きた産業のスローなブログ

会社のトピックスや出来事を、「スロー」に記録・発信するブログ。文章は、当社の各部門のスタッフが書きます。

「関西醸友会」の講演会@京都

2014年09月30日 09時18分14秒 | Weblog

「関西醸友会」の第三回総会が、9月25日、京都駅前の新都ホテルで行われました。関西醸友会の会員は灘・伏見の大手清酒メーカーの技術者を中心とした西日本の酒造メーカーの方々。当日の出席者は賛助会員も含めて約150人という大規模なもの。その総会の後の講演会で、話をさせていただく機会をいただきました。



私の演題は「サケの世界マーケットの現状」。2013年に日本から輸出された約9万石の日本酒は、2013年に世界(日本国外)で消費されたサケ推定37万9千石の概ね1/4にすぎないこと。また、残り3/4を供給するアメリカ、韓国、台湾、ブラジルなどの清酒の情報などについて話しました。




このスライドはちょっと珍しい、戦前・戦後にアメリカに存在したサケブランドのラベル。




スライドを拡大。デンバーにあった「白峯」(伝馬酒醸造)、サンフランシスコ市内にあった「国光」(California Sake Brewing)などは、ほとんど情報がありません。




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講演会の演者は私を含め5人でした。2人目は種智院大学名誉教授の吉田さんで、清酒の技術史。四季醸造は黎明酒造さん、月桂冠さんが有名ですが、「嚆矢としては、ホノルル日本酒醸造、(台湾)日本芳醸社、(弘前)福島醸造があった」など興味深いお話でした。写真は、演者に質問される元月桂冠の栗山さん。「ワインの浅井宇介さんと対談したときも日本酒は濃醇であるべきという話になった」、「(酒造技術者の)野白さんは逆立ちしてくれた」、など面白いエピソード。




3人目は早稲田大学教授のマイク・モラスキーさん。二十歳の頃から日本で居酒屋通いを始め、今も赤提灯に通い続けるという異色のアメリカ人。「料理・酒」や「値段」ではない部分の居酒屋の価値について。写真は、居酒屋の典型的客席構造の3パターン、「一列」、「L字」、「コの字」をホワイトボードに書いて、その共有感の違いを語っているところ。




これはマイク・モラスキーさんの著作2冊と、文章が掲載されている発売中の雑誌(と、本日の講演要旨集)。「日本の居酒屋文化」(右下)という新書は、今年出版されたばかり。




実は私はマイク・モラスキーさんのファン。持参した著作や雑誌にサインをしてもらいました。私の名前も書いてくれましたが、漢字もこの通り達者なもの。




4人目は、京料理「菊の井」の主(あるじ)、村田さん。テレビやメディアでよくお見受けする著名人ですが、直接お話を聞くのは初めて。和食のユネスコ無形文化遺産登録時のエピソードや、世界に於ける日本食レストランの増加など。




5人目は、日本酒造組合中央会の岡本さん。日本製の清酒や焼酎などをブランド化するための「JSS」マークの制定の話、世界共通の貿易品統計コードの「その他の醸造酒」のなかに「清酒」を明記してもらう働きかけをしている話、食品に準じた表示ルールの変更の可能性とコンプライアンスの話など。




講演会の後は懇親会。「着席」形式なのですが、開始後30分ほどで皆さんほぼ「立食」状態。多くの皆さんと楽しくお話をさせていただき、たいへん楽しいひとときを過ごさせていただきました。ありがとうございました。



代表取締役 喜多常夫