南斗屋のブログ

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市長交際費訴訟は、武蔵野市長交際費事件最高裁判決で変わってきた

2022年01月24日 | 地方自治体と法律
(市長交際費と住民訴訟)
 市長交際費の適法性というのは、以前は住民訴訟で争われたテーマであったが、武蔵野市長交際費事件最高裁判決(最高裁平成18年12月1日判決・民集60・10・3847)がでた影響もあってのことだと思われますが、住民訴訟のテーマとにはならなくなったのかなという印象です。
 こんな因果関係でしょうか。
 武蔵野市長交際費事件最高裁判決
⇒最高裁で交際費が適法とされる基準が明示される
⇒自治体で交際費基準が決められる
⇒自治体は基準に従った支出を行う
⇒自治体の交際費基準や実際の交際費支出をホームページなどでオープンにする運用も定着。

(自治体の交際費基準がある場合の裁判所の判断)
 裁判所も、自治体が策定している交際費基準がありますと、その交際費基準に従って交際費の支払いがなされたか否かという判断を行うようになりました。
 例えば、横浜地裁平成26年12月24日判決(判例地方自治407・26)は、交際費支出基準が合理性を有すると評価できれば、その 支出基準に従って交際費の支払がされた場合には、その支払を違法ということはできないとしています。
 具体的にはこのように判示しています。
「本件支出基準の具体的な内容は、前記認定事実(1)のとおりであるが、同基準において市長交際費の支出が許されているのは、市長の交際のうち一般的な友好、信頼関係の維持増進を目的とすると客観的にみることができるものに限られていると認められ、また、交際費として金員を支出する場合の基準としても、最も高いもので2万円以内とされている。これらのことからすれば、本件支出基準は、市長の交際のうち、相手方との友好、信頼関係の維持増進を図ることを目的とすると客観的にみることができ、かつ、社会通念上儀礼の範囲にとどまる交際とそれに伴う交際費を類型化した基準として合理性を有するものと評価することができる。したがって、上記アで説示したことに照らせば、本件支出基準に従って交際費の支払がされた場合には、その支払を違法ということはできない。」

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