旅倶楽部「こま通信」日記

これまで3500日以上世界を旅してきた小松が、より実り多い旅の実現と豊かな日常の為に主催する旅行クラブです。

砕氷船SAMPO号

2013-01-30 13:53:38 | フィンランド
《手造の旅》フィンランド砕氷船とエストニア8日、第六日目。
十年前に乗ったこの砕氷船が今回の旅を造るきっかけだった。それだけ印象的な体験なのである。
ロバニェミからケミの港まで一時間半氷結したボスニア湾にうかぶ砕氷船SAMPO号が見えてくる。

★SAMPO号は1960年に建造され、1987年まで現役の砕氷船であった。SAMPOとは、フィンランドの叙事詩「カレヴァラ」に出てくる魔法の「箱」※形状としては石臼のように表されるようだ。話はこれをめぐって争う老英雄と魔女が、最後にはSAMPOを壊して海に沈めてしまう。これによって北の海は豊かになったのだと言われたりする。

19世紀にも同名の船があったのを引き継いで建造されたこのSAMPO号二代目がこの船。だが、砕氷船は後に続く船のために氷の海に道をつくるのが仕事、船が大型化していったので、1987年、引退が決まった。

折よく、ケミ市にそれに目を付けたJuhani Leinoという人物があった。百万フィンランド・マルカでケミ市に買い取られたSAMPO号は世界初の観光砕氷船としてデビュー、数年のうちにケミを代表する有名観光地になったのである。

乗船すると担当のESSIさんが迎えてくれた。彼女は少し日本語を話す。ケミで生まれ育ち、今は学校でフィンランドに住むことになった外国人を教えているという。だから、日本語も少し勉強したのだとか。
砕氷船は現在土日しか運航していないので、彼女のもうひとつの仕事場なのだ。

船内観光も彼女が案内してくれる。
デッキで船底の厚さが普通の船の三倍であることを実物を見せてくれいるところ




なかなか見ることができないだろうこの眺め

船内のポストで投函すれば、この船のスタンプを押してくれるそうだ

おみやげに熊の肉(左)とトナカイの肉(右)の缶詰が売られている

昼食はサーモンスープとパンだけ。でも、これ、十年前と変わらずにとても美味しかった。


★いよいよ氷海で泳ぐ体験の時間
案内されていった先にはこんな巨大なゴムスーツがつるしてあった

サイズは二種類。小さい方を選んでも日本人ならぶかぶかになるのは仕方がない。服を着たまま全身これで包まれ、顔だけ出すようにジッパーが止められる。足は裃みたいになってしまうのをなんとか足首のベルトで止めて氷上へ降りる

砕氷船がつくった海面に、およぐというよりもぷかっと浮かぶ。

ぶかぶかなのは、その服の間にある空気で浮くためなのだろう。このスイムスーツ何着あるのだろう?乗り組み観光客は今日101人だったのに、だいぶ待たされた方もあった。150人の満員だったら、混雑しいてたいへんだろう。

途中までスノーモービルで凍った海をドライブしてきて乗船し、この氷海体験をしてからまたスノーモービルで去って行ったドイツ人グループもあった。

午後四時下船

ケミのクムルスホテルで、ちょっと早い夕食。ケミの街の砕氷船と並ぶ名物であるルミ・リンナ=氷の城が本日オープンするので、そのセレモニー見学をすることにしていた。アラカルトで各自好きなものを。これはトナカイ肉



海に面してつくられた第18期ルミ・リンナ=氷の城は18時にオープン。入口はこの口

入った屋外ステージで18時からコンサート。後ろの氷の城の屋上が炎のように赤くなる。
ピアノだけ置かれた小さなステージもライティングがどんどん変化してゆく

あ!花火があがった→
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トナカイの角クラフトとパイ焼き

2013-01-30 12:29:09 | フィンランド
午前中ルオストで雪歩きをした後ロバニェミへ移動

午後三時からサーメの血をひく方がやっているアトリエ兼自宅へを訪れた。気温はぐっと低くなりマイナス22度にもなっている

林の中の一軒家

お隣さんは川向うになるそうな。次の写真は夏に空から撮影したもの

家の中の中心には巨大な暖炉兼オーブンがどんと位置している

★ブルーベリーパイをみんなでつくろう
今回十人と小松という人数だが、最初「人数が入らないからだめ」と断られかけた、とっても楽しみだったのでなんとか押し込んでいただいたが、確かにあと二人でも増えたら実現できなかったプランだろう。
指導はこの家の奥様イレーネさん「うちには二百キロのブルーベリーが五つの冷蔵庫にしまってあるの、こういう器具で積むのよ。」
これを蒸して実が自然に破れて出てきた液を集めたエッセンス、砂糖を入れる前のものもとてもおいしかった。
こちらはチーズとクラウドベリーのジャム

