CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】本屋稼業

2017-10-09 19:30:08 | 読書感想文とか読み物レビウー
本屋稼業  作:波多野聖

紀伊国屋書店について書いた小説でした
その成り立ち、一代でなしえた偉業について
昭和のそれこれと二人の創業者について描いていました
ちょっと、時代が前後しすぎて、
よくわからんなという印象になってしまったのだけども、
天才肌の社長と、しっかりものの副社長という
まるでホンダを見るような組み合わせの創業者により
あの大きな本屋が作られたというのが
なかなか楽しく読めたのでありました

実際は、もうちょっと泥臭いというか
嫌な話もあったんだろうなと、ちょっと思わされたのでありますが、
戦前に、作家、本屋、なんだかんだと手を出しては失敗してと
そんな道楽息子が、戦争で何もかもを失い、
それでも、有り余る精力をもてあまして
女に狂ってみたいな感じなんだが、それはそれとしつつ
本を商うということへの執着というか
夢へのアプローチが続き、気付けば、革新的な本屋として
紀伊国屋書店を立ち上げたと
そういうお話でありました

一方で、まったく経営や商売について学も興味もないために
すったもんだで、潰れそうになることも何度かというところ
戦争帰りの官僚肌な副社長を迎え入れて、
その難事を切り抜けていくという筋なわけでありますけども
一番大きな難問が、銀座の一等地を不当に占拠されていて
それをお金で解決したというところ
さらり、小説の内容に即してというか
カラーを大切にして、すらっと描かれていたのでありますが
これは、結構えげつないことがあったんじゃないかなと
ちょっと思わされたりしたんだが、
このシーンにおいて

お金で解決できるんだろ

という感じで、お金の多寡は度外視にして、
金があればなんとかなるなら、どうにかできるという
素晴らしい判断をするというのがステキというか
経営者の鑑のようだなと思わされたところでありました
実際は、どの程度近しいのかさっぱりわかりませんが
なかなか興味深い、なによりも、
人は本を読みたがるものなんだなと
それに感心というか、感動したのでありましたとさ

本屋というか、本というものは滅びないのだろうかと
思ったりするのである