業が好き勝手に支配できる農業・農村につくり変えようというのです。

 家族農業や協同組合を否定するこのような「改革」は世界の流れにも逆行します。

 世界の主な協同組合が加盟する国際協同組合同盟(ICA)は昨年6月、政府の「改革」案を、「家族農業の価値を認めず、企業による農業を促進しようとしている」と厳しく批判しています。

 日本協同組合連絡協議会も、「『自主・自立』、『民主的運営』を基本にする協同組合のあり方が考慮されて」いないと批判しました。「改革」案は、利潤追求ではなく共生・協同が求められる今日の社会的課題への攻撃でもあります。

共産党はどう臨む 共同広げ廃案へ

 ―日本共産党は政府の農協「改革」にどう臨みますか。

 今日、農協の多くが困難や矛盾を抱えているのは確かです。根本には、農家の経営が成り立たなくなっていることがあり、歴代政府の農政にこそ最大の責任があります。

 その中でも、協同の力を発揮し、農家の営農や暮らし、地域農業を守るために頑張っている農協は少なくありません。政府がやるべきことは、農協をバラバラにしてつぶすことではなく、自主的努力を応援することです。


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