クラウドベリーは北極圏の沼地でだけとれるとても柔らかいもので、これだけは手摘みでないとダメ。咲いている写真をはじめて見た
二人ずつ五つの組になってパイ生地をつくる

でも、男性には力仕事?がまわってくる、
これは何しているの?⇒
はい、二人がかりでホイップクリームをつくっているのでした、上手にできました

一度焼いてからブルーベリーをたぁっぷりのせる

さて、どんな風に出来上がるでしょう?

待っている間に向かいのアトリエへ

トナカイの角を使って小物をつくりましょう。トナカイについて、いくつか本で読んでいたけれど、こうやって細かく説明をされてはじめてちゃんと理解できた。
ご主人のアリさんが、自分が仕事につかう実物を手に説明してくれる。「右手の小さいのがメスの角、左手がオスのもの」

「去勢されたオスの角は落ちた時の断面もこんなに違うんだよ」

さぁ、いろんな材料を説明してもらって、実際に小物づくりスタート!


図案にこんなサーメ柄はいかが?それぞれにちゃんと意味がある。

これを電熱線で、トナカイの角に彫ってゆく。
自分でやるんです(^^)

出来上がりはもう売り物になるレベルの方も。「日本人は器用だねぇ」とお二人いつも感心しておられるそうな。胸につけている名札もトナカイの皮でつくられたもので、ひとりひとりに用意してくださっていた。

さぁ、そろそろブルーベリーパイが焼けたかな

五つのパイ全部をご主人に試食してもらい、いちばん「おいしい」といってもらったのは、レシピよりもわざと砂糖を少なめにしていた組でした(笑)

四時間ほどの滞在。午後七時、そろそろホテルにもどりましょう。玄関にはサーメの人のトナカイの皮靴。これ、中敷きがなくて、なんだか靴下をはいている感じなのだけれど、とても暖かいのです。

林の中の一軒家からホテルまで十五分ほど。イレーネさん、アリさん、また訪問させていただきますね(^_^)/~
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ルオストで雪歩き

2013-01-30 11:13:54 | フィンランド
ルオストで雪の中を歩く「スノー・シュー・ウォーキング」というオプションがあって、これが前から気になっていた。現代風のかんじき、これを履いて雪の中を歩く。簡易型はこちら→
※丈の短い靴の場合には簡易型の方が使いやすい

ガイドさんがいればこそ、なかなか行けない林の奥へも入っていける
「これはトナカイが食べる苔だよ」 「松脂は薬にも使えるんだ」
これは、ウサギの足跡

昨夜オーロラ待ちをした凍った湖へ降りていくと、山の端が朝焼けに染まってきた。良いお天気でよかったぁ。

転んだって起きればいい


林の中の小屋に着くと

慣れた手つきで火を起こす
自分の手袋の中まで雪が入ってしまったので、メンバーのおひとりがタリンの「セーターの壁」で買われたピンクの羊手袋お借りしました。2ユーロ50銭とは安い
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北極圏への夜行列車の夜明け

2013-01-24 09:10:30 | フィンランド
昨夜21:52にヘルシンキを出たサンタクロース・エクスプレスは午前10:40にロバニェミに到着する。切符は近頃こんなコードを車掌さんが「ピっ」とするだけ。
この時間に到着する列車を選んだのは、明けゆく北極圏の朝を列車から楽しみたいと思ったから。
夜明け前の薄い蒼がやってくるフィンランドの基幹産業の一つである木材を積んだ列車が南へ降りてゆくのにすれ違う

午前九時前にようやく地平線に小さな太陽が空いた食堂車で5ユーロのチンっピザを朝食にしながら見ている
みなさんコンパートメントの廊下に出て

明るくなった頃、ロバニェミ駅に到着
ホームそのものに車が入ってこられる構造で、スーツケースを持っていくのも楽

十一時過ぎにロバニェミから北へ少しいったところにある「サンタクロース村」へ。写真で空中に張られた線が見える、ここからが北極圏となる。

サンタのオフィスは写真撮影禁止。入場無料で誰でもサンタに会える! でも運営費を写真で稼ぐサンタさん
久しぶりに入場したが、以前よりもずっと凝った演出になっていた。「プレゼントを同じ日に配るために時間を操作できる大きな時計」までありました(笑)

