とのさま不経済新聞 by 雲葉

「よるのとのさま」から改題(2013年2月1日)

消費税導入から25年

2014年04月26日 | 新聞投書から
  今日の朝日新聞「声」欄から。投書者は千葉県在住の71歳税理士の、お名前からして男性と思われます。


540円の定食は便乗値上げか

  消費税導入前、たとえばラーメン屋で500円だった定食を思い浮かべてほしい。3%の消費税導入で、本体価格500円に消費税15円を加えて515円にした店と、お客さんに迷惑をかけたくなくて値段を据え置いた店があった。据え置くと本体価格485円、消費税15円となり、利益が15円減ったが、営業努力で切り抜けようとしたのだ。
  消費税が5%になっても500円に据え置いたら、本体価格476円、消費税24円で、利益はさらに9円減る。8%になった今月以降も500円に据え置くと、本体価格463円、消費税37円。消費税導入前より利益は37円も減少することになる。材料の仕入れ値が上昇する中、これ以上の営業努力は無理だろう。
  ちまたでは便乗値上げを疑う声もあるようだ。だが本体価格を消費税導入前の500円に戻し、8%の消費税40円を加算するのは便乗値上げとは違うと思う。
  大手企業は以前から、消費税を1円、2円の端数まで上乗せできただろう。営業努力を重ねてきた中小事業者が、消費税8%を元々の本体価格に上乗せしてもいいのではないか。
(引用終)


  一見もっともらしいこういう意見が実は本質を煙に巻くことになりかねないという例でしょう。

  この投書の前提は、消費税導入の1989年4月1日よりも前から営業していて、なおかつ価格改定を一度も実施していない店という点です。ではお店に行っていちいち「お前の店は25年以上営業していて一度も価格を変えたことがないのか」と問い詰めて証拠を出させろというのでしょうか。それも無茶な話です。

  投書者さんの周囲にそういう店がいくつかあったとしても、それを全国紙で主張するのは(東京本社版のみの掲載かもしれませんが)いかがなものかと思います。むしろ体のいい便乗を追認する形になりはしませんかね。

  我が家の近所でも税込み500円だったお弁当が税抜き500円、つまり税込み540円になった例があります。その店は拙者が武蔵中原に越してきてかなり経ってからの開店なので、もちろん消費税導入後どころか21世紀になってからです。世間で批判を受けるのはそういったケースではないですかね。ある“大手企業”さんの中にも便乗と悟られないようにか、増税前に「メニュー刷新」と称して価格を改定、ありていに言うと値上げしたところもいくつかありました。価格が上がったぶん内容がゴージャスになったというならまだ納得できるでしょうけど。

  拙者がよく行くお店では、そのまま据え置いたところ、メニューの価格を下げて外税にしたところ、メニューの一部のみ改定して調整を図ったところと様々です。中には“正直”に諸般の事情から8%ぶん上げることにしたと表示しているお店もありましたがむしろこっそり上げるより好感が持てます。この投書も、ある店主さんの気持ちを代弁するものなら、投書じゃなくても方法はあったと思います。

  価格据え置きで、実は量を少し減らしましたと言われても、横浜や川崎だと“量より量”という感じのお店が多いので少しくらい減っても気づかないかもしれません。(汗

最新の画像もっと見る

2 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (けんもつ)
2014-04-28 03:46:11
すごいわかります
どっちの気持ちもすごいわかります
うちも正直悩みどころで
いつ値上げするか?のタイミングなんですよね
役所がうるさくて
生肉が売れなくなり減収
それに追い打ちをかけて
増税、仕入れの値上げ
保険の値上げ
移転により客が減り
もう首が回らない状態です
うちはお通しもやってないし
おしぼり代も席料ももらっておらず
どこで利益確保するか
毎日悩んでます
お客さんの理解ですよね
返信する
商売は大変ですね (雲葉)
2014-05-02 13:10:22
>けんもつ氏
いろいろご苦労がおありと察します。
メニューを増やしてカバーするにも限界があるでしょうし。
拙者ももっと足を運びたいところですけど
一ヶ所に落ち着かない(本来の意味での)性癖なので(汗
返信する

post a comment