CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】アガサ・クリスティーと14の毒薬

2017-05-22 19:41:11 | 読書感想文とか読み物レビウー
アガサ・クリスティーと14の毒薬  著:キャサリン・ハーカップ

ミステリの女王アガサ・クリスティの小説に登場する
様々な毒薬について、そのシーンと実際を解説した本でありました
マニアックな本だなと思いつつ読んだのですが、
アガサミステリの副読本として、なかなか興味深い一冊だったと
思えたのであります
ただ、私が、アガサ作品をほとんど読んでいないということを除いて

と、まぁ、古めかしい文体で書いてしまいたくなる内容ながら
非常に興味深い一冊でありました
大学生くらいに読んでいたら、なんらかの道を間違えた可能性もあるなと
そう思えるほど、毒薬についてきわめて詳細な記述が見られる本であります

実際にアガサ作品内でどう使われていたかというところと、
その巧みさを賞賛する内容には驚かされるばかりでありまして、
アガサという人は、本当に薬剤師としても一等だったと思えるほど
大変精通していたんだそうでありまして、
この影響で、いくつかの事件が起こったんじゃないかと
疑われたのもさもありなんという感じであります
その逆に、このおかげで、異変に気付いて助かった人もいたらしいと
後から出てきて、この本の作者が
なみなみならぬアガサファンなのではないかと思えたところであります

作品の内容は案外少なく、大半は毒薬についての効能というか
どういう作用が、どんな化学式によって行われるかと
ちょっとした科学読本の調子で展開して、
さらには、これを実際に利用した犯罪や、事件なんかの紹介もあって
毒薬が関わる事件について、
えらい詳しくなってしまったと、この本を読んだだけで
何かしらの疑いを抱かれるのじゃないかと
そう思えるような豊富、そして、深い内容に満足したのであります

まぁ、読んだからといって、実際に使ってみようなどと思うはずもないのでありますが、
砒素というものが、大変有用な毒薬で、昔から使われていたんだなと
歴史的な側面も見たりして、非常に面白かったのでありました
砒素、シアン、アヘンのあたりが大変面白くて、
どれも、その当時はありふれていたというのが
人類史といっていいのか、薬学の歴史を紐解いたようにも思えて
楽しめたのでありました
今現在、大丈夫と思っている薬も、そのうち危なくなるんだろうなと
容易に思えるようなところが恐ろしいけども
なかなか示唆にとんだ内容でありました

一点、タリウムを使った事件の詳細が、
凄くどっかで聞いたことがある話にそっくりだと思ったんだが、
昔からそういう人がいるのだなと思わされる
この部分だけでも、日本で読む価値があるかもしれないなんて
思ったのである