博士との遭遇(そうぐう)
~「平和」を貫くために~
☆初めに☆
今回のジャンルは珍しく「日記」です。つい先日のことなんです。面白いことがありまして、こりゃお披露目(ひろめ)しようということなんです。オマエの記事はいつも真面目すぎるというクレームというか、リクエストじみた感想も結構あるので、この機会に少し息抜きしましょう。
まあ会社での面倒、また学校ということなら、職員室や子どもとのやりとりの時、多少はお役に立てるかもしれません。でも、接客対応には使えませんね。とにかく面白いんです。ねちっこく書いてみますね。
1 鴨せいろ
私はそばが好きで、お気に入りのお店にふた月に一度くらいお邪魔します。
駅近くのお店なのですが、この日はちょうどお昼時で、店は家族連れや老若のカップルなどでほぼ満員でした。入口近くの10人ほどが座れる四角いコーナーに少し空きがあったので、私はそこに座りました。
席の様子を少し説明します。この話で大切なことなんで。
壁に沿った席だけが板敷きです。ここだけ3人ぐらいだったらゆったりと座れる。残った三辺には椅子が二つずつありました。板敷きのスペースには男の方がひとり、その向かいに夫婦が一組、その右側には男の方がいました。私は残った側のひとつに腰掛けました。図まで付けますね。
ここまでやるのは恥ずかしいので小さめにしましたが、大きくして見てくれても結構ですよ。
先も言ったように店は混雑してまして、私が「鴨せいろ」を注文しようとしても、店員さんがなかなか対応出来ない状態でした。私の左にいる男の人が、
「おい、から揚げ頼んだんだけど来てないんだよ」
と大きい声で言います。店員さんは、順番にやっておりますので、と申し訳なさそうに言うのでした。
この男の人なんですが、多分年令は私ぐらい。つまりお年寄りです。その風貌(ふうぼう)なんですが、お茶の水博士なんですよ。あのアトムの。鼻こそレギュラーサイズですが、髪型はまさしくソックリさんなのです。
お茶の水博士(雑誌『少年』1962年11月号より)
さて、店は満員。次々に来るお客さんは、入口であきらめて出て行く方もいました。でもその中で、いかにも残念そうにたたずんでいる老夫婦がいらしたのです。
2 地球外生命体
「じゃあ、ここに座るといいですよ」
私は入口のそばに立っている夫婦に声をかけました。そして、お茶の水博士のコーナーへと身体をずらしました。すると、
「こっちに来ないで欲しいなあ」
と、博士は気難しげな顔を私に向けて言うのです。面白~い。博士の両側には、客が入れるスペースが充分にあるのです。博士の席を見ると、つまみが二三品、鎮座(ちんざ)しており、左手には酎ハイらしきグラスが握られておりました。
「すみません、詰めてもらえますか」
私は言いました。これは右側のスペースを私が断りもなく侵略したため、博士が憤慨(ふんがい)したのかも知れないと考えたから。ではありません。それより、こんな面白い相手と遭遇した幸福を、私は喜んだのです。博士は、私が地球の生物ではない連中(中学生)を相手にしてきた人類であることを知るよしもないのです。私はやる気満々になったのです。博士はそんなことも知らず続けました。
「オレはゆっくりしたいんだよ」
おお、やる気だ。でも、ここで店内の混雑や世間の常識を説く愚(ぐ)をやってはいけません。相手は地球外生命体なのです。そんな見極めは基本です。そんなごちゃごちゃをやって店内の人たちが喜ぶでしょうか。お客さんはお茶の水博士の正体が分からず、不安になっているだけなのです。その正体さえ分かればいいのです。でも、私が向かいに残された席にぐるっと大回りして移動するとか、老夫婦が遠慮していなくなるという結果は、博士の正体を「?」のままにするのです。それもこの人たちは望みません。そばの味にもいい影響をもたらしません。
私の仕事は、あくまで相手の正体を確かめること、です。私は博士の右側を侵略したまま、
「どうぞ、ごゆっくり」
