推し、燃ゆ 作:宇佐見りん
芥川賞らしい小説だった
そうだ、俺の知っている芥川賞はこういう小説だ
物凄くしっくりきたというか、かくありと思うほど
陰鬱とも違うが、何か重たい、どうしようもない激情が
まさに蠢いているといった感じを覚える内容だった
話は、アイドルを推している、それも派手に熱狂的にというではなく、
ある種狂気にも似た、でも静かに支持している、これが推すということかと
読みながら学ぶかのように、どっしりとした
ファンの鑑のような描写と、その内にある鬱屈が見事だった
いわゆる普通の生活がうまくできない、
勉強もできないし、食器を片付けたり、掃除をしたりできない
発達障害なのかとも思える主人公が、
ただ、アイドルを推すときだけ、とても精力的にこなせる、
その語録をまとめたり、様々なレビューを書いたりして
ガチ勢として、SNSではちょっとした有名人になっているけども、
そんなことはどうでもよくて、
ただ、推している、推すということがすべてという
独特な心の動きが興味深かった
やがて、アイドルが引退するという別れをどのように受け止めるか
想像もできないまま、本当にそのときを迎えてと
このあたりからの流れ、人格というか、人間としての形を失っていくかのような、
おそらくこれが喪失というものだと思ったんだが、
破壊と再生に至らない、残滓のようなものが見事に描かれていて
濃い絶望と、ひょっとしたらという一縷が見える小説だった
芥川賞を堪能した
芥川賞らしい小説だった
そうだ、俺の知っている芥川賞はこういう小説だ
物凄くしっくりきたというか、かくありと思うほど
陰鬱とも違うが、何か重たい、どうしようもない激情が
まさに蠢いているといった感じを覚える内容だった
話は、アイドルを推している、それも派手に熱狂的にというではなく、
ある種狂気にも似た、でも静かに支持している、これが推すということかと
読みながら学ぶかのように、どっしりとした
ファンの鑑のような描写と、その内にある鬱屈が見事だった
いわゆる普通の生活がうまくできない、
勉強もできないし、食器を片付けたり、掃除をしたりできない
発達障害なのかとも思える主人公が、
ただ、アイドルを推すときだけ、とても精力的にこなせる、
その語録をまとめたり、様々なレビューを書いたりして
ガチ勢として、SNSではちょっとした有名人になっているけども、
そんなことはどうでもよくて、
ただ、推している、推すということがすべてという
独特な心の動きが興味深かった
やがて、アイドルが引退するという別れをどのように受け止めるか
想像もできないまま、本当にそのときを迎えてと
このあたりからの流れ、人格というか、人間としての形を失っていくかのような、
おそらくこれが喪失というものだと思ったんだが、
破壊と再生に至らない、残滓のようなものが見事に描かれていて
濃い絶望と、ひょっとしたらという一縷が見える小説だった
芥川賞を堪能した