きた産業のスローなブログ

会社のトピックスや出来事を、「スロー」に記録・発信するブログ。文章は、当社の各部門のスタッフが書きます。

フランスにて(その3:ザルキン)

2009年12月16日 09時00分11秒 | Weblog
南フランスでワイン機材の展示会に参加した後、北フランスのノルマンディ地方に移動。キャッピングマシンのザルキン社を訪問しました。長らくナショナルクラウン社が日本のエージェントをしていましたが、同社が昨年秋に倒産したことに伴い、当社がエージェントを引き継いでいます。



ザルキンは、イタリアのアロール(アメリカの缶巻き締め機メーカーのアンジェラスの傘下)とキャッピングマシンの世界トップの座を競う会社です。 http://www.zalkin.fr/

自社ブランドの単体キャッピングマシンも作るけれど、クロネス、KHS、シデール、セラック、三菱重工、など世界の主要ボトリング・プラント・メーカーに、モノブロック充填機に搭載する9~30ヘッドのロータリー・キャッピングマシンを供給しています。日本でも、コカコーラ、大塚製薬、ネスレ、プロクター&ギャンブル、メルシャン、などなど多くの有力企業に採用されています。



先述のとおり当社がエージェントを引き継いだのは今年初めからですが、すでに大手クライアントの大型マルチヘッドキャッパーのオーバーホールを行うなど実質的な活動を行っています。これはその時のスナップ写真。フランス人技術者を呼んで、当社の技術チームと共同で作業。



参考情報:上がザルキンのPPキャッパー、下が一般的な他社の構造。ザルキンはトッププレッシャのスプリング(緑色)がヘッド側に内蔵されるので、ヘッド交換後に機械側のプレッシャ調整を行う必要がないのが大きな特徴です。


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フランス北部のノルマンディは緩やかな起伏があるものの、山のないほとんど平らな台地で、田舎は一直線の道が多い。その「一直線ぶり」をお見せしようと、運転席から車の進行方向(上)と、後ろ側(下)を撮影した写真。



12月故、だからかもしれませんが、道路の左右の農耕地はずいぶんやせた土地に見えました。加えて出張中は連日、冷たい雨。そんな厳しい土地がら、ノルマンディとその隣のブルターニュはフランスの他の地域と違ってブドウや小麦ができない。代わりにやせた土地でも栽培できるリンゴやソバを栽培して、シードルやカルバドス(リンゴのお酒)、ガレット(ソバ粉のクレープ)を作る独特の食文化があります。また、有名なカマンベールチーズもノルマンディの産ですね(農産物ができないので、牧畜が盛ん)。



せっかくノルマンディに来たので、カルバドスの工場もいくつか見学しました。蒸留機はコニャックと同じ「シャラントポット」型。こんな単式蒸留機で2回蒸留することが「カルバドスAOC」(原産地呼称規制)のルールです。(なお、いくつかの「カルバドスAOC」以外にもリンゴの蒸留酒、オードヴィ・ド・シードルがあって、作り方がそれぞれ違います。)


喜多常夫 (代表取締役)

フランスにて(その2:アヴィニョン近郊のワイン産地)

2009年12月09日 14時51分06秒 | Weblog
ワイン機器・資材の展示会のために南仏モンペリエに来ていることをこの前書きましたが、今回はその続編。せっかくここまで来たのだからワイン産地を見にいこうと、列車で1時間くらいのアヴィニョン(教皇と、壊れた橋で有名)までいって、その近郊のシャトーヌフ・デュ・パプ(最近、とみにワインの評価が高い)にいきました。

「ブドウ畑は石だらけ」とは聞いていましたが、聞きしに勝るとはこのこと。



場所によってはこの通り、土は全く露出していない。いったいどうやってブドウの樹を生やすことができたのか不思議。



いわく、「石の蓄熱効果と、その熱を受けるためにごく低く刈り込んだ樹勢、それがこの地域のワインのキャラクターを作っている」、とのこと。 

こちらは、シャトーヌフ・デュ・パプの西隣のタベルの畑。「石だらけ」は同じながら、種類が石灰質に変わって白くなっています。



これだけの石を見せられると、やはりこの地域のワイン特性への石の影響を思わずにはいられませんが、実のところはわかりません。なお、雨上がりの畑を歩いてみると、ズブズブと石ごと足が入る「ぬかるみ状態」で、決して水はけがよいわけではないように思いました。(先月発行した当社の「酒うつわ研究」誌に、酒類総研の後藤奈美さんがテロワールについて書かれていますのでお読みください。)


