実戦教師塾・琴寄政人の〈場所〉

震災と原発で大揺れの日本、私たちにとって不動の場所とは何か

超人 実戦教師塾通信八百五十三号

2023-03-24 11:39:58 | エンターテインメント

超人

 ~解放というカタルシス~

 

 ☆初めに☆

涙をそそる感動でした~。休日は仲間と見たけど、決勝の水曜日はリタイア組で良かった!と、心から思いました。私はジャパンの選手たちを知らな過ぎてて……。やっぱりオオタニさんのことを書くことにします。努力を積み重ね考えぬいている姿を、エンターテイナー!と言っては失礼と分かってます。でもたとえば、皆さんご存知でしょうが、今は解説者となっている元大リーガーのロドリゲスとオルティスが、オオタニさんに質問をするわけです。

「真剣な質問なんだけど、どこの惑星で生まれたの?」

「日本の田舎」なる答は、二人の爆笑を誘ったそうです。二人の質問はユーモアに満ちていながら、オオタニさんの超人的な実力をリスペクトしています。オオタニさんの周囲で起きることは、すべてにわたって「肯定的」です。

**記事を書くにあたっては、主にスポニチと雑誌『number』を参考にしました。

メキシコとの準決勝はサヨナラのシーン(これは3月22日のスポーツ報知)

 

 1 ささやかな幸せ

 ライト前にヒットを打ったのに、まるで水の中で走るようで、全く足が進まずアウトになる夢を良く見たという。2021年を振り返ってのことだ。その3年前に右ひじ(トミー・ジョン)手術を受けているのである。リハビリ状態のストレスが充満していた時だったらしい。もちろん、話はそれで終わらない。

「でも野球でストレスを感じるって、いいところだと思うんですよ。毎日毎日、結果が出て、よかった悪かったと思える職業ってあんまりないでしょ。そこが楽しいことろだし、キツいところでもある」

やっぱり人間だったんだと思ってホッとすると同時に、ここにオオタニさんの揺るがない「入口」を見る。しかし、その「入口」とやらは、自分が今まで最も絶好調だった時を問われて「小学校の六年から中一にかけて」だという、多分に相当タイトな「入口」だ。そして、常に忘れていない「入口」なのだろう。また、オフでも身体を絞りこむので、たまにしかしないという朝食の話がまたいい。朝の有酸素運動を終えてからコーヒーを淹れ、トーストにチョコレートのソースを塗る。こんな時に「ささやかな幸せを感じる」んだという。こんな人が、本人が言うような野球のことしか考えていない人間であるはずがない。匂いたつようなオーラが、周囲を巻き込んでいく。

「翔平はどうすれば自分が自分らしくいられるかを知っている」(エンゼルス・バトン元監督)

「とてつもないエネルギーは、みんなに伝わっていく」(同・レンドーン)

 

 2 どこまでも肯定的な

 オオタニさんの大リーグでの活躍を見ていたら、私たち世代のレジェンド、「力道山」を見ているような気がする、と以前に書いたかもしれない。力道山は敗戦で疲弊していた日本を勇気づけた。金髪のプロレスラーをバッタバッタとなぎ倒し、日本の雄姿を示した(実は出身は朝鮮半島だったが)。その頃まだ数少なかったテレビが据えられた神社で、人々はアリのように群れて熱い声援を送った。オオタニさんのバットとボールで大リーガーを圧倒する姿は、それと重なるような気がした。でも違った。相手を「倒す」ことは、相手を「排撃」することではなかった。ヒットで塁上にいる時、そして試合が終わってから、相手チームもオオタニさんに微笑んで話しかけるのである。そしてそれは、当たり前の景色となっている。オオタニさんが野球を好きなレベルは、尋常ではないものがある。

 王もイチローも、もちろん野球を好きだが、誰が見ても耐え忍んでいる姿は「99%」の努力を体現している。オオタニさんだって同じなのだが、徹底していることがある。野球を好きな自分のために、余計なことをすべて排していることだ。その姿勢に両親を始めとした(友人も)周囲が協力していることだ。オオタニさんの素顔を知りたいがため、あらゆる手が尽くされているのは間違いない。しかし、本人はもちろん、その周囲がメディア上に全く露出することがないのは、このことを示している。野球人としてでなく、エンターテイナーとして自分を売り込むことで野球界に貢献しようという御仁もいらっしゃる。それも悪くはないのだろう。でも、野球に徹したオオタニさんだからこそ、自分のプレイで「勇気や希望を与えたい」ではなく、

「次の世代の子たちが、僕らも頑張りたいと思ってくれたら幸せです

と言える。自分は「与える」方ではなく「与えられる」方だ、と言っている。この違いは大きい。などと言ったあと、オオタニさんはこんな風に誰かと比べるような言い方はしないよな、と恥ずかしくなる……のです。

 

 ☆後記☆

解説の松坂が「言葉にならない……って言ってたらダメなんですけど」というコメントが、すこぶる好感ありました。何とか「言いたい」という気持ちがいいのですよね。「……のひと言です」「……しかありません」てのが、実は感極まってない状態だということでしょうか。またこんなこと言ってマズイなぁと思うのは、オオタニさんのお陰です。

これは見事な、手賀沼沿いのハクモクレンです。下は国道呼塚近くの大堀川で。

先日のこども食堂「うさぎとカメ」 雨が本降りの中、たくさんの人たちが、カレーを「美味しい」と食べて行ってくれました その下は少し不揃いで、これはこれでなかなかな靴の写真 「なに撮ってんの?」と言われました。

そして、今日は修了式。一年間お疲れ様でした。進級・進学おめでとう