大西洋に大きく張り出した西アフリカ。ほぼ赤道直下のギニア湾沿岸からは、かつて奴隷とともに多くの象牙が運び出されました。その一角に連なる共和国コートジボワールも仏語で「象牙海岸」を意味します。
▼1960年にフランスから独立。その後、経済成長を続け「黒い日本」といわれました。しかし90年代に入ると政情不安で内戦となり、宗教や民族問題も絡んで南北に分裂。最近も二重政府状態に陥りましたが、いまは解消されています
▼争いに疲れ、平和と統一を願うコートジボワール国民の思い。それを象徴しているのが「レ・エレファンツ(巨象たち)」の愛称をもつ同国のサッカー代表チームです
▼地域も宗教も隔てなく集まった選手たちが一緒にプレーし、力を合わせてワールドカップの切符を勝ち取る姿。ある代表選手はいいます。「一つになることの重要性をぼくらは示したんだ」。代表の試合をみた人びとも確信します。この国に平和を取り戻すことは可能なのだ、と
▼英雄ドログバをはじめ、欧州のリーグで活躍する選手を擁し、3大会連続のW杯にのぞむコートジボワール代表。1カ月後の初戦の相手はわが日本代表です。こちらもJリーグ誕生から20年。サッカー文化が根付き、世界を舞台にする選手も増えてきました
▼国の歴史や文化をにじませ、ときに願いまでも託されるサッカーの代表チーム。200をこえる国々が予選から参加する最大のスポーツの祭典、W杯が“世界の縮図”といわれるゆえんでしょう。しんぶん「赤旗」潮流より