2022・師走(下)
~50年前のもの~
☆初めに☆
今年、日本での最大級な出来事と言えば、安倍首相の暗殺でしょう。あの時、「言論・民主主義の危機だ!」「2、26事件の再来だ!」なんぞと青ざめうろたえた、どっしようもない連中って、どんな奴らだったのかチェックしておくべきでしたね。メディアも大いに反省して、無能な「知識人」や無駄な記事を排しないといけません。「思想の巨人」・吉本隆明のお墓参りをしてから、4か月後の出来事でした。精神科医の中井久夫が亡くなったのが、安倍事件の一か月後です。骨太の思想家や人物が、次々となくなります(安倍首相は違います)。さみしいことです。
☆映画☆
香港の闘いを描いた映画『Blue Island 憂鬱之島』は、ぼんやりしている間に見逃してしまいました。香港と協力してこの映画を作ったのが日本。配給は京都・太秦という、どうして見なかったのかなあと後悔しきりです。
今年の収穫は春にレポートした、ウクライナ戦争の『ドンバス』。そしてもうひとつが『ベルファスト』です。北アイルランド紛争をテーマにしたものです。カソリックとプロテスタントの宗教戦争として、アイルランドはベルファストを中心に、1960年代後半から10年の間、凄惨な戦いが繰り広げられました。私の学校で勤務していたアイルランド出身の講師・バリーが、この紛争を祈念するセレモニーや碑の写真を見せてくれたことを思い出します。
モノクロ映画なのです。大昔の映画と思いきや、チラシにある通り今年のものです。これがなぜ注目を浴びたかというのは、賢明な読者にはお分かりでしょう。すでに過去の人となったイギリスのジョンソン首相がEUからの離脱を公約通り実行したことで、積年の北アイルランド問題が再び頭をもたげたからです。今年を振り返るに当たっては絶好のものです。すでにご存じの方も多いと思いますが、イギリス帝国の歴史を俯瞰します。
300年以上前の、国王による専制と議会政治の対立がこの問題の発端です。当時ヨーロッパで勢いを得ていたプロテスタントは、自由経済を積極的に推進するものでした。これが専制政治を追放するバックグラウンドになり、国王派はカソリックを主流とするアイルランドに逃亡。ここに追討というより、イギリスは「侵出」します。よその土地なんだから、これは国王派もイギリスも「侵出」したとするのが正しい。初めに入植したのが北アイルランドでした。北アイルランドとアイルランドが、今も別な国のような呼び方がされますが、その始まりです。この後イギリスはアイルランドの独立を容認しますが、参政権や関税の問題など、アイルランドはあくまでイギリスに従属的でした。不満がくすぶる国内は不安定なまま、ついに1969年、イギリス統一派とアイルランド独立派双方の「過激派」がぶつかる。それがアイルランド紛争です。国王対議会、そしてプロテスタント対カソリックという歴史的「国境問題」が、「ミニトランプ」・ジョンソンのブレグジット(EU撤退)で再燃しないはずがない。イギリスに不満を積もらせていたアイルランドがEU残留を選ぶのは、当然のことなのです。映画では、近隣住民のコミュニティや結婚など、すべて平和で幸せだった生活が突然激しい戦禍にさらされ、新たな「国境」の登場する様子が描かれます。
「宗教ってのは怖いよな。信仰の違いで人殺しやってんだもんな」
50年以上も前に、私を逮捕した刑事が、取り調べ室で雑談の時に言っていた言葉を思い出します。
☆テレビ☆
ドラマは殆ど見ませんでした。楽しみにしていたのは、東京系『記憶捜査~新宿東署事件ファイル~』だけ。毎週楽しみでした。唯一、1968年の米軍燃料タンク輸送阻止・新宿ベトナム反戦闘争を取り上げた最終回はムカつきましたがね。私たちは、例えば「鬼の4機(第4機動隊)」と呼んだ、口に警棒を突っ込んで歯やのどを破壊しつくす等の、容赦ない機動隊を恐れたことはありました。しかし、その中のひとりを恨むような余裕はなかった。というか、鎧のようなヘルメットやマスクで顔が見えないし、大体が袋叩きなので個人的に復讐を誓うなど出来ない相談だった。ということです。でも、ドラマは温かった。被害者・加害者を温かく包む、鬼塚警部(北大路欣也)がいいのです。
一回切りしか見なかったドラマもありましたが、大体が見る気を起こさせなかった。後悔してるのは、フジの『エルピス』。冤罪事件を扱うのは、かなりデリケートな神経が必要です。無理がたたるに決まってると思って見なかったのですが、足利事件の犯人とされた菅谷さんが監修したというのを知りました。残念ながらドラマはその時、既に大半を終えてました。ことのついでに、とは不謹慎ですが、2005年に女の子が殺された「今市事件」は、実にいい加減で許されない裁判が進められています。ひとつに女の子を縛るのに使ったテープから、容疑者のDNAは検出されず別なものが見つかっていたこと。もうひとつは、当初、犯行時刻と場所が極めて狭く断定されたものだったのが、検察側の訴因変更によって両方ともに大きく拡げられたこと、つまり良く分からないものになったこと。物証が全くない警察が決め手としたのは、容疑者の自供しかありませんでした。大体がこの事件は、近隣住民の「あいつに決まってる」という噂と早く解決しろという声に、警察が拙速な対応をしたようにしか見えません。今後に目が離せません。
☆後記☆
なんか字数がかさんでしまいました。本当はテレビ、ヒロシのこと等まだあるんです。福島のことも東京のこともまだ色々あるので、次回の「補」で書きます。
先週の子ども食堂「うさぎとカメ」で~す。公園で初めての開催です。ただ今準備中。曇天の寒空だったのですが、子どもは風の子でした 手前には行列が出来てますが、紹介できないのが残念です。
ドミノピザさん、ありがとう 右側には私たちからの年越しカップ麺と御餅、見えますか
この後、プロの方のご好意で「飾り寿司」が届きます。写真を撮れずにすみません。「カワイイ!」「サンタクロースだ!」の子どもたちの歓声が上がります。今回の飾り寿司の絵柄は「サンタさん」なんです
「これは何をしているんですか?」という意外な声がかかりました。通りかかった人たちが聞いて来るのです。外に開かれた公園の力ですねえ
今年も岡山の友人から、大きい美味しい牡蠣が届きました。暮れは、みんなが楽しみな季節でもあるのです
そして、今日は終業式! 明日から冬休みです MerryXmas!