と、博士に言いました。
「これじゃゆっくり出来ないんだよ」
酎ハイのおかげで、赤鬼のような顔をした博士のやる気は続いてます。私も喜んで、嫌がらせを続けます。
「それじゃ私がもう少し端(はじ)にずれるといいですね」
でも、ここで終了のゴングです。
「どうぞ、こちらに来てください」
向かいに座っていた男の方が隣を指さし、私に声をかけました。残念。でもこれで店の中にいる皆さんには充分のはずです。これ以上の答を必要としていません。博士の出身が、それでは火星なのか木星なのか、もうそんなことはどうでもいい。ましては、この生命体と人類の最終戦争など見たくも何ともないはずです。ちょうどいい頃合いなのです。
「すみませんでした」
私は深々と博士に頭を下げたのでした。でもホントは、こんな楽しいひと時をくれた博士には、お礼を言うべきでした。
そっと私にお礼を言う店の人、お辞儀をする老夫婦。いえいえそれには及びません。
☆後記☆
今回は相手が老人でしたが、電車通学(下校の時?)する高校生のマナーがなってないと、よく取り上げられます。そういう場面に遭遇したいものだと、今回のことで改めて思いました。車内の床に座っている高校生は、ごめんね、と私が言うと、以前は身体をずらしたもんなんですが、そんなことも出来なくなったのでしょうか。
我が家の桃?の花。来週は満開になることでしょう。
☆ ☆
やった、イチローやりました! 嬉しくて胸が熱くなりました。今年もイチメーターのフィギュア、セットしました。
ちなみに向こうに見えるのが、ホンダCB750。手前はホンダがF1で初めて優勝した、1965年メキシコGPでのリッチギンサーのマシンです。
☆ ☆
あさってで、東日本大震災から8年。7年が過ぎました。私が行くのは来週になります。
あと関係ないですが、ザギトワのおかげで秋田犬がずいぶんと話題になってます。でも秋田犬て、いつから「アキタイヌ」になったんですかね。気になってしょうがないです。
~「平和」を貫くために~
☆初めに☆
今回のジャンルは珍しく「日記」です。つい先日のことなんです。面白いことがありまして、こりゃお披露目(ひろめ)しようということなんです。オマエの記事はいつも真面目すぎるというクレームというか、リクエストじみた感想も結構あるので、この機会に少し息抜きしましょう。
まあ会社での面倒、また学校ということなら、職員室や子どもとのやりとりの時、多少はお役に立てるかもしれません。でも、接客対応には使えませんね。とにかく面白いんです。ねちっこく書いてみますね。
1 鴨せいろ
私はそばが好きで、お気に入りのお店にふた月に一度くらいお邪魔します。
駅近くのお店なのですが、この日はちょうどお昼時で、店は家族連れや老若のカップルなどでほぼ満員でした。入口近くの10人ほどが座れる四角いコーナーに少し空きがあったので、私はそこに座りました。
席の様子を少し説明します。この話で大切なことなんで。
壁に沿った席だけが板敷きです。ここだけ3人ぐらいだったらゆったりと座れる。残った三辺には椅子が二つずつありました。板敷きのスペースには男の方がひとり、その向かいに夫婦が一組、その右側には男の方がいました。私は残った側のひとつに腰掛けました。図まで付けますね。
ここまでやるのは恥ずかしいので小さめにしましたが、大きくして見てくれても結構ですよ。
先も言ったように店は混雑してまして、私が「鴨せいろ」を注文しようとしても、店員さんがなかなか対応出来ない状態でした。私の左にいる男の人が、
「おい、から揚げ頼んだんだけど来てないんだよ」
と大きい声で言います。店員さんは、順番にやっておりますので、と申し訳なさそうに言うのでした。
この男の人なんですが、多分年令は私ぐらい。つまりお年寄りです。その風貌(ふうぼう)なんですが、お茶の水博士なんですよ。あのアトムの。鼻こそレギュラーサイズですが、髪型はまさしくソックリさんなのです。
