是枝裕和監督が、家族ぐるみで軽犯罪を重ねる一家の姿を通して、人と人とのつなが
りを描いたヒューマンドラマです。今年のカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出
品され、日本映画としては1997年の「うなぎ」以来21年ぶりとなる、最高賞のパルムドー
ルを受賞しました。
東京の下町にある高層マンションの谷間に取り残されたように建つ古い平屋に、家主
である初枝の年金を目当てに、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀が暮
らしています。
一家は年金で足りない生活費を万引きで稼ぐという、社会の底辺にいるような一家でし
たが、いつも笑いが絶えない日々を送っています。そんなある冬の日、近所で震えてい
た幼い女の子を見かねた治が家に連れ帰り、信代が娘として育てることに。そして、あ
る事件をきっかけに仲の良かった家族はバラバラになり、それぞれが抱える秘密や願
いが明らかになって行きます・・・。
息子とともに万引きを繰り返す父親・治にリリー・フランキー、初枝役に樹木希林の是枝
組常連キャストに加え、信江役の安藤サクラ、信江の妹・亜紀役の松岡茉優らが是枝
作品に初参加です。
まず皆さんが言われているように、どうしても題名が引っかかります。内容や出来栄え
が良かったら題名なんてどうでもいいという考え方は間違っていると思いますし、それで
随分損をしていると思います。この監督は正攻法の演出で今まで作品を作っていて、徐
々に力をつけており、しかも全作が大々的に劇場公開されていて幸せです。
個性的な役者は勿論ですが、子供の使い方も実に上手いし、作品の纏まりはいいので
すが、私的にはもろ手を上げて褒めたくはありませんし、好きな監督とはまだ言えません。
子供の万引き場面などどうしても引っ掛かっています。海外での受賞にケチをつけたく
はありませんが、外国の人から日本ってあんな国だと思われたくもありません。