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現地調査 実戦教師塾通信九百七号

2024-04-05 11:22:37 | 戦後/昭和

現地調査

 ~明白なミスリード~

 

 ☆初めに☆

3月9日、「勝又拓哉さんを守る会」主催の、今市事件現地調査に行って来ました。勝又さんの供述した足取りを追うのです。少し遅れましたが、報告します。JR宇都宮駅で集合しました。宇都宮駅構内を東口に向かいます。

いい天気でした。常磐線の勝田駅から「殺害現場」に向かう一行と、報道陣や個人で車で向かう人たちもたくさんでした。宇都宮駅から向かう私たちの大型バスは、補助席も含め満席状態でした。バス内で、事件の資料を学習します。救援会の人たちや弁護士さんたちに聞くことがたくさんありました。思わず熱くなってしまいました。

 1 性的行為の痕跡

 以前レポートした今市事件を、事実の追加と共に振り返ろうと思う。判決が確定するまで様々な疑問点や要素があるが、中でも私が一番気になっているのが、この事件当初前面に押し出された、被害女児への「わいせつ行為」である。一審の宇都宮地裁で、この司法解剖を担当した医師が証人として出廷した。驚くべきことに、担当した本田克也医師は検察側の証人ではなく、弁護側の証人だった。いくつか端的な証言を抄出する。思い起こすと、検察が明らかにした殺害動機は「わいせつ行為を行い、顔を見られたので発覚を恐れた」というものだ。しかし、本田医師の鑑定は、

女児の身体所見に、わいせつ行為を示す痕跡は一切残されていなかった/(わいせつ行為に)関係する部位のDNA鑑定も行うが何一つ出ず傷も一切見られなかった/一方で心臓を10回も刺すという行為は正常な人間の行為とは思えなかった/性的いたずら目的ではないと解剖時に感じた

というものである。「外陰部には損傷異常を認めず、姦淫などを示唆する所見はない」と明記している。何ゆえに宇都宮地検、栃木県警はこの鑑定書を採用しなかったのか。いや、読んでいたのか? 読んでいれば捜査はもちろん、裁判の方向は変わっていた。いや、裁判にはならず、勝又さんは不起訴となる。本田医師によれば、自分は当然、検察側の証人として出廷するつもりでいたという。しかし、推薦されなかった。解剖所見が、勝又さんの供述と食い違っていたからだと考える以外にない。本田医師は一連の矛盾点をあげて説得したそうだが、ついに捜査側は応じなかった。

 宿泊せず、翌日の集会にも参加できない私は、一日目のバスの中で、この点だけでも確かめたいと思っていた。被害女児の遺体が見つかった2005年12月2日の夜、司法解剖が行われ鑑定書が提出されている。にもかかわらずスムーズで真っ当な進展が出来なかったのは、初動に遅れがあったとも聞いたが、あるいは捜査側が事件のシナリオ作りにまい進した結果なのか(あってはならないことだが、冤罪事件にはつきものだ)、という点である。私の質問に対応してくれたのは、担当弁護士さんだった。控訴審で着任した弁護士さんで、DNA鑑定を専門とする方だった。長いやり取りをしたが、バスの中でお互い顔が見えず、マイクを通したやり取りだったことも手伝い、不十分なやり取りとなった。次の機会にちゃんと確かめたいと思っている。

 2 お兄ちゃんのためなんだから

 バスが休憩所で停まって外に出た時、勝又さんの弟・有史君(と、私は呼んでいる)から、今日のために女の子と同じダミーを作ったんです、と聞かされた。身長・体重など、すべてのサイズをそろえたという。体重は20キロだ。大変でしたよ、と言った。でも、お兄ちゃんのためになるんだったら何でもない、と言った。

国道293号線の集合地点から、殺害現場に向かう。参加人数が100人を優に超えたため、集団は二つに分けて確認作業が行われた。写真で見る通り狭い山道だが、犯人は女の子を車に乗せて、この道を上っている。下の写真が殺害現場で、女の子は殺害された後、左側の草木の生い茂った斜面を、二度にわたって転げ落とされている。

有史君が作ったダミーでの再現場面は載せないが、20キロの人形を片手で支えつつナイフを10回突き立てる作業である。若者も含め何人かその作業をやったが、口々に「出来るものではない」と言った。勝又さんの自供通りにやったのだ。寒い日だったが、青空の見通しのいい中での再現だった。しかし、事件は真夜中に起きている。狭い道を上った車が、ライトで照らしてやったものなのか。十回にわたって刺されたというのに確認された血液が極めて微量だったこと、勝又さんの自供では女の子は地面に立たせて犯行に及んでいるのに足の裏に土がついてなかった(確認するが、発見時に女の子は衣類を何も付けていない)こと等々、不可解なたくさんのことが思い起こされるばかりだった。

 

 ☆後記☆

前にも言いましたが控訴審の判決(控訴審_判決文.pdf))、長文ですが読むといいです。「証拠が不十分と言って、犯人でないと断定することは出来ない」(本当はもっと分かりづらい業界用語で書かれています)なる文言が何度も出て来ます。また繰り返しますが、「疑わしきは被告の利益に」という原則は、どこかにすっ飛ばしてます。今回の記事前半は一審に関するものですが、控訴審は実に居丈高で尊大な裁判長だったそうです。映画の周防監督に言わせると「香川照之にやらせると、うまくやると思った」というエピソードもあります。

 ☆☆

ついに来ました、オオタニさん💣 こうでなくちゃ! どうしてこんなに感動させるんだろう、特大ホームラン  インタビューでの「メンタルとどう付き合うかというのも技術」とは、またしても大谷語録ですね~

スポニチ買っちゃいました✌

一方で、とても残念でショックだったことがあります。某航空会社の社員入社式で、大谷選手の挨拶動画があったそうです。「これからも希望と感動を与える選手であり続けたい」とは! こんな愚かなことを言う者どもの仲間ではないはず! きっと、ニュースが間違ってる。40打席ホームランが無かったことなんかより、はるかに衝撃でした。

桜、天候に恵まれませんね。でも、こうして咲いている。近くの中学校🌸 明日は青空に、映えますように☺