きた産業のスローなブログ

会社のトピックスや出来事を、「スロー」に記録・発信するブログ。文章は、当社の各部門のスタッフが書きます。

イタリア・ワイン醸造所訪問記:その3〈モンタルチーノ編〉

2013年12月11日 09時30分09秒 | Weblog

アルプスのある北部イタリアは山と平野がはっきりしている印象ですが、中部トスカーナ州は丘陵がどこまでも続いており、ワイン、オリーブなどの農作物が主要な産業。モンタルチーノは州都フィレンツェから南へ2時間ほどドライブしたところにあります。
ここは、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノというワインが有名で、非常に長期熟成タイプの赤ワインを産出している産地です。


モンタルチーノの丘からの景色



〈ビオンディ・サンティ〉
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノとワインで名乗るにはブルネッロ種(サンジョベェーゼ・グロッソ種)100%、樽で最低2年は寝かせることが条件だそうです。訪問したサンティ家の貢献により、この地域のワインのスタイルが確立し、高品質、高級ワインの産地として有名になったそうです。それにしても、ブドウの収穫からワインが完成、販売されるまでに非常に長い期間が必要となりますね。
最初はどこが入口か分からなかった、趣のある建物です。



大樽で長期熟成を行うのがポイントのようで、よくワイナリーで見かける小型の樽(225L程度の)は見かけませんでした。使用するブドウはブルネッロ種のみですが、ブドウの樹齢、樽の貯蔵期間で商品を分けています。とくに変わった醸造設備、醸造方法というわけでは有りませんが、良い年のみにしか作られないレゼルバ(樹齢25年以上、樽熟成5年)は、100年以上!の保存に耐えられるとのこと。



商品ライナップ。若い樹のブドウはロゼとなります。左のグリーンボトルはオリーブで、ワインボトルにコルクを打って販売していました。



〈イル・ポッジョーネ〉
2004年にワイナリーを立て直した模様で、工場内は非常に整理されている印象でした。先ほどのサンティと同様に大樽を使用していますが、熟成期間によって様々さサイズの樽を使い分けています。



写真は約3,000L樽、5,000L樽なども使用しています。樽は5年ごとに修理に出し約20年間使用するそうです。



同じような写真ですが、こちらはバリックと呼ばれる小樽。香りが付きすぎるのでしょうか?2年以下の熟成期間が短いワインを入れているそうです。



ワイナリーの隣には、オリーブオイルを製造する工場が併設されていました。機械で収穫されてくるのでしょうか?オリーブの実と葉が混ざった状態で大型の容器に移され、ふるいのような機械で実と葉分離されます。




果肉や皮、種まるごとすり下ろし(緑のドロッとした状態)、すぐに流れ出てくる物が最良のオイルで、その後プレスで搾ります。収穫してからオイルになるまでのスピードがポイントだそうです。できたてのオイルは濃い緑色をしていました。



前日のボルゲリは、ブドウの品種も製造方法もフランスのボルドースタイルを取り入れ、ここ数十年で高級ワインの産地として発展。モンタルチーノはブルネッロにこだわり、地域の特色を出したワインを生みだし、数十軒だったワイナリーが現在は100軒以上の増加し発展しているそうです。考え方は対照的な感じはしますが、地域でまとまって努力していった結果、世界で高く評価されるワインの産地となっていました。日本でも産地や品種のブランド化に力を入れていますが、成果が出るのは間違いなく時間がかかるでしょう。しかし継続は力なりで、私も日本ワイン愛好者として微力ながら応援したいとおもいます。


(イタリアワイン編完)

東京営業部 今井孝


イタリア・ワイン醸造所訪問記:その2〈ボルゲリ編〉

2013年12月11日 09時17分31秒 | Weblog

イタリア北部ミラノから移動し、中部トスカーナ地方のワイナリーも訪問してきました。斜塔で有名なピサより南へ1時間ほどのボルゲリ地区へ。古くからワインを生産していたようですが、高品質なワインの生産地として注目されるようになったのはこの30~40年前からだそうです。「サッシカイヤ」や「オルネッライア」などスーパータスカンが生み出される地区として有名ですね。



〈レ・マッキオーレ〉
この地域のワイナリーは複数のブドウを使用するボルドーブレンドのワインが一般的ですが、このワイナリーではメルローやカベルネ・フラン単一品種のワインも作っており、高評価を得ているそうです。地元の農家出身者が設立したワイナリーで、建物の横には広大なブドウ畑が広がっています。



11月中旬の訪問時にはブドウの収穫は終わっていましたが、収穫したブドウはコンベアテーブルを使用し、不良果実を取り除いているとのこと。日本でもテーブル選果は標準になりつつありますね。案内をして頂いたのはエノロゴのLuca氏。



ブドウ品種に合わせ、ステンレスタンク、コンクリートタンク、木製タンクを使い分け発酵をおこなっています。展示会でよく見るタマゴ型のコンクリートタンクも使用していました。ポンプでワインの循環を行うときに、よく撹拌ができるメリットは理解できたのですが、宇宙からのエネルギーを集める効果???があり、美味しいワインが出来るそうです。



地下の樽貯蔵庫には、Parsec社のマイクロオキシジェネーターが設置してありました。樽内に酸素を供給し、ワインの発酵・熟成をコントロールする機械です。自然にまかせて発酵かと思いきや、最新テクノロジーも取り入れています。



テイスティング風景。今回ご一緒させていただいたのは林農園(五一わいん)の菊池専務。五一といえば、桔梗ヶ原メルロですね。メルロー100%のMESSORIO(メッソリオ)の味はいかがだったのでしょうか?ちなみにシラー100%のワインはSCRIO(スクリオ)というそうで、メルローだからM、シラーだからSで始まる名前のワインと言っていましたが、カベルネ・フラン100%はPALEO(パレオ)でしたので、あまり関係がないのかもしれません。



〈アルジェンティエラ〉
比較的新しいワイナリーだそうです。高台に有り、お城のような建物と周りの景色の良さにはビックリ。日本では商品あまり見かけることは有りませんが、カベルネ、メルロー、シラー、プティ・ヴェルドをブレンドするボルドースタイルのワインで、フランス人有名コンサルタントが指導しているそうです。



遠くにはリグリア海が見え絶景。



工場の中はピカピカで、木製タンクから進化した(だと思う)、台形のステンレス温調付タンクが多く並んでいました。発酵後のモロミをバスケットプレスで搾るスタイルは、ボルドーの一流シャトーと同じですね。



地下の樽貯蔵庫も非常に綺麗に整理されています。観光客が多く訪れるワイナリーなのでしょう、樽を赤く塗って演出してありました。見学の後、試飲を行いましたが、非常に色の濃い、深みの有る味わいでしたが、ボルドーの若いワインと比較して、強烈な渋みはなく、比較的早くから飲むことの出来るモダンな印象を受けました。



(モンタルチーノ編へ続く)


東京営業部 今井孝