NHK教育TVの日曜美術館で、女性画家ヴィジェ・ルブラン(Madame Vigee Le Brun)の紹介がありました(4月17日朝、24日夜)。番組では、同時代の画家ダヴィッドと対比させて、画の解説、作風、生涯が解説され、ルブランのそれは三菱一号館美術館の館長・高橋明也さんが、 ダヴィッドのそれは「怖い絵」で有名な中野京子さんがそれぞれの立場で説明していました。
http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2011/0417/index.html
←マリー・アントワネット
そのヴィジェ・ルブランの画の展覧館会が有楽町の三菱一号館美術館で開催されています(3月1日~5月8日)。画家と言えば男性ばかりが有名ですが、女性の画家もたくさんいたのです。
美貌のヴィジェ・ルブランはマリー・アントワネットと同じ年に生まれ(1755-1842)、アントワネットのいわば専属の画家になりました。女王の肖像画をたくさん描きました。同年代ということもあり、人間としても親しく、お互いに信頼関係があったようです。
←自画像
ヴィジェ・ルブランは、フランス革命後、女王が断頭台の露と消えたあと、当然自分の身も危うくなり、祖国をすててイタリア、ドイツ、ロシアなど長きにわたって亡命生活を送りました。しかし、画筆はすてがたく、肖像画を中心にいい作品を描き続けました。時代を反映してロココ風の作品が目立ちますが、デッサン力がすぐれ、卓越した技能と藝術性を秘めています。個性までうかびあがらせた素晴らしい絵をたくさん遺しました。
今回のヴィジェ・ルブラン展は、彼女を中心に、女性画家によって描かれた作品が並んでいます。ヴィジェ・ルブランの展示会は、フランスでも開催されたことはなく、アメリカで一度もたれたようですが、今回の日本での展示会はそれに続くものです。
当時の画は神話が題材にされたりもの、歴史事件の記録としての絵画が評価されましたが、当然そこには男性、女性の裸体、凄惨な場面があらわれましたが、女性の画家がそのような題材をとりあげることができる環境にはなく、したがって作品の題材は人物画、静物画などに限定されています。女性画家にとっては、不満もあったことと推測できますが、それでも彼女たちは制約された条件のなかで、歴史に残る大きな仕事をしました。
←ポリニュック夫人
*なお、ルブランについては、本ブログで2009年5月14日でとりあげた、若桑みどり『女性画家列伝』に載っていて、参考になります。
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