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裁判所構成法を読む 第4章 控訴院

2023年11月11日 | 治罪法・裁判所構成法
裁判所構成法を読む 第4章 控訴院

公布:明治23年2月10日
施行:明治23年11月1日(上諭)


第4章 控訴院
#裁判所構成法
第34条 控訴院ヲ第二審ノ合議裁判所トス。
2 各控訴院ニ、一若ハ二以上ノ民事部及ビ刑事部ヲ設ク。
(コメント)
裁判所構成法の第4章は控訴院について規定する(34条〜42条)。現在の高等裁判所に相当。二審の合議裁判所であり、民事部と刑事部が設置される。

#裁判所構成法
第35条 各控訴院ニ、控訴院長ヲ置ク。
2 控訴院長ハ、控訴院ノ一般ノ事務ヲ指揮シ、其ノ行政事務ヲ監督ス。
3 控訴院ノ各部ニ部長ヲ置ク。部長ハ、部ノ事務ヲ監督シ其ノ分配ヲ定ム。
(コメント)
本条では控訴院所長及び部長につき規定する。地方裁判所とほぼ同様の規定(20条)。部長が部の事務を監督することとなっており、裁判官の独立は制約を受けていた。

#裁判所構成法
第36条 事務ノ分配及ビ結了竝ビニ判事ノ代理ニ付テハ、第二十二條第二十三條及ビ第二十五條ヲ、左ノ變更ヲ以テ控訴院ニ適用ス。
第一 前項ニ掲ゲタル各條ヲ以テ、地方裁判所長ニ與ヘタル權ハ、控訴院長ニモ之ヲ與ヘタルモノトス。
第二 控訴院ノ判事差支ノ爲、或ル事件ヲ取扱フコトヲ得ズ、且ツ同院ノ判事中其ノ代理ヲ爲シ得べキ者ナキ場合ニ於テ、其ノ事件緊急ナリト認ムルトキハ、之ヲ代理スル判事ヲ出スべキ旨ヲ、控訴院長ヨリ其ノ控訴院所在地ノ地方裁判所長ニ通知シ、其ノ裁判所ノ判事ヲシテ代理ヲ爲サシムルコトヲ得。但シ豫備判事ヲ用ヰルコトヲ得ズ。
(コメント)
事務の分配(22条)、司法年度の終期又は休暇の際の事件の引継ぎ(23条)、判事の代理(25条)については、控訴院でも地裁と概ね同様に取り扱われる旨の規定。

#裁判所構成法
第37条 控訴院ハ、左ノ事項ニ付裁判權ヲ有ス。
第一 地方裁判所ノ第一審判決ニ對スル控訴
第二 區裁判所ノ判決ニ對スル控訴ニ付キ爲シタル地方裁判所ノ判決ニ對スル上告
第三 地方裁判所ノ決定及ビ命令ニ對スル法律ニ定メタル抗告
(コメント)
控訴院の事物管轄。現在の高裁と概ね同様である。

#裁判所構成法
第38条 皇族ニ對スル民事訴訟ニ付キ、第一審及ビ第二審ノ裁判權ハ、東京控訴院ニ屬ス。但シ第一審ノ訴訟手續ニ付テハ地方裁判所ノ第一審手續ヲ適用ス。
(コメント)
本条により、皇族への民事訴訟は東京控訴院が管轄を有する。大正15年に成立した皇室裁判令にも本条は受け継がれている。

#裁判所構成法
第39条 控訴院ノ權限、竝ビニ其ノ裁判權ヲ行フノ範圍及ビ方法ニシテ、此ノ法律ニ定メザルモノハ、訴訟法又ハ特別法ノ定ムル所ニ依ル。
(コメント)
裁判所構成法以外にも、訴訟法や特別法の規定により控訴院が管轄を有するとする規定。地方裁判所については30条が規定しており、同趣旨。

#裁判所構成法
第40条 控訴院ニ於テ、訴訟法ニ依リ法廷ニ於テ審問裁判スべキ事件ハ、五人ノ判事ヲ以テ組立テタル部ニ於テ之ヲ審問裁判ス。其ノ五人ノ判事中一人ヲ裁判長トス。其ノ他ノ事件ハ、訴訟法ノ定ムル所ニ從ヒ、判事之ヲ取扱フ。
(コメント)
控訴院で訴訟法により審問裁判すべき事件は、5人での合議体となる。なお、現行裁判所法では合議体の員数は原則3人(例外的に5人の場合あり)。

#裁判所構成法
第41条 第三十八條ノ場合ニ於テ、第一審ハ五人ノ判事ヲ以テ組立テタル部ニ於テ審問裁判シ、第二審ハ特ニ七人ノ判事ヲ以テ組立テタル部ニ於テ審問裁判ス。其ノ五人又ハ七人ノ判事中一人ヲ裁判長トス。
(コメント)
皇族の民事訴訟(38条)は一審の5人の合議体、二審は7人の合議体とすべきとの規定。
なお、現行法では、皇族の裁判についてのかようや特別扱いはない。

#裁判所構成法
第42条 各控訴院ノ檢事局ニ檢事長ヲ置ク。
2 檢事長竝ビニ其ノ他ノ檢事ノ職權ニ付テハ、第三十三條ヲ適用ス。
(コメント)
本条は、控訴院には検事長を置くべきこと(地裁では検事正)、検事長の職責が検事局の事務取扱の分配・指揮監督であることを規定している(33条の準用)。

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