実戦教師塾・琴寄政人の〈場所〉

震災と原発で大揺れの日本、私たちにとって不動の場所とは何か

初夏 実戦教師塾通信六百六十号

2019-07-12 11:23:40 | 福島からの報告
 初夏


 ☆初めに☆
この間の記事を読んで、いわきの仮設住宅まで支援に来た方々から問い合わせがありました。複雑な気持ちになると思いますが、仮設住宅の現在を紹介します。左手の空き地です。

右手が小学校ですが、プールからはあの頃のように子どもたちの歓声が聞こえます。

 ☆収穫☆
泣きだしそうな空の楢葉町でした。食事中の牛さんたち。


ちょうど梅の収穫を一区切りした渡部さん夫婦でした。大きな駕籠(かご)に、梅がぎっしりつまってます。
「今年は梅干しに挑戦しようと思って」
奥さんが上気した顔で言い、
「ヘタはひとつひとつ竹串でとらねばなんねえ」
おばあちゃんが解説します。

屋外の運動スペースがかなり拡がってました。白い梱包(こんぽう)の牧草が見えます。

牛さんたちが、またオマエか?みたいな顔してこっちを向いてる。右奥は梅の木の横に二台の脚立が見えますが、二人してつい今し方までここに登ってたのです。


生まれたての子牛ですが、母牛が見当たらない。

「子育て放棄されちゃってさ。牛の世界にあるなんてねぇ」
奥さんが困ったように言うのです。蛭田牧場の助けで、母乳をなんとかまかなっているそうで。

 ☆大熊町☆
おばあちゃんの手作り、金柑の密漬けをお茶請けに、オリンピックの話になりました。残念ながら、蛭田さんも渡部さんもランナーに推薦ならなかった。二人とも楢葉のトップランナーなのに。

写真を見て分かるように、Jビレッジをスタートした聖火のルートとして、大熊町が決定した。双葉町はまだ分かんねえ、と渡部さん。「(安倍首相は)原発事故からの復興を国内外にアピールしたい考えだ」という記事の文言は、どのような気持ちで書かれたのだろう。
コトヨリさんは戦争を知らないんだよね、おばあちゃんがそう確認したあと、
「大熊は、昔から大変だったよ」
この話、前にも聞いたなあと思いながら、私は耳をすませます。
飛行場があった大熊町は空襲を受ける。焼けて更地(さらち)になった飛行場。そこに復旧政策を受けて開拓民が入り、牧場が始まる。しかし今度は、広大な土地を求めて「原発」がやって来る。そしてそれが歴史的な事故を起こす。
「振り回されっぱなしでよ」
おばあちゃんは、ふっと息をつぐ。改めてさっきの「原発事故からの復興を………」を、私は思い起こす。

 ☆蛭田牧場☆
渡部さんの息子が「二週間の校外研修」をする。最近、この研修を受け入れる農家が減少傾向だという。それで決まったのが、蛭田牧場!なのだった。自宅からの「通学」と相成ったわけです。
「今日もよ、昼間はダメだから夕方に来いだってよ」
私も笑ってしまいます。なんだかんだ大変なやりくりをしているのだなあと。
そしてさっきの「子育て放棄された」子牛の話です。この子牛、蛭田牧場の「初乳」を飲ませてもらうのです。
「初乳は外に出して販売してはいけないって法律があるんだ」
出産直後の母牛の乳は、とても抗体が多く含まれる、だからそれは人間用ではなく子牛に与えないといけないという法律らしい。

息子が庭先に帰って来たなと思う間もなく、蛭田牧場へと「登校」するのでした。



 ☆後記☆
おっきなジャガイモ、どっさり頂きました。メークインとキタアカリ。仲間のみんなと分けました。いつもありがとうございます。
 ☆☆
田中俊一前原子力規制委員長が、福島市で講演を行いました。このブログ記事の翌日なんです。行って来たので、次回?に報告いたします。
 ☆☆
久しぶりに、いわき市の文化施設「アリオス」に用があって出むきました。

一階の割れたガラス窓や破壊された店舗を思い出しました。あの年の4月12日、震度6の激しい余震と嵐があって、ここに泊めてもらったことも、ついこの間のことみたいです。この余震のお蔭で、90%復旧した水道がみんなダメになったんです。

つかこうへいファンの皆さん、そして全共闘の皆さん、一階ホールに『飛龍伝』のポスターがありましたよ。
 ☆☆
フジテレビの月9『監察医』が始まりました。抑制(よくせい)がきいているのは演技ばかりではありません。静かなストーリーです。いやあ月9、こんなドラマを作れるじゃないか。月9見るのは2012年是枝監督の『ゴーイングマイホーム』以来です。しかもこの時は入れ込んで見ることはありませんでした。でも今度はいいぞ。ドクターXの男版っぽいテレ朝の『サイン』、太刀打ち出来るかな。
 ☆☆
今日は先月に引き続き品川のスタジオで録画して来ます。今回は『校則』です。この問題って結構入り組んでるんですよ。アップされたら報告します。