CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】この本を盗む者は

2021-04-12 20:51:19 | 読書感想文とか読み物レビウー
この本を盗む者は  作:深緑野分

SFというには優しすぎる、少々御伽噺めいた雰囲気もある、
ファンタジー小説でありました
本に対する想いというものが、小説からあふれてくるようでもあり、
読書狂めいた人には、なんとなし、しっくりくるのかもしれない
そこまで至ってないので、わからんのだが
本と関わることという大きなテーマを描いた小説だったように
読み終えたのでありました

図書館みたいな凄い蔵書の家がある
そこから、本を盗むと呪いが発動して、大変なことになる

そんな筋なのでありますけども、
その大変なことをあれこれ解決していきつつ、
本が嫌いという主人公が、それに巻き込まれて
なんだかんだと、色々判明していくのが面白いのでありました

本の呪いは、その本の内容に合致するといった制約があるので、
冒険小説から、ハードボイルド、スチームオペラ的なものなどなど
結構あっちこっちのジャンルの内容が出てきて、
それぞれのいかにもな感じを楽しめるのでありました
ただ、いかにもというところに寄りすぎているのか、
ちょっと読むのにしんどいかしらと
想わなくもないところが残念でありましたが
おおむね楽しく読み進めたのでよいのであります

不思議空間というか、世界を描いているのだけども、
ぎりぎり現代から足を踏み外さない感じで、
小説というよりも、こういう漫画というか、アニメがありそうだなと
そんなことを思わせる内容でありました
ほんわかしているので、のらりくらり読めるのであります

色々なジャンルのいいとこどり、というか、
欲張りな内容なので、しっちゃかめっちゃかな印象もあるけど
最終的には、結構好きな感じだなという終わり方で
このシーンを書くためのそれまでと思うと
すんなり腑に落ちたように楽しめた一冊でありました