当社のラボ用ビール缶詰機「ビア・ラディクス」シリーズは、内外の多くのビールメーカーの研究所にご採用いただいています。このたび、アメリカのミルウォーキーの大手ビール(というか、世界第2位のビールメーカー)にもご採用いただきました。ミルウォーキーは、「ミュンヘン・サッポロ・ミルウォーキー」でおなじみ!ですね(古いか)。
これがシリーズの代表モデル「ビア・ラディクスIV」、手前の小さな装置は「3本ヘッドリンサー・パージャー」。
出荷前の工場内承認テスト(通称、FAT)のために、ミルウォーキーからパイロットプラント部門のマネージャが奈良のルーツ機械研究所に立ち合いに来られました。定めた確認項目を厳しくチェック。
これは缶詰充填後の溶存酸素を測定しているところ。写真の0.012ppmは上限の記録ですが、このとき充填機に入るビールが0.006ppmだったので、缶詰工程による酸素増は0.006ppm。極めて良好です。(「ビア・ラディクスIII」から「ビア・ラディクスIV」になって、酸素増加量は大きく低減しました。)
機械調整・試運転用には、アメリカで実際に使用している缶を、数千缶送ってもらいました。これは16オンス(473ml)缶。日本ではビール缶の蓋のサイズは204または206ですが、欧米では15年ほど前からさらに小さい202が一般的で、巻締め寸法も異なります。(注:202とは2-2/12インチのこと。12進法)
初日は、充填容量、DO(溶存酸素)、HA(ヘッドスペースエア)、TO(トータル酸素)、巻締め寸法、充填スピード、などなど、事前に決めたテスト項目の測定を順調に終了。結果は、予定以上に満足できるレベル。
二日目は、充填システムの制御スキームをホワイトボードで説明。「ビア・ラディクス」シリーズの充填は「メカニカル・バルブ」でなく、各ラインの圧力をセンサーで感知してバルブ開閉を行う「コンピューター制御・バルブ」方式。世界でも他にない?凝ったシステムで、「ホワイトボードを撮ってもいい?」と尋ねられるほど。ビールの種類や充填条件に合わせて様々なパラメーターを変更できるのが特徴で、試しに実際に色々と変更してテスト運転してみました。
そして、FATは無事終了。これは、関係者全員のスナップ写真。紺色のユニフォームがルーツ機械研究所のメンバーです。
今回はアメリカのお客様でしたが、ブログにはこの1カ月だけでも、フランス人(青森のカルバドス蒸留機の立ちあい)、イタリア人(キャップ製造機の点検)、イギリス人(岩手の南部杜氏講習会)と、外国の皆さんが登場し、「きた産業のグローバル化」を実感する今日この頃です。
代表取締役 喜多常夫