黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『七つの海を照らす星』七河迦南(東京創元社)

2008-11-20 | 読了本(小説、エッセイ等)
七海市の南端にある児童養護施設・七海学園に、就職して2年目の保育士・北沢春菜。そんな彼女が担当することになった少女・葉子は問題児。葉子には、かつて学園にいたが、病で亡くなった・玲弥という少女に憑かれているという噂があった。ある夜、葉子と話す機会に恵まれた春菜は、彼女からすでに施設を去ったはずの玲弥が、危機に陥った彼女を助けに現れた話を聞く……第一話 今は亡き星の光も、
七海学園で暮らす浅田優姫は18歳。今年度で高校を卒業する真面目な彼女には、行きたい専門学校があり、その為にバイトをしていた。そんな彼女の預金通帳に、多額の入金を見た春菜は不審に思う。優姫にはかつて戸籍がなく、保護される前には、廃屋で暮らしたこともあったというのだが……第二話 滅びの指輪、
大学時代からの友人・野中佳音にあるエピソードを語る春菜。学園に預けられている沙羅と健人。2人の父・秋本譲二は離婚しており、新たに吉川藍という女性とつきあっているらしい。沙羅たちを引き取るといっている父が、沙羅が嫌いだといっているのを、本人が聞いたというのだが……第三話 血文字の短冊、
かつて七海学園で暮らしていた俊樹と美香が結婚するという。そんな俊樹には10年以上前に幻の新入生を見た記憶が。男女合わせて50人の子供たちを引っ越しさせて自然の中で過ごす、夏期転住の折、小松崎直という回文好きの少女と知り合った。しかし彼女は彼の前から突然姿を消し、他の誰も彼女のことは知らないという……第四話 夏期転住、
七不思議である“開かずの門の浮き姫”の話をいつもの如く語る亜紀の他に、まじめな加奈子も見たという。
折りしも、他の施設との合同行事が行なわれる直前、学園の河崎明と、大日愛児園という施設の少女・瑞枝が付き合っているという噂が流れ、行事の開催が危ぶまれた。その後2人はあっさりと別れたのだが、それが新聞に投書されて問題化し……第五話 裏庭、
6人の少女が一緒に入ると7人目が現れ、囁くというトンネルの怪。春菜と佳音が、たまたま食事をする為に入った七海飯店でその話をしていると、店員・千香が、その怪を実際に経験したことがある当事者だと告げる。学園の少女・舞がその声を聞いたと主張していて……第六話 暗闇の天使、
亜紀曰く、学園の七不思議の7つ目は、誰も知らないという。
かねてから会わせたいと思っていた、児童相談所の海王を佳音に紹介した春菜。そこから意外な事実が明らかに……第七話 七つの海を照らす星を収録。

いろんな事情を持つ子供たちが預けられている、児童養護施設・七海学園で言い伝えられる、学園七不思議。
それに準えつつ展開するミステリの連作短編集。
第18回鮎川哲也賞受賞作ですが、まさに創元なテイストな作品かも。
第二話だけ、ラストの雰囲気が他の話から浮いてるっぽい印象ですが、デビュー作にしては秀逸の出来。
これからの活躍が楽しみです♪

<08/11/20>