2月23日、洋酒技術研究会で「最新のワイン醸造機器事情」という演題で話をさせていただきました。場所は東京の王子の、北とぴあ。
聴講者は事情に詳しい大手企業の技術者の方が大半なのでやや気後れしましたが、ボルドーのシャトーで急速に広がる「自動(画像処理)選果装置」、白ワインで採用例が増えている「不活性ガス搾汁装置」、新世界よりむしろヨーロッパで広がる「マイクロオキシジェネーション」など、写真中心に紹介しました。
私以外の講演がお二人。こちらは、雑誌「古典酒場」の編集長、倉嶋紀和子さんの「酒場に求めるもの」というご講演。「ホッピーはコクカ飲料(今はホッピービバレッジという会社。コクカは名称変更前の旧社名)のP箱で配達されている居酒屋が狙い目」など、「ディープな」話を聞かせていただきました。
こちらは、シェリー委員会の日本代表、明比淑子さんの「シェリー、ポート、マデイラ/共通点と相違点」というご講演。写真はマデイラ島のぶどう畑ですが、(垣根仕立てでなく、なんと日本と同じ)「棚づくり」!とは、知りませんでした。明比さんは、「シェリー、ポート、マデイラの本」という著作があります。
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翌日の2月24日は、朝から広島の酒類総合研究所を訪問(下の写真)。
「第104回酒類醸造講習(ビールコース)」の中で、「ビールのびん・缶詰め技術」の講義を担当しました。
マニュアル充填機を使ったビール壜詰め実習は、ルーツ機械研究所の三山が担当。
主な参加者は地ビール関係者で、実務経験のある方々17人。たしか前回(3年前)は男性ばかりでしたが、今回は女性も3人いました。このビールコースは、泊りこんで約4週間という長丁場ですが、当日がその最終日。さすがに皆さんほっとしているように見えましたね。
「ワイン醸造設備」、「ビール充填技術」と、異なるジャンルの講演を2日連続でさせていただくような機会はめったにありません。大変光栄なことでした。
代表取締役 喜多常夫
大阪では「天満の天神さん」として親しまれている天満宮で2月15日から21日まで開催された「天満天神 梅酒大会」に行ってまいりました。梅酒人気は衰えを見せません。年々来場者が増えている感じで、土曜日・日曜日は入場制限があるくらいの人気ぶりでした。ちなみに私は1時間以上待ちました。 この梅酒大会も今年で5年目、リキュール部門が新設されていました。
テント張りのスペースは昨年より広くなりましたが、人が多くややせまい感じがしました。試飲時間に限りがあり、全種類試飲はとてもできませんが、会場内には302種類の梅酒と130種類のリキュールがありました。新設のリキュール部門では柑橘系のお酒をはじめヨーグルト系やチョコ系など様々なものが楽しめました。
一般参加者が梅酒部門とリキュール部門で5銘柄を投票し、更に特別審査を経て、グランプリがきまります。また、ビジュアル部門投票もありました。
当社のお客さまの商品も数多くあり、堪能させていただきました。個人的な好みで私も一般投票を行いました。来年もぜひ伺いたいと思います。当社で次の大会に向けて、ビジュアル部門で入賞できるような、商品パッケージの提案をお客様にしていきたいと改めて思いました。
投票結果は下記アドレスをご覧下さい。2月27日に発表されるようです。
http://umesusu.jp/taikai/staff/2011/02/post-5.html
大阪営業部 小泉智洋
「パッケージ資材をご採用いただいた新製品」(きた産業からキャップ、びん、ラベルなどをご採用いただいた新製品)、または、「設備をご採用いただいた新製品」(きた産業から納入させていただいた充填設備や製造設備による新製品)をご紹介します。
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● 宮崎県「京屋酒造」様
● 「河童の誘い水 MAGNUM」(1500ml)
● 芋焼酎 20度。
● ガラスびんをご採用いただきました。
● 兵庫県「本田商店」様
● 「龍力 天光秋津」(750ml)
● アルコール度数40度、3年以上熟成させた焼酎。
● ガラスびん、キャップをご採用いただきました。
● 石川県「数馬酒造」様
● 「能登の梅酒」(200ml)
● ガラスびん、キャップをご採用いただきました。
● 三重県「寒紅梅酒造」様
● 「伊勢梅酒」(180ml)
● ガラスびん、キャップ、ラベルをご採用いただきました
● 香川県「綾菊酒造」様
● 「本鷹酎」(300ml)
● ガラスびん、キャップをご採用いただきました
●兵庫県「壺阪酒造」様
●「雪彦山」(200ml)
●純米酒、梅酒、柚子リキュール3本セット
●3本並べると姫路城が見える。
2月18日に、新潟酒造組合の「製造部門シンポジウム」がありました。第6回の今回のテーマは「キャップ」。当社が説明役としてご指名頂き、きた産業・大阪本社から技術担当が3名、きた産業・東京支店からも営業担当が3名出席しました。
大阪組は前日の2月17日に新幹線の越後湯沢駅へ。そこから車で移動。2月になって雪が少なくなったと云っても、道沿いは人の背丈以上の雪です。
ある酒造メーカー様の前にて。大阪からの3名、製造部の芳賀、品質保証・環境部の水畑、同、山口です。
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2月18日、新潟酒造組合の「シンポジウム」の本番です。場所はANAクラウンプラザホテル新潟、県下の清酒蔵元からの出席者は72名に上りました。
