きた産業のスローなブログ

会社のトピックスや出来事を、「スロー」に記録・発信するブログ。文章は、当社の各部門のスタッフが書きます。

欧州出張③ シャンパンメーカー視察

2019年11月22日 10時00分00秒 | Weblog
エペルネの展示会「VITeff」に参加した後、シャンパンメーカーを視察しましたので、レポートいたします。

・1件目:Alfred Gratien
エペルネの街中にあるシャンパンメーカーで、「Henkell & Freixenet」グループの傘下(Henkellはドイツの大手Sektメーカー、Freixenetはスペインの大手Cavaメーカーです)。
 
 
一次発酵は全てオーク樽で行うというこだわり。同様の製法にこだわるのはシャンパーニュ全体で5社程度しかありません(その内の1社は、有名なBollinger)。
 
 
最も驚いたのがその生産効率。製造スタッフ僅か4人で、年間実に25万本のシャンパンを製造しています!全自動のラインがあるわけではなく、いずれも弊社が提案できる半自動の機器をうまく組み合わせています。写真はデゴルジュマン&ドザージュ機です。
 
 
少人数でここまで生産効率を高めている最も大きな要因は、「ジロパレット」です。Alfred GratienではジロパレットDUOを10機(20ボックス分)備えており、スタッフが他の作業に専念している間も、常に自動で滓下げが行われています。量産化を検討されているワイナリー様は、導入・増設をご検討ください。
 
 
 
・2件目:Distillerie Jean Goyard
エペルネの少し北、アイ村にあり、シャンパンメーカーではなく蒸留所です。シャンパーニュ地方といえば当然シャンパンメーカーのイメージがありますが、蒸留所も数多く存在しています。
 
 
マールやフィーヌとったブドウ由来の蒸留酒、シャンパーニュ地方特有のラタフィア(ブドウ果汁にマールやフィーヌを加えたフォーティファイドワイン)を製造。選果により取り除かれたブドウのくずや、ブドウの搾りかすなどが、大型トラックで大量に持ち込まれ、蒸留酒やラタフィアに生まれ変わります。
 
 
アルコール商品以外にも、シードオイルや、酒石酸を回収して製品化するような事業も行っており、全容がつかめません。蒸留所というよりもプラントという表現がしっくりきます。憧れを抱いていたアイ村で、このような光景を目にするとは思いませんでしたが、貴重な経験にはなりました。
 
 
初めてラタフィアを試飲しましたが、酸味が抑えられた梅酒のようで、ほのかに甘く、ついつい飲みすぎてしまいそうです。アルコール度数は18%。認知度が上がり日本でも流通されるようになれば、流行るかもしれません。
   
 
 

・3件目:Collet
同じくアイ村にあるシャンパンメーカー。コーペラティブ・ド・マニピュランといって、組合に加盟している農家からぶどうを仕入れて共同組合名でシャンパンの製造・販売を行っています。年間60万本の生産規模。
 
 
マグナムボトルやそれ以上の大型壜は現在でもピュピトルを使用していますが、「ジロパレットQUADRA」を7機(28ボックス分)備えることで、60万本の生産を可能にしています。
 
 
地下セラーの様子。シャンパンの伝統的な貯蔵方法で、Colletでは約10万本を一まとめにして積み上げています。高さは2m以上、奥行きは10m以上ありました。
 
 
葡萄畑も見学させて頂きました。写真は、モンターニュ・ド・ランス地区で栽培が盛んなピノ・ノワール。実際に味見したところ、しっかり甘みがあって食用でもおかしくない美味しさでした。
 
 
 
・4件目:Veuve Clicquot
エペルネの大手シャンパンメーカー。日本でも有名なブランドで、現在はモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトングループの一員。オレンジのブランドカラーが特徴的です(社員やガイドの方は、Yellowと表現していました)。
 
 
建物と地下セラーをつなぐ階段がとても印象的で、ツアー客が一斉に写真を撮っていました。ブランド戦略を重んじる大手メーカーならではの演出です。
 
 
Veuve Clicquotといえばマダム・クリコが有名です。ブレンドによるロゼワインやミレジメ(ヴィンテージ)を最初に作ったのはマダム・クリコ。また、現在シャンパン製法の中で根幹をなすルミアージュを開発したのも彼女。当初は、写真のように木の板を平行にしてルミアージュを行なっていたそうです。
 
 
左から順に、マダム・クリコが開発した水平ピュピトル、現在のピュピトル、手回しのジロパレット、現在のジロパレット(自動機)と進化していきます。まさに伝統と革新の両輪が、現在のシャンパンを支えているのだと実感します。
 
 
最後に資材の紹介を一つ。Veuve Clicquotのプレステージ・キュベには、前回のブログで紹介した「ワイヤーフードの持ち手につけるメダル」が採用されています。高級感を訴求するには非常に有効です。ご興味があればご照会ください。
 
 
今回のオーストリア・フランス出張を通じて、“現場”を知ることの重要性を強く感じました。「海外のパートナー企業と会って、直接コミュニケーションをとること」、「現地の展示会に参加して、最新の情報・動向を知ること」、「取引のある資材・機器メーカーだけでなく、ワイナリーにも足を運び、製造工程やつくり手の思いを知ること」、いずれも現場に足を運ぶことで得られた貴重な経験でした。
 
特に今回の出張で学ぶことができた高付加価値スパークリング(シャンパン製法)については、今後も伸びしろのあるカテゴリーです。酒類業界を盛り上げられる提案、お客様に貢献できるような提案を行えるよう、精進してまいります。
 
 
 
総務部 喜多郁森

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