きた産業のスローなブログ

会社のトピックスや出来事を、「スロー」に記録・発信するブログ。文章は、当社の各部門のスタッフが書きます。

ボルドーから続Bonjour! & シャンパーニュからもBonjour!

2008年12月12日 14時33分38秒 | Weblog
前回の渡邊に続き、今回は喜多がおおくりする現地レポートです。

<シャトー訪問編 その1> シャトー・ランシュバージュのオーナー。小脇に抱える本をよく見ると、、、マンガの「神の雫」!(もちろんフランス語版)。 来年、ランシュバージュのビレッジでマンガ祭りをする!!のだそうな。



<シャトー訪問編 その2> 問題:よく見ると樽の鏡(側板)に穴が二つある(6時と5時の位置)。理由はわかりますか?(ポムロールのヴュー・シャトー・セルタンにて)



<シャトー訪問編 その3> サンテミリオンのシャトー・カノン。タンク上の「移動式ホッパー」に注目。すべて重力式(上から下に自然落下するレイアウト)で、ポンプは使わず、この次は地下タンクに落とす。唯一の例外はルモンタージュだが、使うのはブドウに優しい「チューブポンプ」だそうです。(CM:当社も、「ragazziniチューブポンプ」をウリにしています!) なお、このシャトーのオーナーはシャネルで、シャネル・ブルーが設備のところどころのアクセントに使われています。



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<(続)Vinitech展示会紹介 その1> ボルドーのVinitech展示会から、続報です。当社が代理店をしている、サヴェール・ガラスのブースにて。思わず落としそうなくらい重い。このプレミアム・ワイン壜は1.2kg(!)もある。(もちろん空壜重量)



<(続)Vinitech展示会紹介 その2> 同じくサヴェール・ガラスの新製品3種。名前はなんと、左から「スモウ(相撲)」、「ケンドー(剣道)」、「ゲイシャ(芸者)」です。 http://www.saverglass.com



<(続)Vinitech展示会紹介 その3> 近日、日本導入予定の手動タックラベラー「はるよさん」。(特に「はるぞうくん」との縁戚関係はないのですが、、、) 木製ですが、使い勝手は良好。時間400-500本程度で、リースナブルな価格。



<(続)Vinitech展示会紹介 その4> 端がかすんで見えるくらい長い、展示会場。全長1kmくらいか。例年のことながら、ホント疲れます。。。



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<シャンパーニュ訪問編 その1> ボルドーから列車で5時間もかけてシャンパーニュに移動。シャンパン・プレスと言えば「コカール」ですが、写真はそのコカール社の工場。同社の新ラインナップは、「バケットプレス(マスト専用)」、「傾斜プレス」の二つ。赤いフレームの「バケットプレス」は、ご覧のように世界唯一の「片持ち」デザイン。私が手をかけている「傾斜プレス」は、カタログにない最小サイズ。特に「傾斜プレス」は、普通思いつかないユニークな構造で、非常に面白い。(当社はコカールの代理店をしています。ご興味のある方、ご連絡ください!)  http://www.coquardpresses.com/



<シャンパーニュ訪問編 その2> シャンパンコルクの専門工場にて。天面、底面、側面に焼印を入れる機械。TCA(コルク臭の元)があると、この焼印工程で匂いがしてわかる、ということです。



<シャンパーニュ訪問編 その3> 写真は「シャンパン酵母をビーズ(カプセル)に閉じ込めたもの」で、私は現物を初めて見ました。これを使うと、ルミアージュをしなくても澱下げができる。シャンパンAOCでは、ブドウは手収穫、トン当たりのジュース収量、亜硫酸の使用量などなど、厳しい規則があるが、「二次醗酵に関しては特に規制がなく、ビーズ酵母を使うことも許可されている」!! そうです。知らなかった。 大手研究機関の、スタシオン・エノテクニーク・シャンパーニュにて。 http://www.oenotechnic.com/



以上、ボルドーのシャトー、ボルドーの展示会続報、シャンパーニュのトピックスでした。それでは、Au revoir, et a bientot! (オボワ、エ、アビアント!)

喜多常夫(代表取締役)

ボルドーからBonjour!

2008年12月06日 14時52分46秒 | Weblog
2008年は、2年に一度のワイン業界向け展示会であるVinitechがボルドーで開催される年。というわけで、12月1日から世界的なワイン銘醸地の一つ、フランス・ボルドーに来ております。

同様な展示会としてはイタリア・ミラノで開催されるSIMEIがありますが、規模はこちらのほうが大きく、世界中から業界関係者が集まります。もちろんフランス語が中心ですが、スペイン語、イタリア語、英語など、多言語が飛び交うまさしくインターナショナルな展示会です。


