旅倶楽部「こま通信」日記

これまで3500日以上世界を旅してきた小松が、より実り多い旅の実現と豊かな日常の為に主催する旅行クラブです。

ピアッツァ・アルメリーナの町へ~ローマ時代のモザイクだけを見るのではもったいない

2015-09-19 10:24:16 | イタリア

シチリア最大・最高のローマ時代のモザイク床が見学できるピアッツァ・アルメリーナは、内陸のけっこう不便な場所にある。この素晴らしいモザイクは、1929年から発掘されたのでなければ、パレルモあたりの大都市にまるごと持っていかれていてもおかしくなかっただろう。エジプト、ツタンカーメン王墓の発見が1922年だったのと同じく、現代考古学倫理が(あるていどにしても)確立されたおかげで、発見された場所で見学ができる。観光で訪れるのに少々不便ではあっても、モノをもともとあった場所で見る事は、本質を理解するために重要だ。

●カザレ荘は紀元後三世紀から四世紀ごろに建設されたローマの高官の屋敷だっただろうと推察されている。皇帝マクシミアヌスの引退後の住まいではなかったという説もある。

これがマクシミアヌス?

ディオクレティアヌス帝に見いだされた五歳年下の苦労人だった軍人マクシミアヌス。 西暦305年にディオクレティアヌスが皇帝を引退すると、道連れ引退されられてしまった。

引退当時のマクシミアヌスの年齢は54歳。後に二度復位した後に60歳で望まない死を遂げている。ゆっくり引退生活を送るような時間はなかったのだ。この姿がマクシミアヌスだとする説、少し年寄じみている気がするが、どうなのだろう。

別の説では、アフリカからめずらしい動物を輸入して財をなした人物とされている。この人物が動物たちが輸送されてゆくのを見守っているように見えるからか。いずれにしても、どこにも名前も何も書かれていないので推測するしかない。

別の部屋にはマクシミアヌスの息子・マクセンティウスと推測されている人物が描かれている。母親と共に浴場にいく姿か。きりっと誇り高そうだがのほほんとした表情の母に背中を押され、少し過保護で気が弱そうな少年。これがマクセンティウス?

マクセンティウスは父の引退の後に皇帝に名乗りを上げる。 父マクシミアヌスはあぶなっかしい息子を支えるために復位したのだった。

しかし、312年にローマ郊外ミルビオ橋の戦いで、コンスタンチヌス帝に敗れて敗死ししている。 

カザレ荘のモザイクについては、いろいろなところにたくさんの情報があるので、ここではこのぐらいにしよう。※前回2014年に小松が訪れた時の写真日記はこちらから

 一見の価値がある場所であるのは間違いない

***

今回は、以前から訪れてみたいと思っていたピアッツァ・アルメリーナの町を少しだけ訪問することができた。丘の上のこの光景を目にすると、街中を歩いてみたくなりませんか?道路は町をぐるっと半周。頂上に見える教会が別の角度からみられる位置に来た。大聖堂だけでなく、そのほかの尖塔がおもしろい。

こういった旧市街へ入っていくのは、小さめの車であってもちょっとためらわれるところだが、今日御一緒しているジョルジョさんはどんどん登っていってくれる行き止まりになったりしないかと心配したが、思ったより楽に頂上の大聖堂横まで到達した。

間近で見る大聖堂。入口右手、鐘楼にだけ白い石が使われている。古い時代の教会の一部だったと思われる部分だ。 あとから調べてみると、15世紀前半にカタロニア・ゴシック様式で建設された旧聖堂の名残である。 正確には分からないのだが、ここも地震で壊れた後の再建なのだろうか?現在見られるこの教会は1604年から建築がスタートしたとある。きのう訪れたノートを壊滅させた、1693年の大地震より以前の再建になる。さらにしらべてみると、1598年にマルコ・トリアゴーネという地元の男爵が建築をスタートさせていた。そうか、教会の正面に建てられていた全身像がこの人が建設発起人だったのか台座部分には彼の亡き妻の横顔。二人とも、この聖堂に葬られていた。

「いいなぁ、こんな小さな町の真ん中に一泊できたら」と、小松は思う。有名でなくても、美しいイタリアの小さな町の旧市街にあるこぢんまりしたホテルに泊まって、夕暮れの街をそぞろ歩いて美味しそうなレストランを見つけて入る。《手造の旅》で実現できるかしらん。

ふとみると、大聖堂のすぐ前に「ART HOTEL」と書いてあるじゃありませんかちょっと中を見せてもらえませんか?

ホテル入口は裏手だった。レセプションにいた女性にきくと「全部で七部屋」とのこと。ま、小松の催行する少人数ツアーならば使えなくもないでしょう。部屋はどんなだろう? 快く見せてくれた。

ひとつ上の階に四部屋、その上に三部屋。どれもデザイナー作品でデザインが違うのだそうだ。レトロなアメリカン小物が置かれていて壁の色も斬新「カーテンは手造りのアンティークなのよ」と彼女 こぢんまりしたダイニング上階はテラスになっていて、丘の上からの眺望が楽しめるさきほどの教会写真も実はここから撮ったもの。

再び車に乗って別の道をおりてゆく。途中にいかにも中世というお城 下から見えていた美しい尖塔も見つけた これらの教会を「この町の」ガイドさんのお話しで歩きたいなぁ。

でも、そんな旅に賛同して「行こうよ」と思ってくださる方々、ありますでしょうか?(笑)

劇場のとなりに残るシンプルなロマネスク聖堂→内部はなかなか見られないでしょうかね。地元の詳しいガイドさんと共に、ゆっくりピアッツァ・アルメリーナを歩く日がくることを願っております。

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 夕方にはタオルミーナ旧市街のホテルにチェックイン、夕食はすぐ近くのこじゃれたレストランにて

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