CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】ペッパーズ・ゴースト

2022-01-24 21:01:10 | 読書感想文とか読み物レビウー
ペッパーズ・ゴースト  作:伊坂幸太郎

また、新しい愉快な殺し屋二人が出てくる物語なんだが、
いつもの伊坂幸太郎のキャラクタだといえる
安心安定、それでも楽しい小説でありました
劇中劇になっているようで、結局それは本当だったかフィクションだったか
そういうメタ認知のような要素もあったんだけど、
それはちょっと余分だったんじゃないかと思わなくもないが、
おおむね楽しく、そして、割とすんなり終わったので
よい小説だったと思うのでありました

相変わらずといっていいのか、
おそらくは著者が気になっている出来事とか、事実とか、
そういうものをなんとか物語にして、どう接するか書いていこうと
そういう意気込みが、行間からにじみでてくるようでもあり、
どっかで聞いたことあるような、
あるいは、実際ありそうなといった
ある種の理不尽について、コメディタッチの理不尽で対抗しつつ
それでもどこか、避けられない悲しさみたいなのがあったりして
久しぶりに読むと、すごく楽しいと思えるテンションだった

新しいエスパーものといっていいのか、
コロナに悪いヒントを得てんじゃねぇかと思わされる、
対象者の飛沫的なもので、未来予測が伝染するという
ちょっと説明だけだと意味不明すぎるけど、
物語としてはすごくしっくり落とし込まれていて、また、
面白く読めるというのがすごい
いや、そもそもこの物語のために用意された能力のようですらあると
そんなことを感じたりしたのでありました
序盤からまぶしてあった、いくつかの伏線回収はいつものように気持ちがよいけど
やや少なめで、逆にそれが、すごい自然だったから
あれもこれもという浴びせかけられて疲れてしまうようなことがなかったのもよくて
個人的には、これくらいで帳尻があうというのが
一番いいなと、楽しめたのでありました

残虐シーンはざっくりと切り落とされているのでよいのだが、
人間の悪意というか、避けられない悪意というものと
どうしようもないことに、どうにかして対抗しようという
弱弱しいけども勇気あるというか、
英雄的なためにではなく、自分が後悔しないためにという
とてもわかりやすい、嫌味のない動機で行動を起こすというのが
すごく気持ちがよかったと
改めて、王道とはこういうのだなぁと
わかりやすく納得したのでありました

割と大団円的な感じで終わったし、ほのぼのともしていたので
小気味よく読み終えたのでありました


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