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昨日に引き続き、渋谷の「つまみや」で買った古本です。
知の巨人・司馬遼太郎さんと偉大な劇作家・井上ひさしさんの対談。おふたりとも既に亡くなられましたが、本書では、日本がいま直面している課題、国家とは何か?、宗教とは何か? 日本人とは何か?について、歯に衣をきせることなく議論しています。
1995年の『現代』に4号にわたって連載された対談集です。オウム事件の直後であったので、対談にはそのことについても論じられています。
構成は次のとおり。「宗教と日本人」「『昭和』は何を誤ったか」「よい日本語、悪い日本語」「日本人の器量を問う」。
司馬さんは日本は今、「煉獄」のなかにあるようであり、日本の発展は終わってしまって、現在の日本は「ほころびだらけの近代史」の延長上の停滞状況にあると語っています。井上さんは今の日本は「なんでもありだがなにひとつ確かなものはない」が、なんとか「美しき成熟」にもっていかなければならないと言っています。
該博なご両人なので、オウム真理教の独善性を糾弾しながら宗教の真の意味、人類の基本思想を論じ、明治憲法下の「統帥権」という「鬼胎」の指摘から始めて、天皇機関説、京大滝川事件と絡めながら憲法問題を論じています。語りがなくなり、薄っぺらな単語を連発する会話を嘆きつつ、新しい日本語の可能性を展望しています。
沈没しそうな日本丸、この対談は15年前。事態はいっそう悪くなっていますね。
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