本来土曜はお遊びというか息抜きの日として書いていますが、熊本地震のことがあり、
今回は映画の感想に変更させていただきます。
「無伴奏」は直木賞受賞作家・小池真理子による半自伝的恋愛小説の映画化です。日
本中に学生運動の嵐が吹き荒れた1969年の仙台で、実在したバロック音楽喫茶店「無
伴奏」を舞台に、ここで出会った男女の恋模様が描かれています。
多感な女子高校生から大人へと成長する主人公の響子役を成海璃子が、渉役を池松
壮亮、渉の友人・祐之介役を斎藤工がそれぞれ演じていて、監督は「三月のライオン」
「太陽の坐る場所」の矢崎仁司です。
スタッフの皆さんが異色の作品を作ろうとしているのは判るのですが、それにしては脚本
も演出も撮影のいずれも描写が薄いし、成海が今までのお嬢さん演技から脱皮しようと
する熱演はある程度買いますが、肝心の濡れ場シーンでは本人の意向なのか、プロダ
クションの方針なのか、中途半端も著しい感じです。
喫煙の場面が多く出てきますがその必要性が理解できないことをはじめ、時代色描写も
希薄ですし、台詞による説明が多いし、人間関係の描写もボケていて、残念ながら纏まり
の悪い出来栄えになってしまっています。