南斗屋のブログ

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色川家に長女誕生!文政後期は天候不順 文政11年9月上旬・色川三中「家事志」

2023年09月11日 | 色川三中
文政11年9月上旬・色川三中「家事志」

土浦市史史料『家事志 色川三中日記』第三巻をもとに、気になった一部の大意を現代語にしたものです。

文政11年9月1日(朔)(1828年)
大雨降り止まず。
#色川三中 #家事志
(コメント)
土浦は霞ヶ浦のほとりにあり、水害には極めて弱い町です。大雨が降ると、三中も気になります。「大雨降り止まず」との一言から心配が伝わってきます。
土浦市役所のホームページでは過去の地震・水害の状況が一覧になっています。三中の心情は現代の土浦市民のメンタリティに通じています。

文政11年9月2日(1828年)
雨止む。惣三郎祝儀に来る。
#色川三中 #家事志
(コメント)
昨日は大雨を心配していた三中ですが、今日は雨も止んで一安心。色川家には新しい命が誕生したので、お祝いラッシュ。雨が止んで、知人が祝儀を持ってきてくれました。

文政11年9月3日(1828年)
今日、産婦七日。小児の名を選ぶ。
論語より「子曰、有美玉於斯」から「有美」(ゆみ)と名付ける。湯浴みさせ、初毛剃り、真綿着せる。利兵衛殿にて初生衣着せる。宮参り。とり揚嫗へ祝儀。金百疋、鰹節二本。
#色川三中 #家事志
(コメント)
お七夜。「赤ちゃんの健康を願う想いから始まった行事」と子の為の祝いと現代では説明されていますが、記事には「産婦七日」とあり、子よりも産婦が無事七日を過ごせたことを重視しているようにも見えます。宮参りまでの行事も興味深い。
子は「有美」と命名。論語が典拠。しかし、「子曰」は「子貢曰」の間違いのようです(「子貢曰、有美玉於斯」)。子貢が孔子に「ここに美玉があります」と言ったの意。名前が可愛いから良しとしましょう。

文政11年9月4日(1828年)晴
七兵衛を当ヶ崎(鉾田市塔ヶ崎)に催促に遣わした。七兵衛は昨月22日から病気で、昨日まで12日休んでいた。
#色川三中 #家事志
(コメント)
七兵衛は先月半ばに、大宝八幡宮や千勝神社(いずれも現下妻市)に代参していた従業員(8月15日条)。その後、病気になり、仕事を休まざるを得なかったようです。病み上がりなのに、土浦から鉾田まで(片道35 km)行く債権回収。三中も仕事のこととなるとかなり厳しい。


土浦城 大手門跡-塔ケ崎(国道354号経由)(35 km)

土浦城 大手門跡 to 塔ケ崎

土浦城 大手門跡 to 塔ケ崎



文政11年9月5日(1828年)
叔父の利兵衛殿に入江(名主)のところに行ってもらった。ひものやとのトラブルの件、内々に名主にも話しをしておく。
#色川三中 #家事志
(コメント)
ひものやとのトラブルにつき名主の耳に入れていたことがわかる記事。裁判になっていなくても、早めに名主に話しをしておいた方が良いとの判断でしょう。
裁判となれば、名主は調停役を担います(ブログ記事参照)。

調停役をする名主-色川三中「家事志」より - 南斗屋のブログ

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文政11年9月6日(1828年)晴
与兵衛と佐助を鹿嶋の営業に向かわせる。
佐助に金二朱を遣わす。与兵衛が病気となったときに、佐助一人で働いてくれたこと、東在(東部地方)の営業実績も上がったことの褒美。
#色川三中 #家事志
(コメント)
与兵衛と佐助には鹿嶋方面の営業担当。6月にも派遣の記事があります(6月23日条)。与兵衛が病気になったのは4月下旬。奥様も重病でしたが、元気に働けるようになってよかった。
与兵衛の病気



文政11年9月7日(1828年)
本日は休筆です。
#色川三中 #家事志

文政11年9月8日(1828年)
本日は休筆です。明日再開します。
#色川三中 #家事志

文政11年9月9日(1828年)晴
当年は雨が多く、なかなか水が引かなかったが、昨日ようやく稲の刈りはじめができた。
#色川三中 #家事志
(コメント)
今年(文政11年)は多雨。昨年は雨らしい雨が降らず、水田は悉く渇水という状態で、8月上旬には稲の刈り取りが行われていました。三中は高持百姓で年貢を納める義務がありますので、天候不順⇒米の取れ高には敏感にならざるをえません。


文政11年9月10日(1828年)雨
ひものやの組合(五人組)のとり彦らが来る。組合でもひものやの言い分はさっぱり分からないが、厳しく言っておくから、大家である当家からはあまりひどいことはしないでほしいとのこと。
#色川三中 #家事志
(コメント)
五人組=連帯責任というイメージがありますが、この記事に見る限り必ずしも一枚岩ではありません。やはりひものやさん、変な主張のようです(笑)。突飛な意見をいっているひものやの主張は、五人組の中でも分からない。
でも突き放すでもなく、家主である三中にもあんまり強烈な手段はとってくれるなと話合いをしていくのは、物事の交渉・解決方法としてはなかなか興味深いです。


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