「フランシス・ハ」「20センチュリー・ウーマン」などで知られる女優のグレタ・ガーウィグ
が、自身の出身地でもある米カリフォルニア州サクラメントを舞台に、自伝的要素を盛
り込みながら描いた青春映画です。しかもガーウィグが、初の監督作としてメガホンを
とっています。
舞台はカリフォルニア州のサクラメント。閉塞感漂う片田舎の町でカトリック系の女子
高に通い、自らを「レディ・バード」と呼ぶ17歳のクリスティンが、高校生活最後の年を
迎え、友人やボーイフレンド、家族、そして自分の将来について悩み、揺れ動く様子を、
みずみずしくユーモアたっぷりに描いた内容になっています。
主人公クリスティンを「ブルックリン」「つぐない」でアカデミー賞候補にもなった若手実
力派のシアーシャ・ローナン、母親マリオン役をテレビや舞台で活躍するベテラン女優
のローリー・メトカーフが演じています。今年のアカデミー賞では作品賞ほか6部門にノ
ミネートされ、ガーウィグも女性として史上5人目の監督賞候補になりました。
みずみずしさが溢れた女性監督ならではの快作です。ある面では緻密に、ある点では
サラリと描き非常に好感度が高いです。処女喪失の場面など、見る側が拍子抜けるくら
いの描写ですが、あの程度でいいのであって、あれを超すと度ぎつくなり、嫌悪感にも
つながったと思います。最後のシメもよく、後味のいい爽やかさが残りました。出演者も
すべてよし、見ごたえある一本です。