ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

ライドオン、ウズベク・ガール!

2010-01-11 02:26:28 | アジア

 ”ALVIDO”by DINEYRA

 昨今、何かと気になる中央アジアはウズベキスタンのポップス。
 もっとも現地ではもはや普通にオーディオCDで音楽を聴く、なんてシステムは終わってしまっているようで、MP-3などでしか入手不可能な音源なども多いようで、当方のような昔気質の「ともかく”オーディオ盤”が欲しい」派は苦戦を免れないのかもしれません。
 まあそれだってかの地のソフトが手に入るルートを見つけられたら、の話であるのは毎度、ワールドミュージック・ファンの悩みの種でありますな。まあ、そんな事をこぼしていたって仕方がないんですが。

 で、このディネィラ嬢、韓国のアイドルグループ、”少女時代”との間の「どっちが曲をパクッた?疑惑事件」とか、そんな揉め事で知られる事となってしまったみたいですが、その辺の話題はあんまり興味ないんでスルーしておきます。
 いや、そんな話題は忘れて聴いてみると、なかなか良いんですよ。これまで聴いたウズベク・ポップスの中ではもっとも西欧流のポップスに近い出来上がりのように思われます。クールでお洒落な都会派ポップスと言ってしまっていいでしょう。なんといっても聴き進むうちに何曲か英語の歌詞のものが出てきたのには驚いた。「世界に雄飛するウズベク・ポップス」って構想でもあるんでしょうか。

 全体のサウンド構造は、やはり元ソビエト連邦構成国ということなんでしょうかね、モノクロっぽい空間に打ち込みのリズムと冷たいシンセの鳴り渡る、ロシアのポップスによくあるような研ぎ澄まされたエレクトリック・ポップスが基調となっている。
 けど彼女の歌う曲調は明らかに中央アジアらしい哀感を漂わせたもので、時にシンセの音の間を縫ってウズベクの民俗楽器がかき鳴らされたりします。
 この辺の、「やや古いタイプの近未来イメージと中央アジアの民俗調」の入り乱れるさまが、なかなかスキモノの血を騒がせる妖しさを持っています。加えて、なかなかの美人であるディネィラ嬢の愛らしい歌唱が、ますます聴く者の血を騒がせることとなる。

 いやあ、この人ももっと聞いてみたいものですなあ。というか、考えて見ればウズベクのポップスってかなりの命中率でこちらの琴線に触れて来ています。適度に哀感、適度にエキゾティック。本格的にかの地のポップスが紹介されるようになれば、結構ファンは付くんではあるまいか?
 それにしても、どこへ行けばウズベク盤なんて売ってるんだろうなあ。

 などと。古い歴史を秘めた古道に背に荷を負った駱駝が行き交い、砂漠の砂嵐吹き抜ける、そんな世界に流れるディネィラ嬢の最新ヒット曲など夢想してみるのでした。