【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

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夢枕獏『大江戸釣客伝(上)』講談社、2011年

2012-08-14 00:09:50 | 歴史

               

  江戸時代、将軍が綱吉が家綱に代わり、生類憐みの令が次々と出た頃の話。「釣客伝」というように、釣り人のエピソード。主人公である釣り好きの津軽采女を筆頭に芭蕉の弟子、宝井基角、多賀朝湖、くわえて阿久沢弥太夫、松本理兵衛、岩崎長兵衛、伍大力仁兵衛などの面々。幕府御用達の材木問屋の主でひと財産をなした紀伊国屋文左衛門も登場する。

   かれらの生活と人生を描き、江戸の釣り人の世界がどういうものであったかが小説に仕立てられたのがこの作品である。

  江戸の海を臨む鉄砲州で竿をだし釣り糸を垂れ、釣り上げるのはキス、ハゼ、カレイ、鯛など。そこには「鉤勝負」もあり、賑わっていた。

  采女は津軽弘前藩の支家、津軽信敏の嫡男として江戸で生まれる。身分はなぜか小普請組の武士。生前に釣りの指南書「何羨録」を著している。この書には釣り場紹介から釣り道具、エサ、天候の読み方まで書かれている実用書。彼自身の人生は上杉弾正大弼綱憲の養女阿久里(吉良上野介義仲の実子)と結婚するも、すぐに死別。
  上野介義仲のひきがあって、綱吉の側小姓に登用されたが、綱吉の寝所番を担当中に狂気の最中にあった綱吉当人に斬りつけられお役御免となる。有名な綱吉の生類憐みの令は、当初は犬に関するものであったが、次第に生き物全般に及び、ついには釣りも魚をあやめるものと、釣り船禁止令が発令された。

  上巻では、釣り船禁止令ということになったを嘆く采女、長太夫、弥太夫、理兵衛ら4人が鉄砲州に集まり話をしている場面で終わる。投竿翁の消息、彼の数珠子掛けが話題になっている。それはいったいどういう技のだろうか?


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