黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『なもなきはなやま』岩槻優佑(朝日新聞出版)

2008-11-13 | 読了本(小説、エッセイ等)
はるか昔、まだ武士がいた頃に山奥に捨てられた老婆・ばんば。人の心が花を咲かせるという山で、“花守り”をしているが、そこを訪れた者が快復することから、そんな彼女を“せんせい”と慕うものもいる。
そんなばんばの元をたびたび訪れる高校生・健太は、身体は男性だが、心は女性。それを理由に、学校ではたびたびいじめられているが、自分が咲かせた花を励みに日々を過ごしている。
一方、昭和歌謡や時代劇が好きな、いたって地味で小心な性格の24歳のフリーター・渋谷青野には、同じ顔ながら性格は真逆で派手好きな、モデルを目指しオーディションを受け続けている双子の妹・桃香がいる。昔から良きにつけ悪しきにつけ、注目を浴びるのは妹ばかり。
彼女の家には、元旅館のおかみをしていた父方の祖母・タキがいる。長男夫婦との折り合いが悪く、祖父が亡くなってから追い出されたのだ。その厳しい上に身勝手な性格ゆえに、桃香との折り合いは最悪。
勤務先のスーパーでは、客に因縁をつけられたもやもやを抱え、さらに告白した同僚からは避けられ、鬱屈を抱える青野。
“こころがすうすうする”と決まって食べるのは、ボン西山の特製カレーパン(まずい)。それを儀式として、気持ちを切り替えているが、このところ化粧臭い女にいつも先を越されて、カレーパンが買えない。
そんなある夜、桃香と言い争いになり、家を飛び出した青野は、勢いで遠くの公園まで歩いてしまい、そこで健太に出会う……

民話的な(方言全開)ばんばと現代的な青野の語りが、交互に展開されています。現実的な部分と、ファンタジックな部分がうまく融合していて、良い感じでしたが、青野のキャラが身につまされ過ぎてイタイです(笑)。

<08/11/13>