【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

ゴヤ(スペインの画家)の実像

2007-01-12 11:18:29 | 美術(絵画)/写真
 絵が好きなので、画家について、絵画について書かれた本を時々、手に取ります。

 小山田義文著『ゴヤ幻想「黒い絵」の謎』(三元社、2002年)を読みました。お薦め度の高いです。
 ゴヤとはどういうひとか今ひとつ分からなかったのですが、「こういう人だったのか」とよく理解できました。
 1819年マドリード近郊に求めた<聾の家>。ここで翌年から4年をかけて(74歳から77歳)、一階と2階の食堂の壁面に一連の「黒い絵」(「レオカディア」「二人の老人」「魔女の夜宴」「聖イシードロへの巡礼」「ユーデット」「わが子を食らうサトゥルヌス」「犬」「スープを飲む老人」「異端審問所の後進」「政治家たち」「決闘」)を描いたゴヤ。
 著者はこの14枚の絵がなかったとしたら、ゴヤは絵画史の巨匠の列に伍することはできなかったと断言し(p.27)、これらの作品を読み解きながら、ゴヤの絵画につらなる東西の絵画、文学に思考を飛翔させます。
 傲岸不屈、奔放不羈のこの画家は、鉛中毒、梅毒、聴覚の喪失のなか、狂気、夢魔のイメージをキャンバスに塗り込めたようです。
 妻のホセファの死後にのめりこんだレオカディアとの激愛、旧約聖書外典「ユデト書」に登場する敵軍の将軍の寝首を切り取った女性ユーデット、空中飛翔し浮遊する人物群、宗教裁判所の支配者のグロテスクな脅威、等々、興味尽きない話題が一杯です。(これらの14枚の作品は、1824年のゴヤのボルドー亡命後、孫のマリアーノの所有となるが、マリアーノは遺産を食い潰し1859年にこの家も絵も手放したそうです。14枚の絵は幾多の流転があって現在はプラド美術館蔵)。

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