南斗屋のブログ

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民事事件の判決の言渡しの風景

2007年11月12日 | 交通事故民事
 民事事件の判決の言渡しの風景は、刑事事件に比べるとちょっと寂しいです。

 刑事事件では、
 裁判官、書記官
のほかに
 被告人、検察官、弁護人
が立ち会うことになります(→詳しくは、「刑事事件の言渡しに立ち会う人」)。

 言い渡される内容も、刑の内容から始まって、どのような犯罪を行ったか(又は行わなかったか)、刑を定めるにあたって考慮した理由などであり、言い渡し自体どんなに短くても5分、無罪を争うような事件では数十分から、ものすごく大事件になると判決言い渡しだけで丸1日かかるというような場合もあります。

 しかし、民事事件では、立ち会うのは、
  裁判官と書記官だけ
ということが多いです。
 もちろん、当事者も立ち会うことは可能なのですが、民事事件の判決の言い渡しは
 「主文」だけ
つまり、交通事故の民事事件だと
「被告は、原告に対し、金〇〇円を支払え」
というような部分だけだからです。

 つまり、民事事件では言い渡しだけでは、どうしてそのような判決になったのかが全然わかりません。
 民事の判決文は、弁護士がついている場合は、弁護士事務所に送られてくることになっていますので、この判決文を読んで検討しなければならないことから、弁護士は判決の立ち会いを行わないことが多いのが現状です。

 実際に判決に立ち会った当事者の方の感想を聞いてみますと、
 「早口すぎて何を言っているか自体わからなかった」
というものが多いです。

 私も何回か立ち会ったことがありますが、確かにプロの私でも金額の部分をメモするだけでも精一杯な場合があります。

 裁判官も、当事者が立ち会わない法廷になれてしまっているので、「誰も聞いていないだろう」ということで早口になってしまっているのかもしれませんが、開かれた法廷からすれば、少なくとも当事者や代理人が立ち会う場合は、大きい声で、ややゆっくりめで言い渡しを行ってほしいものです。

 もっとも、そういう心がけのかたもいるようでして、先日、判決立ち会いをしたケースでは、裁判官が「主文」だけでなく、「理由」の一部も説明するということもありました。

 時間に余裕がある地方の裁判所だったから可能だったのかなとも思いますが、印象に残った事案でした。

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