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こちらは、シャトーヌフ・デュ・パプの某有名シャトーの軒先。日本と違って、有名ブランドでもボトリングラインを持っていないところは多く、このようなモーバイルの請負企業がやってきて、壜詰め作業を請け負います。



こちらはモンペリエの展示会に出展していたモーバイル・壜詰業者。複数の企業が展示しており、相当需要があるようです。ワイン生産者にとっては設備投資を抑えながら「シャトー元詰め」を表示できるメリットがある。日本では法律上問題もあるでしょうが、清酒や焼酎もこのようなやり方になる時代がくるかもしれませんね。



「シャトー元詰め(mis en bouteille au chateauミ・ザン・ブテイユ・オ・シャト)」とは、フランスワインのキャップシュールに昔からよく表示されている言葉。一方、日本のお酒の王冠でも「蔵元直詰」という表示が昔からつかわれていますが、もともとこれはフランスワインをまねたものなのでしょうか? それとも日本とフランスで独自に使われ、偶然同じ表現になったのでしょうか? ?

喜多常夫 (代表取締役)

フランスにて(その1:モンペリエのワイン機器・資材展示会)

2009年12月07日 14時48分52秒 | Weblog
SITEVI(シィテヴィ)というワイン機器・資材の展示会に来ています。場所はフランス南部の都市、モンペリエ。

当社がヨーロッパから輸入している機器や資材のメーカーは十数社に上りますが、展示会では一度にそれらの企業と会えるので大変便利。Eメールの時代とはいえ、年に1度は顔を合わせて情報交換することはビジネスに大変有効です。

世界金融危機で人が少ないのではと危惧しましたが、案に相違して結構な動員数。当社がエージェントをしているDIEMME(ディエメ)社はこんな具合で、最大規模のブースの一つです。左に見える箱は、「光学式(画像処理)ブドウ選果装置」。ブーハーが先鞭をつけたこの手の機械は非常に高度技術かつ高価ですが、すでに4社が参入。フランスを中心に導入事例はどんどん増えているそうで、驚きです。



この展示会がワールドプレミアとなる新型の除梗破砕機。日本のワイナリーでも近年の導入実績でベストセラーになっている「Kappaシリーズの最小機種、Kappa8」。リーズナブルな価格がウリ。



メカニカルな自動選果(というか、作業人員を減らす選果補助)システム。この手の機械は、続々と各メーカーが出しています。フランスではワイン生産が過剰なのでどのワイナリーも品質志向。したがって選果は、ワイン生産のスタンダードになりつつある感があります。



やはり当社がエージェントをしているワイン用合成コルク「ノマコルク」のブース。SITEVI展示会のイノベーションアワード金賞を受賞した、ノマコルク・プレセンス共同開発の非接触式酸素計を試しているところ。壜内部に貼り付けたセンサースポットの赤外線を検出する。ワインと酸素の関係は最近盛んに議論されるところ。




こちらは、やはり当社が輸入しているサヴェールガラス社のブース。同社は、新製品に日本名をつけてシリーズ化しています。従来製品としては、ケンドー(剣道)やゲイシャ(芸者)がありましたが、今年の新製品は、キモノ(着物)。(因みに、キモノ、という名前をアドバイスしたのは私)



そしてこれも新製品、「H DOZO」、「エッチ・ドーゾ」、、、なんだか意味深? 「これも日本名?」と聞いたら、「水のH2Oをフランス語で発音したつもり(2はフランス語でドゥ-なので)」との答え。でもひょっとしたら日本向け確信犯か? ゲイシャ(右)と並べて置くところなどもアヤシイ?? (なお、この名前は、もちろん私のアドバイスではありません。)



喜多常夫(代表取締役)