昼食は昔のフィンランド風に木のプレートに乗せられたサーモン、けっこうおいしいです。

※裏話だが、このサンタ村にあるレストランにも、昨年から別のサンタが常駐するようになった。「同じサンタ村に二か所のサンタと会える部屋をつくるのはどうなの?」という対立があったが、結局レストランは「客寄せサンタ」を置いております。

サンタ村でちょっとだけトナカイソリの体験。今回の旅は一般ツアーと違ってこういう時間を設けなかったので、少しでも体験していただけてよかったです。ソリが出発する段になると、先頭に自分の定位置としてワンちゃんが乗ってきました


ロバニェミからルオストまで約一時間半のバス移動。部屋に入る前に小さなスーパーで買い物
日本から持ってきた食材と、タリンとヘルシンキとここで買った食材とで、今晩は持ち寄りクッキング夕食です
ミニトマトとブイヨンでつくったソースにパンチェッタでパスタ、ルッコラたっぷりそれぞれログハウスの小屋が部屋なので、十人ならばこうやって集まることが出来る
暖炉の火も暖かに燃え

いろいろ作った中で、ヘルシンキのマーケットで買ったサーモングリルが一番おいしく感じたのは、ひとえに小松の料理の腕前が至らなかったせいです、すんません(笑)

デザートにしっかりアイスも買っておられました

さて、近くの凍った湖でオーロラ待ちしましょうか、きれいに星も出ているし
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公共交通によるヘルシンキ観光

2013-01-23 01:30:05 | フィンランド
駅前のホテルから、まずは市内交通の券を購入しにいく。この緑色のカードをバスの中の機械にかざせば、24時間利用可能、8ユーロ。一回一回は2.5ユーロだから、三回使えばだいたい元が取れる。

で、バスでテンペリアウキオ教会まで行こうとしたが、バスがたまたま間遠かったので歩いて行った。
夏場はひっきりなしに観光バスが止まる場所だが、今日は静かにピアノを弾いている音だけが響いて、しばし聴き入った。
今回どうしてもガイドさんと共に訪れたかったのが、国立博物館。いつでも近くを通るのだが、通常の半日観光では入場しない。何度訪れていても、同じような観光しかしていなければ、ずっと知らないまま。
石器時代から現代までの展示があるが、面白いのはやはり北方ならではのモノ。
このリスの毛皮は貨幣として使われていたのだそうだ。小麦ひとふくろならリスの皮何枚、とかね。
横にある先の太い矢はリスを狩るためのものだったと解説版にあった。

ぜいたく品だったコーヒーは一時「ご禁制」の品だった。右はそれを隠れて飲んでいた婦人たちのところへ踏み込むお役人の図こんなバロック時代の部屋もそのまま移築されている

※バイキングの文字で書かれた暦

フィンランドの神話「カレヴァラ」が画かれた天井

ロシアに支配されていた時代の圧政を象徴する絵
フィンランドを表す乙女が持つ「LEX(法)」と書かれた本を、ロシアの双頭の鷲が引き破ろうとしている。


20世紀に入ってからの国境線の変遷地図は、今でも人口500万人ほどのこの小国フィンランドが、ロシア・後年ソ連と、それに対抗する激薬として仲良くせざるを得なかったドイツの間で苦難の歴史を歩んできたことを教えてくれる。
1920年と第二次大戦後の領土変化を示すこの地図をご覧ください。
**
国立博物館を出ると、道路工事をやっていた。これは街の地下を縦横にはりめぐらされたセントラルヒーティング用の熱水が通っているパイプだとか。


市電に乗って流氷でいっぱいの港へ
港のマーケットで、この生サーモンを六百グラム買いました。これがどうなったかは、後日のお楽しみ(^^)


午後二時まで昼食の時間も取らないでいたので、エスプラナード通りのカフェで休憩。


ツーリスト・インフォメーションのすぐとなりのカフェは、アールデコ調で美しい

夕食は五年前に食べてとてもおいしかったので、いつか再訪してみたかったロシアレストラン。特に、このにんにくのベリーやビーツにつけたものが忘れられなかった写真で向こう側にみえるのは、ブリュニに乗せる具。ここのブリュニもロシアで食べるよりずっと美味しい。
メインはボルシチであります。トマトなんて入ってません!

ホテルへ戻りスーツケースをごろごろ引っ張って夜行列車の待つホームへ

コンパートメントはシンプルで狭いけれど、使いやすい。
こんなに揺れない夜行列車はほかに知りません。
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