演壇で挨拶されるのは新潟県酒造組合会長の齋藤様。テーブル前列が酒造メーカーパネリストの皆さん。テーブル後列がきた産業です。
パワーポイントを使って、こんな感じで各種キャップの説明をさせていただきました。
壜詰め時の問題点やクレームについて蔵元の皆さんと共通認識を持つことができ、またその対策について活発な質問や意見交換があり、大変実りあるシンポジウムでした。
シンポジウムのアドバイザーとして当社をご指名頂いたこと、誠に有難うございました。今後とも、業界に貢献できるよう頑張ってまいります。
大阪本社 製造部:芳賀+品質保証・環境部:水畑・山口
1月12日、1月31日のブログに引き続き、見聞録(その3)、です。
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6年前、8年前との<変更点!>x4
ボルドー左岸にある「シャトー・ベイシュベル(Château Beychevelle)」は、「メドックのヴェルサイユ宮殿」と形容される。この辺りはどこも、文字通り「お城」のような建物のシャトーばかりだけれど、確かにこの写真のとおり、建物と園庭の調和は飛びぬけてきれい。
「ベイシュベル」のラベル。ワイン通にはおなじみ、帆を半分下げた帆船のイラスト。
「ベイシュベル」という名前は、ジロンド川を通る船が、城主のフランス海軍提督に敬意を表するために「Baisse Voile(帆を下げろ)」と言った、その言葉がなまったもの。と、いうのは、よくガイドブックに載っているけれど、ずいぶん離れたジロンド川から本当に見えるのか? 確かめに行ってみたのがジロンド河畔から撮ったこの写真。確かにちゃんと見とおせるが、まるで「点」。並木のはるかかなたに見えるのがシャトー・ベイシュベルです。帆を下げてもあまり見えなかったろうに・・・?!
さて本題。ベイシュベルは2004年に一度見学したことがある。6年で、シャトーの醸造設備はどう変わったのか?をみるのが今回のミッション。写真は、ブドウ受け入れ部分のコンベア。2連のバイブレーションコンベアで房の状態で選果する、この部分は6年前と変わらない。
<変更点!①>
2連のラインは、エレベーターコンベアで2台の除梗機に入る。右の「ブーハー・ヴァスラン」は6年前と同じだが、左の黄色いほう(「ペレンク」)は今シーズンに導入したものだそう。除梗後の粒を選果するのに、「ブーハーの後は6人いるけれど、ペレンクの後は2人で済む」とのこと。ペレンクの除梗機は、通常の「円筒ケージと回転ビーター」ではなく、「左右からはたいて粒をとる」という独特の形式。(見聞録1のバンフィでは「ペレンクの自動選果がいい」との報告をしました。ペレンクの設備にご興味のある方は、ご照会ください。資料やDVDがあります。)
<変更点!②>
左側にステンレス・タンク、右側にコンクリートタンク、の眺めは6年前と何も変わっていないように見えます。が、よ~く見ると、右のコンクリートタンクの数が増えている。色や意匠を同じにしているので気付きにくいが、いちばん手前のステンレスマンホールのもの数基は、最近増設したそう。温度変化が緩やかなコンクリタンクは、数年前から静かなブームになったと思いますが、今でも信奉者は多いよう。
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次はボルドーの「シャトー・マルゴー(Château Margaux)」。ボルドーの「5大シャトー」のなかでも特に有名で、「この紋所が目に入らぬか、頭が高~い」と、言いたくなるような世界に冠たるブランド。
「5大シャトー」のうち、ラツールやムートンは積極的に設備更新と建物リノベーションを行うけれど、マルゴーはやり方を変えない事で知られる。2002年に一度訪問したことがあり、8年ぶりのとなるが、はたして何も変わっていないのだろうか? まずここは、樽貯蔵庫。まるで時間が止まっているかのようで、8年前と何も変わっていない。樽の置き方や数まで変わらない印象。
<変更点!③>
次に醗酵タンクの部屋。長く使いこんで黒ずんだ大型オークバットは以前と同じ眺めで、ここも何も変わっていないように見えるが、、、以前はステンレスのキャットウォークがなかった気がする。それに天井をみると、クレーンが! 尋ねると「ブドウは大きな桶に入れて、クレーンでつり上げ、オークバットに投入するやり方」に変えたとのこと。
次は、比較的新しいオークバットの部屋。やはりキャットウォークがあり、天井にクレーンのレールが取り付けられていて、ポンプを使わず、重力に従って落とすやり方を採用している。ポンプを使わず、という意味では「重力式」と同じ思想と言っていいでしょう。
<変更点!④>
そしてもう一つの変化は、「小容量ステンレス・タンクの導入」。畑の細かい区画ごとに仕込みを分けるそう。ボルドーでは、4~5年前までは、ステンレスにしろ、コンクリートにしろ、オークバットにしろ、300~100HL(ヘクトリットル)クラスを見ることが多かったが、最近は60~30HL、特定区画については10HLくらいのミニタンクで仕込むこともよく行われます。
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以上、「欧州ワイン醸造設備・見聞録」として3回にわたってフランス、イタリアの最新のワイン設備事情をご紹介しました。
代表取締役 喜多常夫