黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『アイスクリン強し』畠中恵(講談社)

2008-11-02 | 読了本(小説、エッセイ等)
時は明治23年。東京。
親を失い、築地の外国人居留地で生まれ育った皆川真次郎は、そこに暮らす外国人たちから習い覚えた技で、風琴屋という西洋菓子の店を始めたばかり。
ある日、そんな彼の元にやってきたのは、彼の友人で、元幕臣の子息で今は警察官となっている…わずかな皮肉を含みつつ、内々に“若様組”と称している…長瀬とその仲間たち。
彼らのところに、差出人不明の手紙が届いたのだという。差出人を探し出し、その人物が欲している何かを持参したら、褒賞を与えようという内容だったが、同じものが真次郎の元にも届いていて……『序』、
銀座の煉瓦街を走る鉄道馬車に乗っていた真次郎は、友人である成金の娘・小泉沙羅と遭遇。さらに、追われているらしい若者・相馬小弥太を助けた。彼は、旧松平藩の嫡子探しの騒動に巻き込まれ、家の宝である拝領の品・刀の鍔を狙われているのだという。成り行き上、真次郎の元で小弥太を匿うことになったのだが、真次郎は今、彼を育ててくれたストーン宣教師夫妻の結婚記念日パーティーの準備に忙しく……『チョコレイト甘し』、
長瀬家の先代当主のじいや・笹本が余命いくばくもないのだが、その笹本の行方不明になっている息子を、貧民窟である万年町で見かけたものがあるという情報を得て、その行方を探しにきた真次郎、長瀬、“若様組”の園山薫、そして次郎の押しかけ弟子・小弥太。町を仕切る親分たちの協力もあり、無事問題は解決。その代わりに、町に住む元士族の少女・野々山かの子宅に入った盗人騒動についての調査を頼まれ……『シユウクリーム危うし』、
アイスクリン製造の機械を買う為、小泉商会でアルバイト中の真次郎に、沙羅が襲いかかってきた。多報新聞という新聞に、彼女も通う女学校でアイスクリンを作った折の出来事が載っていたのだが、彼が子爵令嬢に手を出したと、著しく事実を曲げた記事になっていたのだ。時を同じくして、若様組について記事にされた長瀬と共に、新聞社に乗り込んだ真次郎。記者曰く、その記事は投書を元に書かれたという……『アイスクリン強し』、
父・琢磨から沙羅の元に縁談が持ち込まれた。相手は西宮伯爵の弟の次男・浩光だが、沙羅は乗り気ではない。そんな彼女に、父は最近姿を見せない長瀬たちの近況を教えることを条件として提示する。
その頃、長瀬以外の若様組の面々は、命の危険さえある、流行しているコレラ対策に借り出されていたのだ。それは、警視・大河出の指示によるもので、長瀬だけは、自由民権運動に与していた加賀三太郎という男を探すようにという命を受ける。半ば人質にとられたような状況の中、捜索する長瀬だったが……『ゼリケーキ儚し』
長瀬や園山、そして真次郎も、皆さまざまな理由により金欠な日々。そんな中で、ふと以前届いた手紙のことを思い出した面々。差出人の心当たりはあるものの、件の人物が欲しているものがわからない。それぞれの考えで奔走するうちに、つい暴走しがちな園山をひとりにしてしまい、慌てた真次郎は彼を探すが……『ワッフルス熱し』を収録。

明治時代の築地で、西洋菓子店を開業した真次郎(ミナ)と、友人である元幕臣の警官達・若様組の愉快な仲間たちが繰り広げるドタバタ騒動記。
雰囲気は良いのですが、ちょっと物足らない感が…。
是非シリーズ化してその辺を補って欲しいです(笑)。

<08/11/2>