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実戦教師塾・琴寄政人の〈場所〉

震災と原発で大揺れの日本、私たちにとって不動の場所とは何か

旭川・下 実戦教師塾通信九百四十号

2024-11-29 11:39:25 | 子ども/学校

旭川・下

 ~現場が語る~

 

 ☆初めに☆

前回の記事に対し、ネット上で見つけたものを提供して下さる方が結構います。爽彩ちゃんが言ったのは、「助けてください」か「死にたい」のどっちだったのか、などと言ってくれます。当時もこんなしょうもない議論を、雑誌(ネット)や学校の間でやっていました。爽彩ちゃんの苦しみは錯綜としていたのではないか、と思えます。断りますが、文春オンライン特集班による『娘の遺体は凍っていた』(以下「文春」と表記)と一次報告書は、全く違う視点で書かれている。恐らく「文春」は意図することなく、まさかの母親像を浮き立たせてしまった気がしています。

 

 1 この川で溺れる?

 集会の後、関係者の方々から「現場に行きたくありませんか」と言われ、公園とそばを流れるウッペツ川に案内してもらった。真っ暗な公園で撮った、野田正彰先生とのショット。雪の残る公園。先生は寒くないのでしょうか。

夜だったから余計だと思うが、公園の柵を乗り越えて川に降りようとする私を「危ないです」と周囲が止めた。子どもが乗り越えたものだが、結構な高さだ。そして、チャレンジしているのは高齢者だ。と思って止めたのだろう。ここを越えたのは今まででは某新聞社だけだ、とも言った。柵の向こうに滑り落ちそうな護岸と葦?の茂みが現れる。

これは翌日の昼間に撮った写真。右側は柵を越えて撮ったもの。左側は更に土手を降りて撮ったもの。土手下のコンクリートブロック護岸、3mはあるだろうか。真下に切り立ったようなブロックである。ここも降りて、子どもたちは川に向かった。事件は6月だから、緑の茂みだったのだろう。それにしても……これが入水事件の現場と呼ばれているのだ。当日は「終日、小雨」(一次報告書)で、夕方からは少し強くなったというものの、これが「自殺未遂」の現場と言えるものなのか。彼女が、学校には「助けてください」と、先輩には「死にたい」と訴えたことで、そんな呼ばれ方をしたのだろう。「文春」では「飛び降り」「飛び込み」と繰り返されているが、多くの資料では「爽彩さんは次第にひざまで川に」進んで行く様子が報告されている。「文春」さえ「水深は浅い小さな川」とある。今はそれは置いておこう。ここで大切なのは別なことだ。「文春」の「母親の手記」に書かれている、この時のことだ。

「……私は川に降りて爽彩のもとへ行こうと思ったのですが、警察の方に危ないからと止められて待っていた」

とあることだ。「文春」を初めて読んだ頃、私には母親への強いシンパシーがあった。でも、この部分に関しては抵抗を感じないではいられなかった。一体なにが「危ない」? なぜ「待っていた」? コンクリートの斜面のことか? 実は岸の何カ所かに、段差が設けられている。今だから言える。「一体、何をためらったというのだ」⁉

護岸コンクリートに設けられた段差。

 

 2 何をしていた?

 もうひとつの事件現場。念のため繰り返す。爽彩ちゃんに「いじめ」がされた、だと⁉ おぞましい「性的辱め」だろうに。ふざけるな。公園入口からは、行為が続けられたというトイレも見える。事件後、使用が停止された。

少し歩くと、白樺や銀杏が芝生の上に並ぶ向こう側に、爽彩ちゃんを煽った連中がたむろった東屋が見えて来る。左奥に見えるのが小学校。校庭の垣根の隙間から公園に出入りができる。何が行われたか読者も知っていると思うし、多くは書かない。一次報告書の黒塗り部分、彼女がツィッター上に記載したと言われる言葉を少しだけ。

<いつの間にかコンビニに行く時は私が全部払う。……いつの間にか先輩たちに頼まれて〇〇まで見せることになってました。……途中から羞恥心なんてありませんでした>

ここでまた、「文春」の「母親の手記」を取り上げないわけには行かない。

「……真夜中に爽彩が誰かに呼び出され、相当なパニックを起こして泣いて『絶対に行かなきゃいけない』と慌てた様子で言うので、無理矢理止めたこともありました」(下線部は私)

この前もこの後も、母親は何を知っていたというのだ、そして一体何をしていたのだ。

 

 3 怒りの矛先

 市内ガーデンセンターで行われた先生のレクチャー&討議の後、移動の車の中でのこと。私の「小中学生は親がしっかり寄り添っていたら、絶対に自殺しない」という考えを、先生に確かめた。その通りだよ、と先生は言った。高校生まではしないよ、とも言った。しかし、先生の怒りの矛先は医療機関に向いている。旭川の事件の核心は、暴力的で非常識な医療対処にあるという。次回詳しく報告するが、爽彩ちゃんは医者と病院に殺されたという考えが、先生の根底に息づいている。それに加担した学校の責任も問われないといけないのだが、学校関係者に一番の憤りを募らせる私とは、違っている。しかし、こうして「親の責任/愛情」の在り方については、共通の認識を持つようだ。

 再調査報告で「AIが使われた」と、もっぱらの喧騒(けんそう)である。しかし、騒いでいるのは周辺だけで、肝心の再調査をした委員まで「特に画期的というものではなく」と言うように、一定の言語を資料からAIが抽出する方法だった。野田先生は使用頻度が問題の核心ではなく、どんな文脈上で出されているか/本人の具体的身体的状況下で使われているかを見なければ意味がないと、今回の再調査を批判する。そして、爽彩ちゃんの医療措置に話が及ぶと、その凄惨さを指摘するのである。どんなにひどい薬だったか分かっているのか⁉ 先生の舌鋒は激しさを増す。

 

 ☆後記☆

文春の向こうを張って、今度は「新潮」が、母親の虐待で爽彩ちゃんは死に追いやられたという記事を出す噂が、地元旭川で流れているそうです。ホントかよ?何やってんだ、という気持ちです。記事を書くのが、これまた若者問題を食い物にしているタレントもどきの「М」と聞いて、再び何やってんだ、と思いました。与太話ですね。そんなことはどうでもよろしい。次回の最後の記事は、野田正彰先生のレクチャーが中心となります。

 ☆☆

日野正平、亡くなりました。女にだらしがない、というイメージを持っていました。刑事ものでわき役を演じる姿を見ていたら、これじゃ女にもてるよなという気持ちになりました。わき役が主役を持って行ってしまうという役者を、樹木希林で初めて知りました。日野正平もそうだったんだな、と思っています。NHKの自転車の旅、良かった。

 ☆☆

昨日から、久しぶりに福島にいます。今年最後となります。たくさん元気をもらって来ま~す👊🍂


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