きた産業のスローなブログ

会社のトピックスや出来事を、「スロー」に記録・発信するブログ。文章は、当社の各部門のスタッフが書きます。

「バイオ・フューエル・ワールド展示会」を見てきた

2007年07月17日 14時50分17秒 | Weblog
先週末、横浜で「バイオ・フューエル・ワールド」という展示会があった。バイオエタノールはお酒の延長上の技術でもあり、興味がある。東京出張の日程に重なっていたので、足を伸ばして見てきた。

講演をいくつか聞いたのだが、「バイオマス燃料開発および供給の課題」という講演(京大名誉教授の池上さん)で、興味深いチャートがあった。デジカメで撮影したのが下の写真。



「WTW」というチャートで、Well to Wheel(油井から車まで)という意味だそう。ガソリンや軽油、各製法のバイオエタノールが自動車に利用されたとき、走行距離あたりの「エネルギー要求量」と「CO2ガス排出量」が横軸・縦軸にプロットしてある資料である。

驚いたのは、この表を見ると、エネルギー要求量は、ガソリンよりバイオ燃料が2~3倍も多いこと。車を100km走らせるのにガソリン(左上の赤四角点)や軽油(左上の青四角点)では200MJ(メガジュール)強なのに、バイオ燃料(右のほう)は350~550MJ強!なのである。知らなかった。

専門家に言わせれば、当然じゃないか、ということかもしれないが、エネルギーをどんどん使っていいものか。いまや世界中がバイオ燃料採用に向かっているが、本当にこの選択がいいものなのか、素人ながら少々心配になった。

エネルギーをたくさん使ってもCO2ガス排出が少なければいいのかもしれないが、なんと小麦で作ったバイオエタノール(右上の緑四角点)など、CO2ガス排出量もガソリン・軽油と大差ない。サトウキビのバイオエタノール(EtOH suger beetと表示)でも、ガソリン・軽油の7~3割のCO2ガスを排出するのだ。

少なくとも「光合成で炭酸ガスを吸った植物を燃やすのだから、炭酸ガス排出がプラマイゼロ」という意味の、「カーボンニュートラル」という表現はやめるべきではないか、と感じた講演会だった。

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地下鉄のみなとみらい駅をおりてパシフィコ横浜(バイオ・フューエル・ワールドの展示会場)にいく途中にある、巨大な御影石の石碑がとても印象に残ったのでデジカメで撮ってきた。

 

フリードリッヒ・フォン・シラー(ベートーベンの第九の作詞者)の詩だそう。ドイツ語と日本語訳
で、「(自然は)物質としての束縛を少しずつ断ち切り、やがて自らの姿を自由に変えていくのである」などと書いてある。含蓄深い。最近の日本の集合建築のなかで、特に秀逸だと感じたので、ブログに掲載する次第。

代表取締役 喜多常夫