工藤鍼灸院・院長のひとりごと2

真岡市(ハローワーク向かい)
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あなたの街のはり屋さん
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証もいろいろあるけれど

2006年11月21日 19時41分03秒 | 鍼灸・東洋医学
本日は秋晴れに恵まれました、非常に温かく心地良い一日でございました。
天気の悪い日が続いておりましたから、絶好のお洗濯日和になった方も多いのではないでしょうか。
本日も院長にお付き合いくださいませ。

さて、3日連続で同じような話から始まってしまうのですが、先日の経絡治療学会で講師の先生方と音読会をやっている時、講師陣の間で「脾虚証の患者さんは多いのか?」という話題になりました。

・・・あ、脾胃っていうのは消化器系の働きをする臓腑の事で、後天の精を生成している臓腑です(この後天の精が肺で吸収した天の気と混ざって後天の気が出来上がります)。

僕らが使っている『日本鍼灸医学・基礎編』という教科書の中では圧倒的に脾胃に関する記述が多いんです。記述が多いのだからそういう患者さんも多いの?という話になったわけですが、気になったので最近治療した当院の患者さんのカルテを見返して調べてみました。

基本証には以下の4種類があります。

・肝虚証
・脾虚証
・肺虚証
・腎虚証

細かく分類すれば寒熱の臓腑経絡への波及や実証などもありますからもっともっと多くなりますが、とりあえず基本はこの4つ。
そしたらね、面白い傾向になりましたよ。



まず最も多かったのは『肝虚証』の約40%。
地域の特徴として農作業などの肉体労働で血を消耗している方が多いですし、真岡工業団に勤める技術職の方など頭で血を消耗する職業の方も多いです。それがこういう結果につながっているのかも知れません。婦人科疾患も肝虚証の場合が比較的多いです。これも肉体的・精神的にストレス過多の現代社会を反映する結果ですかねぇ・・・。

次点はやはりこれ、『腎虚証』の約30%。
逆子の妊婦さんや高齢者に多い証でもあります。逆子の方はほとんどがこの証ですし(たまに肝虚もありますが)、年を取れば誰でも先天の気が宿る腎の働きが弱まります。

3位に食い込みましたのは出ました今回の主役、脾虚証で約15%。
意外に少ない結果ですが、僕がブログに症例を出しているのはほとんどが脾虚の治療。それだけ珍しい病気や症状の方が多い証だとも言えます。

最も少なかったのは肺虚証で約5%程度。
これは当院で診る事は非常に稀な証で、予想通りの最下位という結果でした。カゼのひき始めの本当に早い段階とか、歯が痛い時とか、その程度でしか診ない証でしょうか。乳幼児に限ればもう少し割合は多くなると思います。

残りの約10%は肝実証(脾虚肝実証や肺虚肝実証)だったり、一経のみの虚や脾虚腎虚証などのごく稀な証です。



というわけで、僕の結論。
脾虚証の患者さんはそんなに多くない。



・・・でもね、脾胃の働きってすごく重要。
脾は胃を働かせて気血津液の元のなる後天の精を生成し、全身の各部位や臓腑経絡を栄養する役目をしているわけです。だから脾胃が働かないと生きていけないですし、非常に重要な臓腑です。脾胃に関する記述が多いのもそのためでしょう。
教科書の記述に脾胃の項目が多いのは決して脾虚証の患者さんが多いからじゃない・・・と考えていますが、どうでしょう!?
コメント
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