<DIEMME社のブースの様子>


今年の話題の中心は、「選果の自動化」が一番に挙げられると思います。高品質のワイン醸造のために選果を行うことはもはや当たり前の感がありますが、人海戦術的な選果作業は現場の負担(および経営的な負担)が大きく、その自動化が大きく期待されている状況です。2年前のVinitechでもその初期の機器が展示されていましたが、今回はすでにある程度の実績を踏まえて改良された機器や、新しい技術を導入した新製品が多く展示されていました。

技術賞を受賞したカメラによるシステムや、ブドウ果の比重を利用したものなど、有力メーカーは新しい自動選果システムを紹介しています。中でも日本のワイン醸造の現場を念頭に置いたときには、選果コンベアの前に置くことで梗や茎を効率的に除去できる、このシステムが適当ではないかと感じました。


<SOCMA社の自動選果システム>

小規模向けであると共に、樹脂パーツを上手に使っているので初期コストが抑えられメンテナンスも容易です。有名シャトーを含む多くの実績があり、6~8人でやっていた選果作業を2~3人程度まで減らすことができるそうです。選果はしたいけど人手不足で無理だ、とあきらめておられたワイナリーの皆様には有力な選択肢になると思います。


「嫌気的ワイン醸造」はホットなトピックスですが、Vinitechでもそれを反映した製品が目立っています。手前味噌ではありますが、当社が日本へ紹介しておりますDIEMME社では、「不活性ガス雰囲気のメンブランプレス」のほか、世界で初めて「不活性ガス雰囲気の除梗破砕機 」をリリースしました。


<第二世代の不活性ガス雰囲気メンブランプレス 「Neutral2」シリーズ>

<世界初!不活性ガス雰囲気の除梗破砕機、「Kappa15 Neutral」>

日本でも特に山梨では、甲州や欧州系白ブドウの仕込時に液化炭酸ガスを利用した方法が一部行われていますが、このKappa15 Neutralでは酸素濃度計を利用した数値管理を行い、より確実で再現性のある手法となるよう工夫がなされています。

フランス・イタリアを中心に、特にソービニオンブランやリースリング、ゲビュルツトラミネールといった香りに特徴がありかつ付加価値の高いワインとなるブドウに関して、このような不活性環境下で除梗破砕を行う方法が注目されています。


逆に、「酸素を有効に利用する方法」の研究も進んでいます。様々な側面はありますが、マイクロオキシネジェーションが注目されている技術であるということは確かです。当社ではすでにオーク樽内で使用する「バレルメート」をご紹介していますが、ステンレスタンク内でマイクロオキシジェネーションを行う機器についてもリサーチを行っています。まもなく何らかの形でご紹介する予定ですので、乞うご期待!


<ストーンから微小な酸素の泡を放出する様子>





ボルドーではワインはもちろんですが、生ガキやキノコの一種であるセップも名物(というか私の好物)で、食生活も満たされております。もちろん仕事もしっかりやっておりますので、新しいワイン業界の情報等、あらためてご報告いたします。それではこのあたりで、Au revoir!  

企画開発グループ 渡邊 拓也

<神の見えざる手>が働かない、ワインの需要と供給

2008年12月02日 15時56分45秒 | Weblog
9月29日土曜日、山梨大学で行われたASEV Japan(日本ブドウワイン学会)に参加しました。総会の後の講演で、今更ながら「難しい問題だなあ」と考えさせられた事をご紹介します。(安田まりさんの、「EUワイン改革とワイン法」という講演から)



「世界のワイン生産量(赤線)」と「世界のワイン消費量(青線)」のグラフ(フランス下院の資料)。横軸は1970年から2005年まで取ってあるけれど、何たることか、35年間一度として消費が生産を上回ったことがない!! 

「需要が多ければ価格は上がり、供給が多ければ価格は下がる」、「需要と供給は、価格を媒介として<神の見えざる手>でバランスする」というのを経済学で習いますが、35年というロングレンジを費やしても、ワインではこの経済原則がはたらかなかったことになります。テーブルワインが減って高級ワインが増えたので、単価はむしろ上がっているのでしょう。



「欧州ワイン共通市場制度」は1962年に誕生。その当時から「減らす」ことを意図して制度を作ったそうで、半世紀にわたって、抜根奨励金、栽培制限、蒸留(ワイン消化)を続けてきたそうです。日本のコメ減反政策も似た側面がありますが、保護政策というのは本当に難しい。

世界中でワイン造りに情熱を燃やす人々がいる一方で、全体としては半世紀もワインがあまり続けているとは、なんだか愕然としてしまいました。

たとえば、清酒やビールは、消費が減っているといえども、生産量と消費量はほぼ同じだと思うのですが、ワインの場合は、過剰分を蒸留する手があるのも、原因の一つでしょう。食糧と競合しない、材木、海藻、藁などから作るバイオエタノールが脚光を浴びていますが、ワイン(や、その他のアルコール飲料)由来のバイオエタノール増産のほうが合理的なのかもしれない、、、といったことも頭をよぎりました。

列車の都合で、講演途中で退席したのが残念でしたが、考えさせられる講演でした。


喜多常夫