お茶の水博士(雑誌『少年』1962年11月号より)
さて、店は満員。次々に来るお客さんは、入口であきらめて出て行く方もいました。でもその中で、いかにも残念そうにたたずんでいる老夫婦がいらしたのです。
2 地球外生命体
「じゃあ、ここに座るといいですよ」
私は入口のそばに立っている夫婦に声をかけました。そして、お茶の水博士のコーナーへと身体をずらしました。すると、
「こっちに来ないで欲しいなあ」
と、博士は気難しげな顔を私に向けて言うのです。面白~い。博士の両側には、客が入れるスペースが充分にあるのです。博士の席を見ると、つまみが二三品、鎮座(ちんざ)しており、左手には酎ハイらしきグラスが握られておりました。
「すみません、詰めてもらえますか」
私は言いました。これは右側のスペースを私が断りもなく侵略したため、博士が憤慨(ふんがい)したのかも知れないと考えたから。ではありません。それより、こんな面白い相手と遭遇した幸福を、私は喜んだのです。博士は、私が地球の生物ではない連中(中学生)を相手にしてきた人類であることを知るよしもないのです。私はやる気満々になったのです。博士はそんなことも知らず続けました。
「オレはゆっくりしたいんだよ」
おお、やる気だ。でも、ここで店内の混雑や世間の常識を説く愚(ぐ)をやってはいけません。相手は地球外生命体なのです。そんな見極めは基本です。そんなごちゃごちゃをやって店内の人たちが喜ぶでしょうか。お客さんはお茶の水博士の正体が分からず、不安になっているだけなのです。その正体さえ分かればいいのです。でも、私が向かいに残された席にぐるっと大回りして移動するとか、老夫婦が遠慮していなくなるという結果は、博士の正体を「?」のままにするのです。それもこの人たちは望みません。そばの味にもいい影響をもたらしません。
私の仕事は、あくまで相手の正体を確かめること、です。私は博士の右側を侵略したまま、
「どうぞ、ごゆっくり」
と、博士に言いました。
「これじゃゆっくり出来ないんだよ」
酎ハイのおかげで、赤鬼のような顔をした博士のやる気は続いてます。私も喜んで、嫌がらせを続けます。
「それじゃ私がもう少し端(はじ)にずれるといいですね」
でも、ここで終了のゴングです。
「どうぞ、こちらに来てください」
向かいに座っていた男の方が隣を指さし、私に声をかけました。残念。でもこれで店の中にいる皆さんには充分のはずです。これ以上の答を必要としていません。博士の出身が、それでは火星なのか木星なのか、もうそんなことはどうでもいい。ましては、この生命体と人類の最終戦争など見たくも何ともないはずです。ちょうどいい頃合いなのです。
「すみませんでした」
私は深々と博士に頭を下げたのでした。でもホントは、こんな楽しいひと時をくれた博士には、お礼を言うべきでした。
そっと私にお礼を言う店の人、お辞儀をする老夫婦。いえいえそれには及びません。
☆後記☆
今回は相手が老人でしたが、電車通学(下校の時?)する高校生のマナーがなってないと、よく取り上げられます。そういう場面に遭遇したいものだと、今回のことで改めて思いました。車内の床に座っている高校生は、ごめんね、と私が言うと、以前は身体をずらしたもんなんですが、そんなことも出来なくなったのでしょうか。
我が家の桃?の花。来週は満開になることでしょう。
☆ ☆
やった、イチローやりました! 嬉しくて胸が熱くなりました。今年もイチメーターのフィギュア、セットしました。
ちなみに向こうに見えるのが、ホンダCB750。手前はホンダがF1で初めて優勝した、1965年メキシコGPでのリッチギンサーのマシンです。
☆ ☆
あさってで、東日本大震災から8年。7年が過ぎました。私が行くのは来週になります。
あと関係ないですが、ザギトワのおかげで秋田犬がずいぶんと話題になってます。でも秋田犬て、いつから「アキタイヌ」になったんですかね。気になってしょうがないです。