CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】湖の女たち

2021-04-17 21:00:16 | 読書感想文とか読み物レビウー
湖の女たち  作:吉田修一

自分には難解だった
ある、事件とも事故とも言いがたい事象が起きて、
それにかかずらあう刑事と、記者と、幾人かの容疑者、
あるいは冤罪の人といった感じが、
妙な狂気に取り付かれる話といえばいいのか、
読み終わって、この雰囲気は好きだなと思わされるところが
個人的に、ひいき目なんだろうかと感じるんだが
芥川賞っぽさとも形容できそうな、これという言葉に表せない物語でありました

ラスト数ページの描写が、凄い好きな作品だった
そこにいたるまでの過程だったと思うと
一冊の大半は、あまり意味や、辻褄があおうと合うまいと関係ない
そうすら思えるくらい、ラストシーンが個人的には突き刺さった

正直、物語の筋というものはあんまり関係がなさそうというか、
最後にいたるまでに、なんともいえない
読み手側に不可思議な気持ちというか、読後感というか
読中感覚を芽生えさせておくというもので、
唐突なSMめいたやりとりとか、
解決しそうでしない事件だとか、
冤罪を作っていく話だとか、

さらには、二次大戦中の昔話までリンクしてきて、
それらは本当につながりがあるのか、それは考えすぎじゃないかと
戸惑うような感じなんだけども、
そこにひきつけられて、結びつけていくような登場人物たちの狂気が
なんとも、目が離せないようで面白かったのでありました

抽象的な内容が、まるで論理的ではなく、
イメージが合致したとか、そういったレベルで、
真実に接近していくという感じが、
最後に、裏切られるのか、本当にそうなのか、
そんなのどうなんだと思ったり考えたりして、
ぐちゃぐちゃになりながら読んで結末を見るというのが
凄い楽しかったのでありました

もう、何を読んだのか
さっぱりわからん感想になってしまうんだが、
琵琶湖を舞台にした物語というには、
あまりにも、琵琶湖関係なくない?って感じで、
でもでも、湖と、寒さというキーワードが
湖西ならぬ、西湖にて繰り広げられるという小説でありました

余談ながら、このネーミングがややこしくて、モチーフは高島のあたりなのか、
高島のほうだとしたら、湖からの風をさえぎる建物という描写がおかしいような、
さりとて西の湖のあたりをさしてるとしたら、湖北の野鳥センターまで距離がありすぎるしとか
いらぬことを考えたのでありました

ここに描写される美しい光景を一度見たいと思うのである
湖北のあたりで見られる光景なんだろうが
小説の中にしかないのか、
本当はもっと凄いのか
そんな、他愛のないことを考えてしまう