南斗屋のブログ

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和解事例、1571から1575まで

2019年12月05日 | 原子力損害
2019年11月8日、原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)から和解事例が公表されました(和解事例1571から和解事例1583まで)。今回は、1571から1575までの和解事例を紹介いたします。
1571=旧緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)の居住者の日常生活阻害慰謝料及び就労不能損害に関するもの
1572=帰還困難区域(大熊町)からの避難者の日常生活阻害慰謝料の増額に関するもの
1573=地方公共団体が住民に一時避難を要請した区域(南相馬市鹿島区)に居住していた者の日常生活阻害慰謝料(増額分)及び生活費増加費用に関するもの
1574=居住制限区域(富岡町)の居住者の日常生活阻害慰謝料に関するもの
1575=地方公共団体が住民に一時避難を要請した区域(南相馬市鹿島区)の営農被害に関するもの

和解事例(1571)
旧緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)に居住していた申立人ら(父母及び未成年の子3名)について、避難先における父母の再就職や子3名の就学状況等の事情を考慮し、平成26年3月分までの日常生活阻害慰謝料(申立人らにそれぞれ月額10万円。ただし、申立人母につき、避難先での育児負担の事情を考慮し平成24年7月分及び同年8月分に限り各5万円を増額。)のほか、申立人母の平成24年7月分から平成28年3月分までの就労不能損害(原発事故の影響割合は10割から1割まで漸減)、申立人父の平成24年7月分から同年12月分までの就労不能損害並びに平成28年3月分までの一時帰宅費用及び駐車場代等が賠償された事例。

和解事例(1572)
帰還困難区域(大熊町)から避難した申立人について、皮膚の疾患等にり患している状況での避難であり、また、その症状や生活状況等から心療内科等にも通院を要したほど精神的苦痛を負っていたこと等を考慮し、平成23年3月分から平成29年5月分まで、避難や通院状況等に応じて月額3万円ないし6万円の日常生活阻害慰謝料の増額が認められ、合計269万円が賠償された事例。

和解事例(1573)
地方公共団体が住民に一時避難を要請した区域(南相馬市鹿島区)内の自宅から帰還困難区域(双葉町)内の実家に原発事故当時、里帰り出産のために一時帰省していた申立人母について、日常生活阻害慰謝料(増額分)として一時金30万円が賠償されたほか、避難中の生活費増加費用が平成24年11月分まで賠償された事例。

和解事例(1574)
居住制限区域(富岡町)に居住していた申立人ら(父母及び子)の平成30年3月分までの日常生活阻害慰謝料について、申立人子に対しても、仙台市内の専門学校の学生であったものの、原発事故前に同学校に対して退寮届を提出し、富岡町内の自宅を住所と届け出ていた上、平成23年4月には就職見込みであったこと等から、原発事故当時の生活の本拠地を上記自宅と認定して賠償されたほか、申立人父については、家族別離が生じていた期間について3割相当額が、避難生活のストレスから突発性難聴が発症したことに鑑み一時金20万円がそれぞれ増額され、また、申立人母については、家族別離が生じていた期間について3割相当額が増額されて賠償された事例。

和解事例(1575)
地方公共団体が住民に一時避難を要請した区域(南相馬市鹿島区)において農業を営んでいた申立人の柿に係る風評被害による営業損害(逸失利益)について、行政による出荷制限は課せられておらず、また、その他の農産物の売上げを考慮すると、原発事故前よりも売上収入が増加しているものの、実際の取引状況や原発事故前よりも申立人が農業に費やす労力を増加させたこと等を考慮し、平成30年1月分から同年12月分まで、原発事故の影響割合を8割として賠償された事例。


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