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フランス出張レポート その③ 「シャンパーニュメゾン視察編」

2018年03月04日 10時00分00秒 | Weblog

前回に続き、フランス出張報告その③です。シャンパーニュでは7軒のメゾンを訪問しましたが、ここでは、「大手メーカー」「中堅メーカー」「小規模メーカー」の3件に絞ってレポートします。


⚫1件目・・・Nicolas Feuillatte(ニコラ フィアット) ※大手メーカー
コート・デ・ブラン地区の大手シャンパンメーカー。販売実績は2000万本/年。2017年4月にできたばかりの新社屋から見学を開始しましたが、受付カウンターはまるで高級ホテルのよう。



400klのステンレス発酵タンクが400本(!)、ジロパレットは480機(!!)あるとのこと。広大な一室に整然と並んでおり、あまりの規模に圧倒されます。



高速の自動充填ラインは、国内大手ビールメーカーの工場を彷彿とさせます。ティラージュを終えたワインを充填し、ビデュールと王冠を打栓した壜が、すごいスピードで出てきます。



地下セラーには、現在1億本(!!!)のシャンパンが眠っています。1区画は約10万本。私(身長180cm)が手を伸ばしても届かない高さまで積み上がっています。スケールの大きさと高速ラインを間近で体験でき、大変勉強になりました。



⚫2件目・・・Mailly Grand Cru(マイィ グランクリュ) ※中堅メーカー
モンターニュ・ド・ランス地区の中堅メーカー。販売実績は50万本/年。若きPresidentであるLanson氏自らアテンドしてくれました。コーペラティヴ・ド・マニピュラン(=共同組合)という業態で、契約農家からブドウを買っているため、生産者の大切さを熱く語って下さいました。



デブルバージュと発酵を行うステンレスタンク。タンクの中身を見分けるために、文字ではなくブドウ生産者の地図を貼っています。分かりやすいし、これも生産者を大切にしている表れかもしれません。



ジロパレットは、ボックス24個(隠れていますが、写真右奥にもあります)。



地下のセラーで面白い光景を見ました。通常は壜を横にして貯蔵するのですが、ルミアージュを終えた壜がほぼ立てた状態で保管してあります。なぜこんなことをするかというと、買い手が決まったら直ちにネックフリーズとデコルジュマンをして、すぐに販売するため。確かに合理的ですが、地震がある日本ではとても真似できないと思いました。



生産ラインを自動化している中堅メゾンでありながら、ブドウ生産者を大切にする側面も見て取れました。試飲したシャンパンは、ふくよかな甘みと香りがあってエレガントという言葉がぴったり。思わず笑みがこぼれてしまうおいしさでした。



⚫3件目・・・Domaine Vilmart&Cie(ドメーヌ ヴィルマール) ※小規模メーカー
モンターニュ・ド・ランス地区のシャンパーニュメゾン。販売実績は10万本/年。自社の畑からとれた葡萄だけをつかう「レコルタン・マニピュラン」です。



こちらはシャンパーニュの伝統的圧搾機、「コカール」。通常のバスケットプレスに比べて直径が大きく単位面積あたりの圧力が低い。「4トンのブドウから2,050ℓのキュベ」をとるのがシャンパーニュの規則ですが、ちょうど4トンはいります。



発酵はステンレスタンクを使わず、全てオーク樽を使用。



珍しい手動式のジャイロパレット。小規模なメゾンでも、ピュピトルはあくまで補助的な役割のようです。



コストを惜しんで機器を更新しないのではなく、あえて伝統的な手法にこだわってシャンパンづくりに向き合うメゾンでした。


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今回のフランス出張では、パートナー企業とワイナリーの両方をしっかりみることができました。“シャンパーニュ製法”という価値あるものづくりに仕事で携われていることを、あらためて誇りに感じています。シャンパーニュ製法に取り組むお得意先が増えていますので、ますますご協力ができるよう精進して参ります。なお、ブログで紹介しきれなかったシャンパーニュメゾンは、「ワールド醸造所訪問記」として、後日当社HPで報告させて頂きます。



東京営業部 喜多郁森


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